さすらいの天才不良文学中年

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謎のクローン・タクシー タイムマシン

謎のクローン・タクシー

 世の中には嘘のようなホントの話しがある。

 この「謎のクローン・タクシー」もその一つである。産経新聞12月22日付「北京春秋」によれば、今北京で社会問題になっているのが、クローン・タクシーらしい(写真は、ワシントンの昔懐かしいチェッカーズ・キャブ)。


taxi


 実在するタクシーとまったく同じナンバー・プレートを、精巧に偽造する。勿論、車種、登録番号、運転手の名前、免許証、身分証明書まで完璧に偽造しているため、警察でさえも本物か偽物かの区別がつかない。

 中国語で、克隆車(クローン車)と呼ばれる「成りすましタクシー」のことである。

 本物のタクシーと同じであるから、登録原簿(タクシー台帳など)を調べても実在するので、不思議ではない。これが架空のタクシーであれば、登録されていないので、偽物だと直ぐにバレテしまう。では、何故このようなことをするかというと、売り上げはメーター料金で稼動し、この売り上げは丸々本人の手取りとなる。勿論、水揚げを会社へ支払う必要はなく、税金も払わない。まぁ、ボロ儲けである。

 ところが、このクローン車もバレルことがあるのである、それは、身に覚えのない交通違反の通知が実在するタクシー本人宛に届くからである。クローン車が違反しても、反則切符の宛先は、本当のタクシーの運転手である。反則切符を払わないと営業停止になるから、してもいない罰金を泣く泣く払う羽目になるという。

 しかし、中国と云う国は、ホントに何でもありの国だなぁ。



黒タク

 黒タク。黒い色のタクシーのことらしい。


イエローキャブ


 タクシーといえば、黄色(イエローキャブ)、オレンジ、緑色と相場が決まっていた(写真上)のだが、最近、黒タクが増えているという。

 理由は簡単。高級感があるからだという。現に緑色で有名な東京無線でさえも、保有台数(5,500台)の7割を黒色のタクシーに今後変える予定だという。

 もともとは、黒色は官庁の車(公用車)かハイヤーの色である。それが、バブル崩壊後の景気低迷でハイヤーの利用を止める企業が相次いだものの、黒色の車を求める企業は多い。そこで、苦肉の策により黒タクが誕生したのだという。

 なるほど、納得した次第である。

 でもね、肝心のサービスが悪ければ、黒い色であっても無意味なのだよ。車の色だけでなく、乗務員の教育も同時にお願いしたいものである、タクシー業界さんよ。


タイムマシンは出来ていた(前編)

 本日と明日は、関ネットワークス「情報の缶詰」9月号に掲載した「タイムマシンは出来ていた」をご紹介します。


春の花


タイムマシンは出来ていた

 常識を覆す話しをしよう。タイムマシンは既に出来ていたというのだ。えっ? 科学界の常識では、タイムマシンは出来ないことになっていたのではなかったのかしらん。それに、もし出来ていたとしたのなら、未来から現在にタイムスリップしている人物が密かにいたとしてもおかしくはないと思うのだが…。

1.新幹線の中で歩くと

 では、どういう理論でタイムマシンは出来るのだろうか?

 まず、時速200キロで走る新幹線を考えてみよう。この新幹線に乗車している貴方が新幹線の中を進行方向に時速5キロで歩くとする。そうすると、外から貴方を見ている私には、貴方が時速200キロプラス5キロの205キロで前に移動しているように見える。ここまではご理解いただけると思う。

 では、次に、新幹線の中で貴方が懐中電灯を前に照らしたとすると、懐中電灯の光の速さ(秒速30万キロ)は外から見ている私にどう映るのだろう。先ほどと同じ考え方によって、時速200キロプラス秒速30万キロということになるだろう。

 ところが、「光の速度は常に一定」なのである。したがって、私が新幹線の外から貴方の点灯した懐中電灯の光の速度を見たとしても、新幹線の速さである200キロがプラスされずに、秒速30万キロのまま見えるというのである。

 実は、これがアインシュタインの特殊相対性理論の考え方なのである。

 アインシュタインが偉いのは、光の速さが変わらないのなら、変わるのは時間の方だと考えたのである。つまり、アインシュタインは、新幹線に乗っている貴方の時間の流れと、それを外から見ている私の時間の流れが変わったと考えたのである。


2.光の速度は一定

 これを、別の観点から考えてみよう。

 時速200キロの速度で走る新幹線から懐中電灯で光を照らしても、懐中電灯の光の速度は変わらないので、

 光の速度 + 時速200キロの新幹線の速度 = 光の速度

 ということになる。これは、つまり、光の速度にプラスする200キロの速度がゼロということになる。

 ということは、光の速度で走るロケットに乗れば、いくら時間を足してもその時間はゼロ(止まる)ということになる。

 つまり、物体は光の速さに近づけば近づくほど、時間の流れが遅くなるということになる(光の速度になれば時間は止まる)。逆に、光の速度から遠ざかれば遠ざかるほど、時間の流れは普通の速さに戻るということになる。これが、アインシュタインの特殊相対性理論である。

3.ウラシマ効果

 以上のことから、貴方が光速に近い速さで進むロケットに乗船して宇宙旅行をし、地球に戻ってきたとしよう。

 相対性理論では、ロケットの速さを光速の99%にすると、時間の進み方が七分の1になるとされている。したがって、貴方が1年間の宇宙旅行をしていたとすると、その間、地球では7年が経っていることになる。つまり、宇宙船に乗っていた時間は1年しかないのに、貴方が地球に戻ると7年後の世界になっているのだ。

 と云うことは、貴方は1年かけて7年後の未来にタイムスリップしたのである。これを「ウラシマ効果」と呼ぶ。だから、宇宙船がタイムマシンだと考えれば、宇宙船の速度を調節することによって、未来に行くことが可能となるのである。

 実際、この理論が正しいかどうかの実験が71年に行なわれた。それによれば、世界一周した飛行機に乗せられた時計と地上に置いた時計とでは、飛行機に乗せられた時計の方が59ナノ秒(1ナノ秒は10億分の1秒)遅れていたのだ。この時間差は、特殊相対性理論によって計算された時間差(タイムスリップ)とピタリと一致しているのである(続く)。


タイムマシンは出来ていた(後編)

4.アインシュタインの一般相対性理論


清涼剤


 実は、速さだけでなく、重さによっても時間を遅くすることが出来るのだそうだ。

 一般相対性理論によると、重力が強くなる(重くなる)ほど時間の流れはゆっくりと進むのである。ブラックホールのように強烈な重力のある場所に近づき、その後、地球に戻ってくれば、光の速さと同じ理論によって、未来にタイムスリップが出来ることになるという。

 また、巨大な鉄玉の中に人間が入り、玉を収縮させていくと重力が強くなるので、玉の中の時間はゆっくりと流れることになる。その後、玉をもとの大きさに膨らませて、中にいた人間を外に出すと、理論上は未来にタイムスリップ出来ることになるのだ。

 もっとも、そんなことをしたら、中にいる人間が死んじゃうだろうが…。


5.問題はその技術

 では、光の速さを出したり、重力を勝手に強くしたりすることが可能なのだろうか。

 実は、1円玉サイズの物体を光速の99%にさせるエネルギーだけであっても、水爆数億個分のエネルギーが必要となる。また、巨大な鉄玉をタイムマシンにするための重さは、太陽と同じ重量が必要になるという。したがって、現段階の科学水準では、光速を出すことは不可能である。

 ただし、忘れてはならない。過去に戻ることは別にして、未来に行くのであれば、理論上は可能なのである。難病になったとしても、医学が発達する未来にタイムトラベルすれば、治療が可能となる時代が来るのかも知れない。

 最後に。

 科学的には出来ないといわれているもう一つの課題に、透明人間がある。理論面は割愛するが、透明人間を作ることは難しいようだ。

 しかし、タイムマシンに関して云えば、理論上は可能である。漫画の「ドラえもん」では、タイムマシンは既に2008年に完成していたことになっている。実現するにはまだ時間がかかるかも知れないが、後、何十年もすれば、未来へのタイムスリップが可能な世界になっているかも知れない(この項終り)。


免許更新

 先日も述べたとおり、おいらの誕生日が来た。今年は、5年振りの免許更新の年である。


ボイド号


 久し振りの免許更新だからであったろうか、少々驚いたことがある。

 まず、今までの免許証の有効期限が誕生日から1カ月先まで有効であったことだ。だから、誕生日の1か月前から、1ヶ月後までの間に免許更新に行けば良いのだ。知らんかったのは、おいらだけか。

 二つ目は、3センチ×4センチの写真を持参することになっており、その写真がそっくりそのまま免許証に転載されるということであった。

 ただし、おいらの最寄りの警察署だけがそういうシステムかも知れない。前回住んでいたときの世田谷警察署では、その場で写真を撮ってくれていた。

 だから、今回も用意する写真は当日、自宅の襖の前でいい加減に撮ったものをそのままプリンターで印刷し、持参したのだ。写真は、<あれば良い>と思ったのである。

 だから、その写真を使うと云われて、「えっ、聞いてないよう」である。だったら、もっと真面目にやるんだが、と思ったが後の祭り。今回の免許証の写真は、おいらの寝起きの顔である。

 さて、おいらはゴールド免許証であるからして、30分の講習だけで終わり。これが意外に良く考えられたシステムであった。

 免許更新の手続きが終了するまでの20~30分間、警察署の片隅でDVDが放映されており、そのビデオを観るのである。そうして、名前が呼ばれれば、ビデオはもう観なくて良い。

 窓口に行き、今までの免許証を返して貰うのである。免許証には、来年の1月まで、つまり、3ヶ月間先まで有効のスタンプが押されている。なお、新免許証は今後郵送されてくるという段取りのようだ。

 ハイ、良く出来ました。

 なお、講習で観たDVDは秀逸であった。バックミラーの死角となる自転車との交通事故をモデルにした、観応えのある内容であった。あれなら、自分から進んで観たいねぇ。そう思わせる出来栄えである。

 警察もやるもんである。


電車とホームの間に挟まれる

 7月22日(月)の朝のことである。


20130722京浜東北南浦和駅事故.jpg


 JR京浜東北線の南浦和駅ホームで電車から降りようとした女性が電車とホームの間に落ち、体を挟まれたのである。

 このブログにも書いているが、実はおいらもその昔、渋谷駅の山手線ホームで電車とホームの間に挟まったことがある。

 だから、この事件は他人ごとではない。

 おいらの場合は、渋谷駅のホームだったのが幸いしている。

 渋谷駅はゆるやかな楕円形のホームである。おいらは電車とホームの間に広く開いているところに落ちたのだが両腕がホームに引っ掛かり、二人の駅員に抱えられて無事救出されたのである。

 では、今回の南浦和駅での事故はどうだったのかというと、ホームが直線のため、電車とホームの隙間は約20センチであった。

 だから、この20センチの間に挟まって、体が身動き取れない状態になったようだ。

 さて、この女性が電車とホームの間に体を挟まれている間、ホームでは「人が挟まれています」というアナウンスが流れたのである。

 それを受けて、電車の乗客約40人が車両から降り、駅員とともに車両をホームの向こう側に押して、電車とホームの隙間を広げたというのである(写真)。

 そして、女性を救出したのである。

 いやはや、心温まる話しであるが、よくもまあ人力で車両を動かしたものである。

 事故のあった車両一台の重さは、車輪を含めて32トンというから半端な重さではない。

 しかし、車輪と車体の間にはサスペンションがあるから、車体を押すとサスペンションが伸縮し、車体だけが傾く。これによって、人力で電車とホームの隙間を広げて女性を助けることができたというのである。

 いやぁ、めでたし、めでたし。

 教訓。

 電車とホームの間には落ちてはならない。


タッチパネルは危ない

 今更ながらの話しではあるが、タッチパネルは危ない。


DSC04496.JPG


 指で押そうとしている部分の上下や左右を誤って押してしまうからである。簡単に指先がすべるのである。

 そうすると大変だ。電話しようと思っていない先に、勝手に電話が発信されてしまうのであ る。

 これに気付いて直ぐにストップをかけるのだが、発信した事実は残る。そうすると、必ず時間が経って「電話貰いました?」とその相手から連絡が来るのである。

 おいらは、その度に「電話したのはかくかくしかじか」と説明しなければならず、それもまた煩わしい。

 実は、この電話かけミスは一度や二度ではない。

 先日も郡山に出向いているときに、間違って実弟に電話してしまった。肉親だから良かったが、取引先だと失礼になる。

 それで思い出すのが、某テレビ番組を観ていたときのことである。

 川合 俊一氏(元バレー選手)が

「株取引をスマホでやってはいけない」

と力説されていたのである。

 氏は、株好きのようで、

「株の注文をスマホで出すと、タッチパネルでゼロが一つ多くなったりしたり、注文先のコード入力を間違える。

 だから、絶対にタッチパネルでやってはいけない」

と繰り返して主張しておられた。

 むべなるかな。株の世界では、ミスは決して許してくれないのである。タッチパネル、恐るべし。

 便利なものほど、実は、不便である。


鞄泥棒

 11月末であるが、既に忘年会が始まっている。


DSC01595.JPG


 昨日もそうであったが、ほろ酔いになると帰りの電車では眠くなって仕方がない。いや、心地よく寝ているのである。

 そうして、知らぬ間に電車を降りており、気付いた時には自宅に着いている。

 こういうときによく鞄を忘れないものだと思うが、帰巣本能と同じようで鞄を失くしたことがない。

 だが、それも運が良いだけかも知れない。

 某タブロイド紙によれば、これからの忘年会シーズン、鞄泥棒にとっては絶好の稼ぎ時らしい。

 寝ているサラリーマンの鞄を狙うのだそうである。

 おいらは海外経験もあるので、どんなときでも鞄は足の間に挟むと云う習慣が離れないのだが、実は、この足の下に置くと云うのが一番危ないらしい。

 おいおい、足の下だよ。どうやって盗るのだ、と思ったら、電車が発車する瞬間に鞄を足から抜き取り、瞬時にドアから飛び出すのだそうだ。

 これだと、あっという間だし、ドアが直ぐに閉まってしまうので、追いかけられない。しかも、本人は白河夜船である。

 対策は一つ。抱えて寝るのだそうである。

 抱えていると、盗られないのだそうだ。

 そうか、抱えて寝るか。ハイ、ワカリマシタ。


電車の遅延

 ここのところ、仕事や所用で都心に出かけるたびに電車が遅延している。


DSC04496.JPG


 東急東横線である。

 昔はそんなに遅延が続くことはなかったように思う。しかし、副都心線とつながってから遅延が目立つようになった。

 この種明かしは、簡単である。東横線は副都心線とその先が西武線と東武東上線とでつながっているからである。

 つながっている先の電車が遅延すると、その遅延時間が駅伝の如く次の線に受け継がれるという話しである。

 一昨日の電車も副都心線の遅れで元町中華街に遅れて到着した電車がそのまま遅れを引き継いだため7分遅れでおいらの乗車する某駅に到着した。所用で新宿方面に出かけたのだが、この遅延時間はその後も短縮することなく、増幅し続けたのである。

 これって構造的なものだから解決は難しいものかも知れない。

 だが、通勤時間帯以外にもこれが日常となると、東横線への信頼がちょっと薄れてしまうなぁ。

 ところで、先日の車中でわがもの顔に携帯電話をかけているおっさんがいた。

 周りの人に聞こえるほどの大声での会話だ。

 中国語である。このご仁、足を投げ出して右腕を大きく上にあげながら喋っている。品格がない。皆、迷惑を被っているのだ。

 おいらはこういう人間とは友達になりたくないのぅ。



ソフトバンクの通話料

 昨年暮れ、アイフォン4Sを6Sに換えた。


Other_1888_Cafe Terrace at Nigh.jpg


 そのため、通話料が、いや、正確に云えば毎月の支払額が気になるようになった。

 それはアイフォン6Sに換えたことにより、その割賦代金が加算されたからという意味ではない。容量が3Gから4Gに大きくなったので、何だか莫大な金額が請求されたらどうしようというあいまいな不安による。

 しかし、現実には定額払いなので、従前同様、毎月の支払額はリーズナブルな範囲内の増え方で済んだ。

 アイフォンの割賦代金も下取り代金による相殺や種々の割引によって実質的な負担がないように仕組んである。

 だが、おいらが腰を抜かしたのは、4Gのデータ通信料実額であった。

 明細によれば、その額は優に30万円を超えているのである。この30万円というのは、年間の料金ではない。わずか1か月間の請求料金である。

 うへ~、ビックリポンである。

 実際には、この金額が「データ定額パック」によって相殺されており実額の負担とはなっていないのだが、これって心臓に悪いよなぁ。

 どう心臓に悪いかというと、単純にこれだけの金額が毎月請求されると年間360万円以上である。普通の金銭感覚ではない。それ以前に、毎月30万円以上を請求するという料金体系に問題があるのではないか。

「データ定額パック」に加入すれば、この金額がタダ同然になると云っても、世の中にはタダになる魔法があるものではない。この金額が本当に必要なら、誰かが払わなければならないはずだ。

 だから、このデータ通信料というのはどうなっているんだろう。絶対にどこかおかしいよ。

 ケータイ業界の金銭感覚は、世間からずれているように思えてならないのだが…。


電車の中の恐ろしい話(電車余話)

 電車の中は、社会の縮図である。


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 先日も東急目黒線に乗っていてウトウトしていたら、お年を召された、少々派手目の女性三人がどやどやと乗車してきた。座席がほどよく混んでいたので、出入り口付近で立ったまま三人の井戸端会議が始まった。

 誰それがどうしたのとか、誰それのお子さんやお孫さんがどうのこうのと、まことにかまびすしい。

 おいらはチラと三人を観ると、推定年齢70歳プラスマイナス2歳だなぁ、ま、世間ではこういう人達を老婆と呼ぶのだろうなぁ、だけど、まだまだ若いなぁ、女性の生命力は強いなぁ、それに比べて男の生命力なんぞは屁のようなものだなぁ、これは女性の本能によるものだろうなぁ、知性とかそのようなものによるものではないだろうなぁと感嘆するのであった。

 ところが、目黒駅で一人が下車すると二人になった。聞くとはなしに聞いていると、突然ドイツ語の話しになった。

「私なんか英語しか喋れないからツブシがきかないけど、貴女はドイツ語ができるからいいわねぇ」

「いや、ドイツ語は難しいのよ。でも、ラテン語を勉強したときよりは楽だったわ。だけど、貴女は英語ペラペラだから羨ましいじゃないの」

「でもねぇ、使っていないとやはり忘れてきちゃうのよ」

 な、何なんだ、この二人は。いや、さっきの女性を含めて、な、何なんだ、この女性たちは!!

 こういう恐ろしい会話が自然になされているところが電車の醍醐味である。


落とし物の行方(「電車余話」)

 地下鉄車内の出来事である。


ムンク.jpg


 昼間だから、比較的空いている車内の向かいの座席の女子高生が席を立った。席にはガラケーが忘れられている。

 その瞬間、隣に座っていた妙齢の女性が女子高生に向かって、「携帯、忘れてますよ」と声をかけたのである。

 声をかけられた女子高生は、後ろを振り返って、一瞬とまどい、「あ、違います」と回答しながら地下鉄を降車した。残されたのは、その席にある、誰のものか分からないガラケーである。

 妙齢の女性は無言で「あっ、そうなのね」と表情をし、そのままガラケーに目を向けるだけだ。つまり、空いている席に携帯がポツンと置いてある構図である。

 電車は動き、その席は空席のまま次の駅に停車した。

 どやどやと乗客が乗り込んできた。年配の、年のころなら50前後の、ちょっとガテン系の男性がその席に座ろうとした。席には携帯。

「おっ、これあんたのじゃないの?」

 ガテン系の男が妙齢の女性に声をかける。

「いえ、違うんです」

「じゃあ、落とし物か」

 男は少し微笑み、「おれが届けるよ」とでもいう素振りをしながら携帯を手に取り、席に座る。車内は空いているから、皆がこの光景に注目している。

 不自然な時間が経過する。

 次の停車駅に地下鉄は到着した。すると、男はすくっと立ち上がり、妙齢の女性に携帯を見せながらそのまま電車を立ち去ったのである。

 その席には違う乗客が乗り込み、後は、そのまま何もなかったような静寂な時間が流れ去る。

 落とし物の行方とは、つまり、こういうことである。


ウインカー合図なし

 車に良く乗る。


36_tuen-signal.jpg


 前にも書いたが、ウインカーによる右折、左折の合図を出さない車が多い。

 そう思っていたら、2016年6月に日本自動車連盟(IAF)が全国ネット調査の結果を発表した(全国約6万5千人の回答者。ネットで検索可能)。

 その中で「ウインカー合図なし」のアンケートも実施されていたので、紹介する。

 それによれば、「ウインカーを出さずに車線変更や右左折する車が多いか」との質問に対し、29.4%の人が「とても思う」と回答したのである(全国平均)。

 つまり、約3割の人がウインカー合図なしにうんざりしているのである。

 これが県別の結果となると、「とても思う」がトップの県は岡山で53.2%であった。続いて香川が51.0%、3位沖縄が46.2%、鳥取も高く40.2%である。

 県別で全国平均を超えているのは、北から北海道、青森、宮城、茨木、栃木、群馬、山梨、富山、石川、福井、岐阜、愛知、三重、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山、鳥取、岡山、広島、徳島、香川、福岡、大分、鹿児島、沖縄である。

 意外だなぁ、神奈川が21.4%と全国平均を下回っている。しかし、それでも2割の人がそう思っているので、少ないとは云えないのだろう。

 なお、一番少ない県は東京で21.1%。何だ、神奈川と変わらないじゃないか。ということは東京も5人に1人がウインカー合図なしにうんざりしている計算である。

 そうしてみると、やはり、他人のウインカーは安易に信用して運転しない方がよいのだろう。


漠然とした不安

 依然として暑い日が続く。西日本は猛暑らしい。


Other_1890_The Church at Auvers-sur-Oise.jpg


 暑さで思考がままならない。そこで、今、思っている漠然とした不安を書く。

 中長期的には、現代は修正資本主義である新自由主義が終わり、新たな時代へ移行しようとしているようだ。世の中のサイクルが変わり、今までとは全く違う時代へ突入しようとしているらしい。

 しかし、どういう社会になるのかという海図がどこにもない。人類が経験したことのない未来がこれからやって来ようとしているのである。これは不安の種である。

 また、遠くない将来、ロボットが活躍する時代が来ると期待されている。だが、それはとりもなおさず、ロボットに支配される時代の幕開けでもある。

 ロボット以前のコンピュターがダウンしただけで、飛行機が飛ばない時代である。社会は思った以上に脆弱化している。

 管理社会の到来もイヤである。マイナンバー制度の浸透は、本当にバラ色なのだろうか。個人のプライバシーを奪う可能性を孕んでいないのか。

 短期的にイヤなのは、首都圏での大地震発生である。日本経済は麻痺するだろう。鉄道は止まり、高速もストップする。そのとき、物流は期待できない。円も大暴落である。

 学者の見解によれば、地震(地震の規模はマグニチュード7と想定)発生の確率は、30年以内に70%である。だが、これは30年後に大地震が発生するということではない。30年以内に発生する確率だから、今、大地震が起きても不思議ではない。

 そして、地震と原発はセットで考えておいた方がいい。地震大国日本で原発を稼働させることにはやはり無理があると云わざるを得ない。

 こうしてみると、まったく、「世の中は 地獄の上の 花見かな」(一茶)である。

 漠然とした不安とは、云い替えれば、現代の怪談である。人類は自分で自分の首を絞めるという、イヤな世の中にしたのである。


70歳以上運転免許、勧められたら返納26%

「70歳以上運転免許、勧められたら返納26%」とは、産経新聞の先月20日(18年1月20日)の記事のキャプションである。


免許返納.JPG


 おいおい、4人に1人が返納かよ、前期高齢者にとって70なんて目の前だよ、とショックに思いながら記事を読むと、ウソではないが、大げさである。

 正確には、70歳以上の運転免許保持者が家族や医者から運転をやめるよう勧められたら返納しようと考えている人が26%というものである。

 つまり、考えているだけで実際に返納するわけではない。

 しかも、70歳以上の大きな括りなので、何歳以上から返納する割合が多くなるのかも分からない。

 調べていないので軽々に云えないが、内閣府の元データをそのまま転用しているからこういう記事になったのだろう。役所は高齢者に返納させたいのだろうから、そういうデータが公表された可能性が高い。


 閑話休題。

 悪名高い高齢者マーク(高齢運転者標識)の表示義務は道路交通法によれば70才からだが、これは努力義務である(=罰則はない)。

 そう思っていたら、同法の改正により08年から75歳以上には表示が義務化されたと知った。

 ひえ~。

 だが、これにも合理的な理由があり、高齢者マークを表示した車に無理な幅寄せや割り込みなどの危険行為をした輩に、初心運転者等保護義務違反を問うための抑止力だという。

 う~む、しかし、老境の身になって、そうまでして保護されたいとは思わないのぅ。そう思うときは、おいらは車のハンドルを握っていない。それがおいらのダンディズムである。g


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