映画の現代詩



倉敷の田辺さん(「竜馬暗殺」のシナリオライター)はシュルレアリズムをもう一度検証しようとされているが、僕の場合は、いわゆるドラマのセオリーではやりたくないというのは同じだけれど・・あえて言葉にするならば「現代詩」だなあ。

 現代詩といわれるジャンルは詩の既成概念である「美しい言葉」や古くから使われた「叙情」を否定し、作家の言葉のみの、言葉による純粋表現を目指した世界である。だから、女の子が失恋の詩を書くような(失礼)世界とは違うし、歌詞のような詩の世界でもない。かなりラジカルなのだ。

 何のポリシーもない、描写主義、それも単なるリアリズムかコミック的「間」から生まれるモンタージュのみを内容とする日本映画に戦いを挑む意味でも、ラジカルにして繊細、クールでホット、論理的で感情的、冷静にして破壊的、そして何よりもエロチックな作品にするには、「映画の現代詩」という言葉をキーワードにすべきなんだと、最近考えている。



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