おじよ


..






どこにいてもお姫様、お姫様。


そんな扱いばかり受けてきて、いい思いなんてしない。


良い想像がつくと想うけど、お姫様だって忙しいんだから!




お 姫 様 な お 姫 様




そーっとそーっと、お城を出てきた天界のお姫様の翔希(とき)。

いつもいつも、見張られて仕事なんて体が持ったもんじゃない!
まだ十六歳なのに・・。


ダダーッ・・。

坂をダッシュで下る。

風が気持ち良い♪


「よっと・・!」

華麗に着地。

着いた場所は、お城の下にある街。

兵も居るので一般人の服を着ている、翔希。

これなら誰にもばれないのだ。


「ワーッ!翔希おねぇちゃんだー!」
「本当、今日も綺麗です~。」
「へっ、またきやがった・・。」
一番初めに叫んだ、目がまるくて可愛い感じの男の子。名前は、光希(こうき)君。
乙女で敬語を使う、ちょっと控えめな女の子。名前は、未沙(みさ)ちゃん。
でもって、最後にすかしてる元気な男の子。名前は、香音(かおん)君。
この三人組は、とても仲良し。

そして、街に行くと何時も遊んでくれる大切なお友達。


「こらこら、お姫様に無礼でしょう?」
なんて微笑むのは、近くのお花屋さんの鈴音(すずね)さん。
この人は、私と同い年なのに・・頑張りやさん。
髪が長くて、笑顔が素敵な人。

「あはは、いいですよ。」
「ほらみろー、翔希は単純だから大体良いって。」
なんて、失礼にもほどがある言葉を言う香音。
そう、鈴音さんと香音君は、兄弟なのだ。

「またそんな事を言う!だめでしょ、香音。」
なんて、怒りあう二人を見てなんだか・・とてもその姿が、羨ましくもなるのでした。

「あ、もしやまたお兄さんに秘密で出たのですか?」
ふふと、笑いながら聞く。

「もーそうなんですよ。あの人のシスコンぶりには困ってしまいます。」
はー・・なんてため息をつく。



すると、キョトンとした顔で・・光希君が・・

「そっかぁ!翔希おねぇちゃんと、優人(ゆうと)おにぃちゃんはラブラブなんだぁ!」



そんな可愛い顔で言われては、怒るにも怒れない翔希。



「うーん・・それとこれとは違うんだよね、うん。」



なんて、苦笑いで言う。



「あっ・・優人おにぃちゃんが、翔希おねぇちゃんの事スキなんですね。です。」

なんて、凄く楽しそうなまなざしで言う、未沙ちゃん。


ワクワクワクワク。そんな感情が、言葉に出てきそうなくらいオーラがでている。


「ま、まぁ、そんなところかな・・。」


あは、アハハハハー。




「あ、そろそろ他の皆さんにもご挨拶してきますね。」

「またきてねっ、翔希おねぇちゃん。」

「ずっと、待ってますです。」

「たまには、いいんじゃねぇ~・・・?」

個性それぞれの返事を交わし・・



「うんっ!じゃぁ次いってきまーす。」



と手を振った。







ちょっと、あそこで時間をとりすぎたかもしれない。

速く行かないと、お兄様が追ってくる!






そんな焦りたくさんの想いで、次のことろへと挨拶に行った。


そりゃ、お兄様から逃れられるなんて想ってもない。


だけど、その後のお仕置きが嫌でたまらないのだ。







えぇぃ!いっきにワープしちゃえ!



手の平から、青い光が出る。それを自分の体の周りを円で囲む。


そして―・・



「ワープッ。」



そう叫んだ。





すると―・・シュッ。





ポン☆





あっというまに、市場についたのだ。




そう、翔希は天界のお姫様。

時を動かす重大な役目のお姫様なのだ。



魔法はいつでも使える。


もちろん、自分の体が限界を超えると―・・

体は消滅してしまうけど。




「おぉ!お姫様じゃないですか!?」

「あ、こんにちは高井さん。」

「いやーまた抜け出したのかい?あはは、愉快だなー。」


大きな声で、笑った。


「あ!この苺いらないかい?今日は特別。あのお兄さんから抜け出せたんだから。」

といって、甘くて美味しそうな苺をくれる。

そう、高井さんは果物や野菜を売る八百屋さんなのだ。



「うわー美味しそう。有難うございます。」

そういって、微笑んだ。


すると、周りの人が少し頬を赤くして見ていた。

「え?私なんか変なこといいました!?」


と、あわててみる。



「いえいえ、あまりにも素敵な笑顔でしたから。」



なんて、後ろ頭をかきながら言う。



「ふはー有難うございます。それでは・・もう少しいきたいので・・失礼します。」

「あっああ。気おつけていってくださいね。」





コクリと頷く。




「ワープ・・。」



スッ・・。







次は次は・・腹ごしらえにお団子やさん~♪


ポン☆


「到着!おばさーん、みたらしとあんこと抹茶と三色ダンゴくださーいっ。」


と、笑顔で手を振る。



「おーあはは、あいよー。」




お団子屋さんは、中に机が三つあり、外には横長いイスが二つアリ日傘をしている。

お兄様にも見つかることがないよう、しぶしぶ中で食べる事にした。



お団子のいいにおいが、鼻を包む。



どこか心地よい風が、包む。




平和だ。






「あーいよっ、みたらしにあんこに抹茶と三色ダンゴだよ。」

といって、お団子が二つずつ入っているお団子のお皿を並べてお茶を置きながら言うおばちゃん。


「いっただきまーす。あむあむあむあむ・・。」


「お姫様の食べ方じゃないねぇ、そんな素直なところがいいんだけどね。」

なんて、笑いながら向かい側のいすにすわりまじまじと、食べるのを見ている。



「美味しい。さすが、おばちゃん。」

といって、微笑むと・・


「何年やってると想いだい?お団子ならココだよ。」

とケラケラ笑いながら言う。




ここのおばちゃんは愉快だ。
























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