吸血


..






「綺麗な女性の血が好みね~・・。」







く  ろ  マ  ン  ト






図書館で調べたら、暗闇にいてにんにく嫌い。十字架もダメで・・

綺麗な女性の血が好み。

らしい。


「綺麗な女性の血ね、私?うん。バッチシ。」

自問自答をして、適当にやっていく。

ポフ。

本を閉めて、ふうとため息をついた。



なまぬるい風が髪を包む。

心地が良いような、気持ち悪いような。

「今日の夜吸血鬼か調べて・・もし死んだらいけないし・・やりたいことしとこ!」
そう手の平にグーをして

ポン。とのせる。


まず、アイスを食べて・・全部じゃないけどお金を使ってゲームして・・
立ち入り禁止の屋上行って・・それから校長室のイスにすわった。

あと―・・・


コレクライ・・??


「よしっ、終了。多分コレで思い残す事はないっ!」

腰に手を当て、頷く。

その光景に、竜は首をかしげるだけだった。
周りの人たちも、目を丸くしてちらちらと見ている。

たまには良い。
人気ものみたいだ。




ノースリーブで首が、長い髪からくっきりと出るそらいろのワンピースを着て・・
バックを持つ。

持ち物は、ニンニク 十字架 光が必要なため懐中電灯。


ピクニック気分で、暗い道を歩く。

友達に借りた、はいたこともないくらい高めのハイヒール。
歩くだけで、コツコツいっている。

「準備バッチシじゃない。これで吸血鬼もよってくるわ。」


そういいながらも、中々こないので公園でブランコに座った。
キィー・・キィー・・と寂しい音が鳴り響く。

よく保育園のころ遊んだと思い出しながら。


「やっぱ私ごときでは・・無理だ~。」

はぁとため息をつき、ベンチに座る。



腰をかけ目を閉じた。



うとうとうと・・・・っと危ない。








もう少しで寝るところだった。






あれ・・・体が重い・・。







ふとまぶたを開けた。





すると、くろマントをせおった同い年ぐらいの男の子。
するどいきばが、キラリと光る。
月の光で照らされている顔が、綺麗でドキドキする。

思えば、押し倒されていて身動きさえできない。


「っー・・!!ばっか、離しなさいよ!」


そう叫ぶが・・どこかすんだ綺麗な声で・・


「こんな上手そうな血、逃がすわけないだろ。」


ますます力は上がる。

だが、葵(まもる)は抵抗を続ける。

するとー・・

「へぇ、ゆうこと聞かない子には・・。」


そういい、唇を葵の唇と重ねた。


「んんんんんんっ!?」


葵は反射的に、手でグーをつくって思いっきり殴った。



 バ コ ッ ! !


ズルルルルルルッ。
吸血鬼と思われる、くろマントの少年はおもいっきりころがった。
「っ、凶暴な女。ま、それこそ美味しそうだけど。」

そういって、もういちどよってくる。

バックをさぐって、何かを取り思いっきり少年に当てた。


ガンッ!!


「ぃってーっ・・。」


そう十字架でもなく、にんにくでもなく、バックでもなく・・


懐 中 電 灯 。



「ありえないっ、大切なファーストキスを奪って許さないんだから!」


女の敵敵、といいながらにらんでいる。

すると頭を抱えながら・・

「あ゛ーっここまでねばった奴はじめてみた・・。」

「ちょっと!人の話し聞きなさいって!!」


そう叫んで、いると・・

「分かったって、御免。」

なんと素直に謝ったのだ。
それに少々戸惑い、葵は手を組んで

「は、反省してるならいいけど・・。」


その瞬間・・!



グッと抱き寄せられた。

そして抵抗するまもなく、あごをグイッと持ち上げられた。



「なんてね。キスごときで騒ぐなっての。じゃ。」



そういい残してくろマントで身を隠したかと思うと、シュッと消えた。


ただ呆然と立ち尽くし・・



さっきまであったことが信じられないと想いつつ・・


少し頬が赤くなっているのに気がついた。


そして黒いカードには・・


                  『 ま だ あ き ら め な い 。

 キ ミ の は 必 ず も ら う 。き た い し て て  ?  』












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