くろまんと


..







やばい、やばい、やばい!

どうしよう。





く  ろ  マ  ン  ト 





「あらあら・・お客さん?」

ごまかしようが無い。

だってこんな変な格好してるしっ。


ど、どうしよう!

「あ、俺葵(まもる)さんの彼女ですよ、お母さん。」

ニッコリ。

「まぁっ!速く言いなさいよ、葵。ごめんなさいね。」

あっさり信じました、ね。

母が馬鹿でよかったと、ホッとする。


「あーあーもーいいからっ!お母さんでてって!」

そう背中を押す。

するとフフと笑って・・

「お邪魔して悪かったわ。」

となんかやらしい顔でみる。

バタン。


ひとまず


大 丈 夫 ・ ・ 。



ってゆうか・・

「葵さんって、あははははっ。」

お腹を抱え込んで笑う。

それを少し赤面して言い返す。

「うっ、うるせーな。あれしかないだろ普通。」

と目をおよがす。

ちょっと、可愛い。


「で、どうするの?」

「どうするって、帰るしかない。」

「どこにかえってんの?」

「教えない。」

そう静かに答えたサテン。

なんか

切なくて、悲しい。


「あっそ。送ろうか?」

慌てて

「いや、いい。他の吸血鬼にお前の血すわれたら嫌なんだよ!」


 やっぱ吸血鬼だと、確信する葵。


「ふんっ、今奪えばいいじゃない。」

そう胸を張ってみた。


すると葵の頭に手をのせた。

ポフッ


「少なくとも、恐がらないでくれたから・・今はすわない。」

そう少し微笑んで。

格好つけてるわけでもないのに・・

なんだか格好良かった。


「じゃ、お休み葵。」


月夜に照らされながら、窓から飛び降りる。

スッ

と静かに飛んで

きえた。


「ずるい・・こうゆう時だけ、名前で呼ぶんだから。」


ポツリとつぶやくように

流した言葉。


「晩御飯よー?」

そう母が私を呼ぶ声が、少ししか

頭に入らなかった。

トントントントン


階段の音。



「晩御飯よ?」


そう私の近くでいう。


「あっ、うん。」

「あら、彼氏さんは・・?」

そうたずねる母。

「もうご飯だからって、帰っちゃった。」

「そう。だけど葵がボーッとするなんて、重症ねー。」

そうからかう母。

「うるさいなっ!早く食べよ!」


そう背中を押しながら言う。


月夜に照らされた窓をみながら。




「いただきまーす。」

今日の晩御飯は、スパゲティー。

なだか少し嬉しい。


「姉ちゃんそんなに食ってっと、ふとるぞ。」

中二にもなって、その聞き方はナンなんだろうか。

「生意気なんだから。」

そういいつつ、口に運んでいく。


「あ、お父さんが帰ったら彼氏のこと言おうかしら。心配するわよねー。」

ニコニコ、母。

「え、姉ちゃん彼氏できたの?」

そう驚く、弟。


「う、うるさいわね。彼氏くらい居るわよ。」

嘘ついてて、少し虚しい。

「うふふ、あんなにボーッとしてたのにね。お父さんも驚くわ。」

ニコニコ、母。



「っ―――・・・!」



バンッ!



お皿が揺れるくらい、大きく机をたたいた。

母も弟も、驚いている。

葵は、感情を乱すことなんて無いからだ。


「ごちそうさま。」

そういって、お皿を流しにいれ部屋に戻った。






バンッ







義理の弟も

ゆいいつ

私の事も考えず再婚した母も

分かってない。

心配なんてするはずない。

あの父親が。

「弟とも仲良くなれたの。大丈夫って想ったの。」

なのに、話したことすら無い父。

ワカッテナイ。

こんなにも我慢してるのに。


立っていた葵は、ドアによりかかり

ずりおちるように

静かに床に座った。


赤くはれた

両手をみながら














© Rakuten Group, Inc.
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: