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からんころん。からんころん。私の足元で下駄が鳴る。からんころん。からんころん。規則正しく下駄が鳴る。からんころん。からんころん。992回まで数えたところで立ち止まり。私は後ろを振り返る。宵闇が。緩い速度で押し迫る。ああ。また。またこの感覚。捕まったら抜け出せないから。囚われてしまうから。宵闇に。飲み込まれてしまうから。だから。だから私は歩きだす。再びひたすら歩きだす。からんころん。からんころん。下駄を鳴らし歩きだす。こうして一体。私は何処まで歩けば良いのだろう。背後からは宵闇が。まるでブラックホールみたいに追いかけてくる。なにもかも。なにもかもを吸い込むつもりでいるようで。あいつのお腹の中は。きっと色んなものでいっぱいだ。吸い込んだ諸々をミンチみたいにして。いつまでも溜め込んでいるのだろう。からんころん。からんころん。そんなことを考えながら。私はひたすら歩き続ける。何処までも何処までも歩き続ける。ああ。だけど。ミンチにされて。色んなものと混ざり合って。色んなものと癒着して。そうして、私が私だけではなくなるのなら。それはちょっとだけ素敵なことかもしれないな。そんなことを思ったら。なんだ。あいつもそんなに怖くはないね。からんころん。からんころん。こうしていつも通りあの角を曲がったら。きっとまたオレンジ色のビートルが止まってて。それで青い屋根の家からは、ショパンのノクターンが聞こえてくるんだ。今日もきっといつも通り。多分明日もいつも通り。変わりがないから幸せなのか。代わりがないから幸せなのか。変わりも、代わりもない私だから。だから多分、大丈夫。そう思えばほら。また歩いてゆけるでしょう?からんころん。からんころん。私の足元で下駄が鳴る。からんころん。からんころん。規則正しく下駄が鳴る。今日も明日も。からんころん。からんころん。変わる代わる下駄が鳴る。
2013/11/03
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堕ちる夢をみた。どこまでも。どこまでも深い処まで。それはまるで夜のような、けれど不明瞭ではない程度の空間。何処だろう。考えるまでもないけれど。それでも取り敢えず考える。何処。何処。此処は何処?此処は此処。所詮此処。それ以外のなんでもない。手探りで。コンタクトでも探すみたいに底を這う。抜け出せないかな。なんとか此処から。出てゆけないかな。なんとか闇から。だってとても息苦しい。酸欠とはまた違った意味で。だってとても閉鎖的。他に誰も居ないんだもん。誰も居ない?そう、だぁれも居ない。此処には初めから私だけ。だってそう望んだから。独りきりで、視界を閉ざして。耳を塞ぎ、膝を抱えて。そうやって望んだ世界。誰も居ない。誰も私を見ない。誰も私を傷付けない。此処は安全。此処は安心。だからずっと。ずっと私は此処に居る。この夢の中に。自我と孤独を生贄に。息苦しさに喘ぎながら。ないはずの出口を求め。それでも私は此処に居る。誰かが見付けてくれるまで。救い上げてくれるまで。堕ちる。堕ちる、長い、夢の中で。私は静かに眼を閉じた。
2013/07/07
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それは思わぬ出会いでした。いえ、思わぬというのはこの場合適切ではないのかもしれませんが。とにかくまったくの予期せぬ出会い、それでいて何処か必然の出会い。磁石のように惹かれあい。外れた歯車が噛み合うような。それは何処か危険で、それでいてとても懐かしい............と、まぁそんな具合でふたりは知り合ってしまったのです。傾いた天秤が水平になり。今。物語は幕を開けます。
2012/05/07
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走る走るあたしは走る走れ走れ止まっちゃダメはやる心をたしなめまがらあたしは全力で走り抜ける遠のくネオン引き裂くサイレンの音途切れ途切れの会話意味をなさない単語の数々走って走って走り疲れてでもほらあたし、此処まで来たよ荒れ狂う心臓は喉元まできてて痙攣する肺が破れそうふー.....ひとつだけ大きく息を吐いてあたしはそっと上を見る月月が無言であたしを見下ろすのあたしはそれを見上げるのなんてちっぽけそう思うとなんだか急におかしくなったそうしてなんだか急に怖くなったちっぽけそう、ちっぽけなのとてもとても小さくてとてもとても卑しくてとてもとても情けないそれがあたしそれが人間ぷっ.....あっはははは螺子がキレたようにあたしは笑う笑って笑ってお腹の底から大笑いして涙が出るほど身を捩るそれから膝を抱えて泣いたあたしは小さいあたしは弱いでもそれはきっとあたしだけじゃない小さいから弱いからだけどそれでもちゃんと生きてる誰かお願いあたしを見付けてあたしがあたしでいられるうちにあたしがあたしじゃなくなる前に見えないなにかに襲われて鞄を掴み再びあたしは走り抜ける笑いながら泣きながら全力であたしは走り抜ける月が月だけがそんなあたしを見下ろしていた
2012/02/03
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お兄ちゃん、この毛糸はなぁに?私がまだ幼かった頃。枕元で水色の毛糸をひたすら解く兄に問うたことがある。これはね。あーちゃんが道に迷っても大丈夫なように。こうして糸を伸ばしていれば、手繰り寄せてまた歩けるでしょ?ふーん?あの頃はまだ言葉の意味なんてわからなかった。ただただ毛糸と兄の顔を不思議な思いで眺めてた。だけど。今なら私にもわかる気がする。お兄ちゃんの解いた毛糸。水色の毛糸。それはきっと、目には見えないけれど。私が歩く先を導いてくれているようで。ねぇお兄ちゃん。私を照らすのはいつだってお兄ちゃんだったんだよ。宛てのない言葉は、宵闇の空へと消えてゆく。見上げれば下弦の月。まるで黒い画用紙をくり抜いて、反対側から光を当てているような。そんな、そんな景色の中で。私はずーっと立ち往生。ああ。いつのまにか私、独りぼっち。ひとつだけため息を吐いて。眼を閉じて無心になる。あの夜に見た水色の毛糸を手繰り寄せて。もう逢うことの叶わない兄の姿を思い出し。そうしてまた歩きだす。大丈夫。見えるから大丈夫。するりするり。闇の中で。独り糸を手繰りながら、私はずっと歩いてく。お兄ちゃん。私、上手に歩けてる?お兄ちゃんが伸ばした毛糸は。いったい何処まで続いているの?見上げれば下弦の月が。ぽっかり白く浮いていた。
2011/11/19
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君いくら?右肩に手を置かれあたしはするりとその手をかわすごっめーんあたしカレシいるからーにっこり100点スマイルで振り返り脂ぎったオヤジの切実そうな顔を見たなにこいつあたしに欲情してんの?酒をひっかけたのか醜いほどの赤ら顔にやにや笑ってあたしを見てる………キモ。じゃーねーそれ以上観察することをやめてあたしは歩き出すもくもくともくもくもくもく歩きだす後ろでなんか言ってるけど気にしないだってあたしは特別だもんそのへんで屯してる女の子達とは違うの特別そう特別なのもくもくもくもくもくもくふと前方に女子高生発見往来の激しいアスファルトの真ん中で突っ立ってぼんやり上を見てる上?つられてあたしも顔を上げる紺碧の空こんな都会じゃ星は見えないスモッグに邪魔されてもうしわけ程度の月が浮いてる月を見てるの?はっと女子高生が振り返るヤバ声に出しちゃった聞こえたかな?あたしと違う学校の制服短くしたプリーツのスカートから驚くほど白い脚が伸びている月のように蒼白い脚があ視線を逸らした女子高生は下を向いて歩きだした一歩一歩確かめるように歩きだすその感じがなんだか妙に印象に残ってて人の波に消えたあともあたしは暫く何処へも行けずにその子の横顔を想ってた月に囚われたような顔月に語りかけるような顔ねー君かわいいねオレ車持ってんだけどホストみたいな男の言葉を無理やり無視してあたしは再び歩きだすもくもくもくもくもくもく頭上の月が気になってそれと同時にさっきのあの子が気になってもくもくもくもくもくもくああそれにしてもあの子なんて名前だろ?そんなことを考えたもう一度会えるかな?この道通ってればきっとまた会えるよねひたすら歩く月が同じ速度でついて来た
2011/09/25
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ふと呼ばれた気がして上を向く仰いだ空は紺碧でぽっかり月が浮いていたそうもう夜なんだっけ晩御飯なんだろう?そんなことを思いながら呼ばれた声すら忘れて私は下を向くひたすら歩き右左右左交互に足を送り出すこんなふうに考えながらでないと私夜を歩くことができなくなってるネオンに照らされたアスファルトひと際濃い影を落とす街路樹過ぎ去る車行き違う人の群れいつも通りの帰り道ああなんだか息苦しいふともう一度私は空を見る月が同じ速度でついて来る私と同じ速さでついて来るいったい何処まで?何処まで行けばゴールなの?問いかけたって答えなんて返ってくるはずもなくだって星じゃない地球のまわりをぐるぐるぐるぐるぐるぐる周ってるただそれだけの星月とゆう名の星まぁ全国共通の呼び名があるだけ特別ねそんなことを考えながら私はひたすら帰路につく右左右左ああそれにしても息苦しい私はいったい何処まで歩けば良いのだろう私のゴールは何処にあるの?右左右左同じ速度でついて来る月とゆう名の星と共に終わりの見えないゴールを目指して私はひたすら歩き続ける
2011/09/24
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そうか。あの2人が死んだのか。細かい文字を追い続けて私は、細く長い溜め息を吐いた。新聞の文面だけでは伝わらない何かがあったにせよ、私はさして驚かなかった。予感は、あったのだ。あの2人ならやりかねない事実だ。たとえ心中なんて今どき流行らない方法であっても、それはきっと2人を最後まで繋ぎとめる結果となったはずだ。それで、お前達は幸せ掴んだのか?やりきれない思いと、何処か安堵にも似た尚早を胸に私は窓の外を見上げる。鳥が数羽鳴いていた。吹く風は僅かに春の気配。あれは、今から2年前。かつて教鞭をとった比較的有名な私立中学でも、2人はいつも浮いていた。いや、そうではない。正しくは死んでいた。そう。死んでいたのだ。まるでその場に居ないかのような空白の存在。しかし私の中では彼等は確かに生きていた。同じ時を、同じ世界で。けれど結局、彼等はそれを望んではいなかった。共に滅び、共に朽ちる。同じ死に憑かれた2人。彼等は。あぁ、今頃どうしているのだろうか?握り合った小指は離さずに。何処か美しい場所で笑いあっていれたら良い。この世を儚み。この世を拒絶した2人。彼等にとって、この世界はあまりにも残酷すぎたのだ。どうか今居る世界が彼等にとって苦痛ではないことを祈りながら、私は静かに目を閉じた。鳥の囀り。吹き抜ける春風。知らず零れた涙は、私の頬を薄く濡らし。それでも如何にか微笑んだ。よぉ。お前等今、幸せか?
2011/02/24
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指が沈む。このまま食い破ってしまえたら良いのに。皮膚を貫き。お前の温もりを余すことなく感じることが出来たなら、どんなに幸せだろうと考える。だけど思いとは裏腹に、お前の喉は確かな弾力を伝えるだけだ。流れる涙。溢れる唾液は、止め処なく俺の指とシーツを濡らした。これで良い。これで良いんだ。生きることに疲れ、絶えず終わりを望むお前にしてやれること。俺がしてやれること。ふいに開いたお前の口に。ためらうことなく口付けた。舌を絡ませ、お前のすべてを絡め取る。溢れる唾液は、かすかに優しいミルクティーの香り。暫く辺りを彷徨ったお前の瞳はやがて光を失い。痙攣する腕が滑り落ちた。幕引き。あまりにあっけない最後に少しだけ戸惑い。まだ暖かいお前の小指を握った。俺も、逝くから。震える右手でボトルを掴む。農薬。これを飲めばもう。後戻りは出来ない。ちらりと頭で考えて、かぶりを振って否定する。俺もお前も、とうに戻る道なんてないんだ。苦笑して、もう一度お前の青ざめた顔を見る。もうすぐ、逝くから。右手を掲げて、一気に中身を飲み干した。痙攣する。視界がぐるぐる回る。何度吐いたかわからない。焼け付く喉を掻き毟り、仰け反ってシーツを引き裂いた。やがて薄れゆく意識の中で。ただお前のことだけを考える。一緒だから。五月蝿い耳鳴りを掻い潜り、お前の声が聞こえた気がした。だからもう、大丈夫。一緒だから大丈夫。たとえ行き着く先が地獄でも。ほら。目蓋を閉じれば紺碧の闇。この詩は3つの視点から捉えたショートストーリーです。この詩は俺の視点になります。
2010/12/08
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指がくい込む。僕の喉が悲鳴を上げた。詰まる息。溢れる涙。滲む視界で君を捕らえた。僕の首を絞める。君。君は。笑いながら泣いていた。ああ、なんて顔をしているの?表現しきれない君の瞳に僕を見つけて、なんだかちょっとだけ嬉しくなる。「か……はっ…つ……」本能的に酸素を求めて開いた口に、君が口付け。柔らかい舌が絡みつく。僕達、ひとつだよね?錯乱する思考の片隅で、ひたすら君のことだけを想う。今、この瞬間。確かに君は僕だけのもの。確かに僕は君だけのもの。君の指で。君の舌で窒息。全身で君を感じながら。全身で僕を犯す君は。ああ、なんて美しい。揺らぐ視界。零れる涙。薄れゆく意識の中で、ありがとう。そっと君に囁いた。思いは言葉にならなかったけれど。君ならわかってくれるよね?君なら気付いてくれるよね?ほら。こんなにも僕、君のことで一杯だもの。最後の。終わりの瞬間まで。死にゆく僕に君のすべてを。どうぞ僕に。君のすべてを。3人の視点が交差するショートストーリーです。この詩は僕の視点になります。
2010/12/08
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僕を呼ぶ声僕が呼ぶ名僕を導く君僕が歌う言葉遠く擦れて甘い陶酔遥か見渡す草原は夢なんかじゃなく果てしない現実どこか壊れたレコードのように同じフレーズを繰り返すどうして?何故?どうして?何故?どうして?どうして?どうそて?どうしてこんなに胸が痛いの?何故こんなに苦しいの?教えて教えて教えて君君の名を呼ぶ僕僕のこの声まるで画鋲を踏んだようなこの激痛さえ狂おしく愛しい僕を呼ぶ声僕が呼ぶ名僕を導く君僕が見上げた空君と見上げた星僕はゆくよ不確かな足取りでこの果てしない草原を歩きいつか朽ち果ててこの呼吸が止まるまでいつか疲れ果ててこの鼓動が止まるまで僕はゆくよ灰になるまで生命この命君になるまで
2010/11/25
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失って初めて気付くこと僕知らなかったんだ君がこんなにも愛しいことに君がこんなにも恋しいことにだけど君はもう居なくて伸ばした指は空を切る切なくてもどかしくてやり場のない悲しみに涙すら零れずひたすら喘いで息を殺すねぇどうしたら良い?途方にくれて冷たくなる君を抱いてただ嗚咽を漏らすだけの僕はそうまるで置いていかれた迷子の子供苦しいよそう言えば君は笑ってくれるのだろうか失って初めて気付くこと僕は君が好きでした
2010/09/03
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いつでもぐるぐる回ってるあの時を刻みつづける針は音とともにいつでも僕を追い詰める何処までゆけば良い?何処まで歩けば満足?茨の筵を傷付きながら茨の森を彷徨いながら一体何処までねぇ僕の両脚は動くことを拒絶し血を流し抗えないところまできてるんだよ気付いてる?淡く優しげに微笑む君は聖母のような慈愛の中でそっと僕の口を塞ぐああ今この時もあの針はきっとぐるぐる回りつづけて無常に歴史を刻むのだろう「僕、なんだか疲れたよ」嘆けば君は笑顔で答え再び僕の口を塞ぐ吸って吐いて吸って吐いてなんだか僕息をするのが面倒になる君の口付けで窒息しそうだ「そうゆう最後も良いかもね」なんてことを考えながら僕の針はそれでも時を刻み続ける
2010/07/31
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君が笑った金木犀の香る秋の夜月の光に照らされた君の笑顔はあまりにも美しく残酷で堪らなく僕を不安定にさせるんだ「ねぇ、知ってる?」月は何もかもを見てるんだよ闇夜に浮かぶ君の顔は青白く何処か頼りないそうまるで死人みたいだ「地球を巡り、太陽を反射して」そうやって総てを見てるんだ「不思議だね」見上げた空には満天の星今にも降り掛かってきそうなその小さな光を見据えながら僕はなんだか泣きたくなった。「どうしたの?」絡み合う視線。光を宿した君の瞳に僕は映っているのだろうか。覗き込もうとしたけど途中で止めたふわりと香る金木犀遍く照らす月の輝きその青白い世界の中で僕はそっと呼吸をとめる照らして総てを映して僕を導いて踏み外してしまわぬようにたとえ躓き転んだとしても君が居てくられならそれはきっと道標
2010/05/29
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空を渡る海鳥の群れ輝きを乱反射する群青の海歩き慣れた歩幅で大地をゆく僕は今この時を生きている限られた時間の中で守られた世界の中で与えられたものは少しだけ少ないけれどそれでも精一杯に生きてゆくねぇ僕の吟は聞こえる?潮風に乗って君の耳に届いてる?不安と恐怖で押し潰されそうになったとき時々こうして手を翳し君を想って歌うんだ泣いても良い転んだって良い何かに躓いたらまた起き上がる勇気を僕と君にそう思って歌うんだそんなささやかな吟だけれど聞こえたならほらもう一度歩いてゆけるでしょう?空を渡る海鳥の群れ輝きを乱反射する群青の海風に乗せる僕の歌声届いたならほらもう一度大地を歩いてゆこう僕と君と
2010/03/11
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僕はそっと手を伸ばす。触れた指先から感じる体温はない。開かない瞼。動かない身体。もう二度と歌うことのない唇。冷たい君に口付け。冷たい君に涙を。あぁ……どうしてどうして君は僕を置いてゆくの?届かないほど遥かへ永遠の距離。この棘だらけの世界で君の温もりと君の吟だけが救いだった君を失った今僕はどうやって生きてゆけばいい?問いかけても問いかけても君の唇は語らない。思い出だけが僕の心を駆け抜ける。そんなものじゃ足りないと溢れる涙で視界が霞む。「大丈夫だよ」君の言葉を思い出す。「ずっと傍に居る」そう言って笑った君の顔はとても優しくて少しだけ泣きそうだった。「有難う」そっと囁いて君の頬に口付けを。
2010/01/20
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「お帰りなさい」そう言って僕は君を迎える「ただいま」笑顔で答える君の瞳は大好きな大好きなスカイブルー「どうしたの?」囁く君の声はとても綺麗で「ううん」思わず僕は下を向くねぇ淋しかったんだよ?そんなことすら口に出来ずもどかしさに目を瞑る「ふふ」微笑む君が好きだからずっと見ていたいって思うんだ。そっと額にキスをくれるそしてもう一度「ただいま」
2009/12/30
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大切なもの 失くしたくないもの 裸足で歩くには痛すぎる 僕の歩んできたこの道では そんなものすら重すぎて 時々見失いそうになる 顔を上げて 前を見据え 目覚めても 目覚めても 許されることのない贖罪を 繰り返し 血で手を汚し 僕は罰を受け続ける どうすれば 君は僕を許してくれる? どうすれば 君は僕を見てくれる? 零れ落ちる涙と共に そんなことばかり考えてしまう。
2009/12/15
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見ない言わない聞かないすべてを僕から排除する手に触れる君のぬくもりすら遠ざけて独り僕は涙を流すそうやって心を閉ざしたところで苦痛が和らぐわけもなくただただ静かに息をする「独りじゃないよ」囁く君は微笑んでそっと僕に手を伸ばす「傍に居るって言ったろ?」あぁ……なんて甘美な言葉だろう甘えることも大切だって教えてくれたのは君だっけ僕の中に君は居て同じように君の中にも僕は居るのだろうかそんなことを考えながら暖かい君の左手を握るふふ小さく笑った君はまっすぐな瞳に僕を写す「ねぇ知ってる?」優しいソプラノで君は囁く「左手の握手は別れの握手」だから「だから、こっち」そっと僕の右手を包むそんなそんな君だから僕ずっと傍に居て欲しいってそう思うんだ少しずつ心の扉を押し開くけして無理じゃないこじ開けたりしない例えば瞬きをするのと似たような不快でない優しさで僕の心を君がそっと包み込む君が居るなら見よう君が尋ねるなら言おう君が囁くなら聞こうそうして僕はいつかこの心いっぱいに君を感じよう
2009/11/21
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二人並んで歩いた道今はもう遠い記憶「繋いだ手を放さないで」縋り付いた僕に君は笑った僕の僕の、大好きな君綺麗な君が見上げた空のスカイブルーなんだか僕泣きそうになるこの胸の痛みはなに?こんなにも苦しくて疼くから僕はずっと君を正面から見れないでいた勇気を下さいできればこの苦しみから這い出す勇気を雨が降って流れる頬の雫を上手く隠せたならどうか僕に君を下さい
2009/08/13
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怖い。此処から先へ進むことができない。「どうしたの?輝きはこの向こうだよ」導く君の囁き。甘い甘い言葉の紡ぎ。「何を恐れる?大丈夫だよ。僕が一緒だもん」にっこり笑って振り返る。瞳に映る僕。ああ。こんなにも美しい。君が居るから。だから世界は美しい。「ほら、僕の手を取って」後ろさえ振り向かず。ただ君だけの背中を追う。このままずっと。ずっとずっと手を繋いで。この美しい世界を歩く。君と僕で。僕達だけの。路をゆく。
2009/04/16
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きれいなきれいな君優しい君そんな君みたいになりたくて僕は今日も月を彷徨う触れた君の指の温度が嬉しくてこんなにも愛しいと想うこの気持ち忘れないよたとえ僕が今泡となって消えてもずっとずっと心に残る残された時間は僅かだけれど僕はいつだって君を想うきれいなきれいな君優しい君愛しい愛しい君かわらない君
2009/03/07
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久々に切ったこんなんじゃ足りないと思うもっともっと切って切って切って切ってそして傷だらけの腕を見せ付けてやりたい僕がどんなに苦しんでいるのか僕がどんなに嘆いているのか僕がどんなに叫んでいるのか僕がどんなに涙を溢しているのか貴方は言うでしょうまたそんなくだらないコトでまたそんなに傷を作ってああどうせ他人だものね…分かり合えるわけがないそしてまた僕は腕を切る
2009/02/13
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繋いだ手と手伝わる温もり「いいね。君の手はこんなにも暖かい」悴んでしまった僕の指は君の熱で溶けてしまいそう「ふふ」思わず微笑んだ僕に君は優しい瞳を投げかける「どうしたの?」「ううん。何でもない」どんな時でも優しい君そんな君だから僕「こんなに笑顔で居られるんだよ」「ラランラン…」口ずさむ声色泣きたいくらいに美しいいつでも優しい君「大丈夫だよ。独りじゃない」溶け始めた雪を眺めながらそんなことを一晩中考えていた
2009/01/18
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真夜中の公園鳴り響く携帯移ろいゆく季節変わらないもの取り落としたカッターナイフ少しだけ考えてそしてちょっとだけ僕は泣く上弦の月はまるで洗うように光り輝く浄化されるままに空を仰いだ真夜中の公園鳴り響く携帯取り落としたカッターナイフ
2008/12/09
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僕が生きる意味僕が死に逝く意味まるで何かを埋めるように花咲いた彼岸花手折れるままに引き裂いた猛毒のような真紅同じ色を流す僕の手首は痛みを伴い現実世界へと引き戻すあぁ…こんな不安定な気持ちのままで一体何時まで僕を生かすの?一体何時まで僕を苦しめるの?贅沢なんて言ってない少しだけほんの少しだけでいいから僕に生きる価値を教えて下さい
2008/11/10
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僕が生きる意味僕が死に逝く意味まるで何かを埋めるように花咲いた彼岸花手折れるままに引き裂いた猛毒のような真紅同じ色を流す僕の手首は痛みを伴い現実世界へと引き戻すあぁ…こんな不安定な気持ちのままで一体何時まで僕を生かすの?一体何時まで僕を苦しめるの?贅沢なんて言ってない少しだけほんの少しだけでいいから僕に生きる価値を教えて下さい
2008/11/10
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ただ冷たく凍りつくだけの僕はまるで生ける屍なにを欲しがるわけでもないなにを必要とするわけでもないただただ、冷たく凍りつくだけねぇ届いてますか?もがき苦しみ喘ぎ疲れた僕の叫び冷めた両手を伸ばし必死に答えを探す僕探していたものすら忘れ見失ってしまいそうなこの空間であとどれくらい泣けばいいのだろうかあとどのくらい傷つければいいのだろうかただ凍りつくだけのこの僕に救いの輝きは訪れるのだろうか小さな小さなこの空間で僕は今日も涙を落とす
2008/10/06
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命には、種も仕掛もないからもう二度と喋ることもできないし触れ合うことすらできはしないどうして…どうして、君は…結局、「ずっと」なんてありはしないのです君にしたって、僕にしたってどんなに望んでも過ぎ去ってしまった時間なのですからいつのまにか、届かないほど遠くにずっと追いつかないほど遥かへそれでも消え去らない思いは「一体何処へゆくと言うのでしょうね」忘れたフリをする僕は「ずっと君の側にいるよ」「たとえ今、俺が消えても」ほら、君の心の中に…
2008/09/26
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キラキラと輝く貴方の心はまるで空を渡る蝶のよう羽を無くした僕は飛べないけれど貴方だったらゆけるはずあの蒼のかなたへあの黄昏のかなたへゆけたならほら道しるべはすぐそこに
2008/09/16
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死にたい死にたい死にたいそんな願望が、僕の中で渦をまく。今僕が死んだら、貴方に会うことができますか?触れられることのない貴方は、どんな目で僕を見ていますか?会いたい会いたい会いたい夜桜のもとで今、貴方に会いにゆきます。
2008/09/09
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アーモンド型の瞳翡翠豪奢な金の髪セルロイド艶やかな肢体樹皮そう君はドール僕だけのドール傷つけても溢れることのない流血はきっと君には無くて僕に有るもの泣くことの許されない僕の変わりに君が泣いて切ることだけを許された僕の変わりに流れる赤を君が全部食べてしまって気が済むまで堪能したらさあ瞳を閉じて暗闇がまた僕らを襲う
2008/08/04
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「なんのために切ってるの?」問いかけた君の声が優しくて僕はまた泣きたくなる。「どうして泣くの?」抱きしめてくれた君の腕が温かで「独りじゃないよ」そっと囁く君の声に僕はまた深いとこまで溺れそうになる「ずっと傍に居るよ」そう言った君はもうこの世には存在しなくて感覚だけが僕を涙させる「君は今、笑っていますか?」笑顔を忘れた僕はひきつれた表情で問いかける触れ合うことすら叶わぬ君と僕の距離「何故僕を措いてゆくの?」三千世界の昼夜を越えて「今僕、君の傍へ逝くから」
2008/07/16
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ゆらり揺らぐ陽炎はひらり飛ぶ蝶の陰を喰いぽたり滴る血の赤を鈍く照らす何が出来るというの?この頼りない両腕で何処へゆくというの?その不安定な足取りで揺らぐ陽炎のように陰をなくした蝶のように何にも縛られることのない僕はこのまま逝っちゃう?「それもいいね」囁いた君の声に酔いしれながら僕は最後の歌を歌った
2008/06/14
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この星の住民達は、皆生きながら死んでいる。脆さを盾に、弱さを築き孤独で塗り固められたアスファルトを歩き。時には涙を零しながら時にはふっと笑いながら。そんな星に生まれた定めを僕達はまだ知らないでいる。
2008/06/11
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何処から来たのかわからない。何処へ行けばいいのかわからない。矛盾だらけのこの世界。滅びるだけが定めならばせめて笑って逝きたいじゃない。今日を思って泣き。明日を願って泣き。そうすればきっと日は昇る。例えそれが地獄だとしても。
2008/04/02
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窒息しそうな空気の中溺れないようにともがきながらそれでも死を願う僕がいるなにをためらっているの?飛びたきゃ飛べばいい切りたきゃ切ればいい思うがままに気の向くままに明日への希望を僕は望む
2007/08/30
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心の中で死んだ回数よりも切り裂いた手首の流血よりも疲れたと呟く涙よりも多いものはありますか?あがらいたいともがくよりも死んでしまえと思うよりも息をつまらせ喘ぐよりも清い心などありますか?もしも救いがあるのならば僕は全てを捧げます
2007/07/22
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今日に生きる者。明日に望む者。ねぇ、神様。僕は何のために生まれてきたのですか?毎日毎日血に塗れて。毎日毎日涙を流し。そう。まるで生き地獄。僕は一体何のために。ねぇ、答えのない僕の中の神様は。昼寝でもしているのでしょうか。
2007/04/29
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桜舞い散る中に忘れた記憶と君の歌声が戻ってくる。この痛みは何故?人生がひとつの長い旅だとすれば君と会ったことも運命の一部だといえるの?淋しくて泣いても辛くて泣いてももどかしくて泣いても全て必然だといえるの?此処まできて僕は初めて誰かに助けてほしいと思った。ひらりひらり舞う桜の中で君の歌声だけが全てだった。
2007/04/03
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夕暮れの濃い雪道の上。冷たくなった君を見つけた。淋しい事には雪の降る音。悲しい事には雪の逝く音。かじかんでしまった僕の指では君の消えゆくかすかな温度を感じる事すら出来はしない。どこへいくというの?こんなにも降りつもる雪の中。君は一体どこへいこうとしているのさ血に染まり 死に染まりけれどこんなにも綺麗なままで。ねぇ一体どこへ。「だいじょうぶ」そう言って笑ってみせた君は小さく僕に囁いた。「ずっと側にいるよ」たとえ今 僕が消えても。
2007/02/20
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小鳥が飛んだ。木々がざわめく。僕が飛んだ。赤が散らばる。生きるってなに?毎日毎日淋しい思いをして。何をやっても結局虚しく。きっと心の何処かが孤独なのだ。きっと誰にも埋められないのだ。朽ちてゆく僕を見下ろしながら。そんなコトばかり考えていた。
2007/02/14
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どこにいるの?開け放った窓から呼んでみる。君を探す僕の声はまるで宙を描くように薄闇で。確かなものなど何もない。どうか答えて下さい。希望のない毎日の中で君の声だけが完全で。「ここまで来いよ」そい言って笑う君のように僕の背中には羽がなく。とどくわけもないと思いながら僕は木枠の窓辺を蹴った。
2007/01/22
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喘ぐ言葉拙い声とめどなく溢れるそれらは僕を都合の良い場所へと導いてくれるそれがどんなに醜かろうとどんなに疎かであろうとも間違っちゃぁいない確かな傷痕を眺めながら今日も僕は眠りにつく
2007/01/13
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吸い込まれそうな夜空に星ひとつ溢れ出しそうな赤に涙ひとつ今日も夢裏のかなたに言葉ひとつ君を失って初めて気づくコトひとつ助けて下さいそうやって泣きながら懇願したならば貴方は手を差し伸べて下さいますか?海と空が混じるように僕らの行為を許しては下さいますか?
2006/10/28
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君の歌が聴こえた。泣いているような、叫んでいるような。けれど笑って歌う君を僕は空の高みでしか知らない。永遠の距離ねぇどうすればこの手は君へと届くのだろう僕たちが思うより、この世界は残酷で我慢する分手首は傷だらけになるし無理やり笑う分、泣きたい時に涙が出ないねぇどうすれば楽になれるのだろうただ幾千の時間を君とすごしたいだけなのに……
2006/09/16
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廃ビルの屋上から見える。太陽は、水平線へとつっこみながら、最後の光を浴びていた。僕と君。巻き上がる風は思いのほか強くって、コートの裾を引っ張る僕は、さらわれないよう足の重力を意識する。「もうすぐだよね」ひらめく純白は、君ご愛用のフランス製マフラー。「もうすぐあの光、向こう側へ沈んじゃう」僕、その向こう側にいってみたいんだ。「今ならいけるような気がするし」「覚悟はいいかい?」すりキレたメロディ。泣いているような、笑っているような風の音が。「君と僕、溶け合うみたい」ミステリィにケムリ排出。僕、一瞬、これいいかもとか思ってしまう。「癖になりそうだね」「ああ」混ざり合うような感覚の中で。「逝こう」地上へと向かう。落下する。君のマフラーがひらめく。羽みたい。「けど飛べやしないし」「僕たち、落ちてるもんね」役立たず。目が合う。笑いあって、泣いてるみたい。タランララン……ラララン…君が重力に引きずられながら口ずさんだメロディ。「キレイだね」すりきれてないし。すごくキレイ。「僕たち、一緒?」せまるコンクリート。不安になって息を吸い込む。「ねぇ、僕たち一緒だよね?」「ああ。一緒だね」だってほら、もう手繋いじゃってるし。「たぶんずっと離れないよ」ララン…ランララン……同じ速度で聞こえたメロディは、きっとずっと、僕の中に。ラン……ララン…ほら、繋いだまま。繋がれたまま……
2006/09/10
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少しだけでいい。ほんの少しの間だけでいいから。僕の言葉を聞いていて。喋れなくなる前に。声に乗せて、伝えることができるうちに。君と、僕の理由。覚えていろなんて云わない。ただ、少しだけ。ほんの少しの間だけでいいから。僕の手を、握ってて。
2006/09/01
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一人夜道の月のなか。ひときわ華やかな赤を散らす。そう。まるで一夏の花火みたいに。ねぇ?聞こえる?君の傍に居たいのです。他には何も望みません。ただ。それすらも叶わない夢ならば。どうか僕を殺して下さい。そうやって。思い切り泣きじゃくって見せたなら。同情でも君は僕を愛してくれる?たとえそれが、すぐに消え去る花火のようであっても。
2006/08/29
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君が、泣いている。うず高いビルの屋上で、巻き上がる風花に吹かれながら。君が、泣いている。あの、僕の大スキな空色の瞳に、無責任な太陽の残光を映しながら。君が。泣いている。今にもかき消えてしまいそうな歌声で。不安定な旋律は、ゆるやかな速度で風に舞う。君が、泣いている。行かなければと思った。空気のような不確かな体が。そのまま、かき消えてしまうような気さえして。行かなければと思った。急がなければと思った。だって。君が、泣いている。
2006/08/25
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