turbo717's Activity 

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兎岳→薊(あざみ)畑分岐→易老渡




兎岳避難小屋(2818m)→聖兎コル(2500m)→聖岳(3013m)→薊(あざみ)畑分岐(2300m)→西沢渡(にしさわんど)(1200m)→便ケ島(たよりがしま)(1100m)→易老渡(いろうど)(820m)

日本海から北陸に前線が延びる。早朝・・快晴。am7:00 3000m級の山々に雲がかかり始める。だいたい天気は安定。
午後激しい夕立。



さて、今日は、2005/8/9~8/13の南アルプス登山紀行第5日目(最終)の日記(8/13(土)分)を掲載します。

全行程は、易老渡(いろうど)→易老岳(いろうだけ)→茶臼岳→茶臼小屋→上河内岳→南岳→聖平小屋→聖岳→兎岳→中盛丸山→(大沢岳)→百間洞山ノ家→赤石岳→百間洞分岐→大沢岳→中盛丸山→兎岳→ 兎岳避難小屋→聖岳→薊(あざみ)畑分岐→西沢渡(にしさわんど)→易老渡(いろうど)


kamikouchi

koiwakagami



上の絵は、 薊(あざみ)畑分岐(2300m)上のお花畑から上河内(かみこうち)岳を眺望した 図です。(南向き)(太平洋方向)
この「かみこうち」・・発音が上高地と同じであるため紛らわしい。「今から”かみこうちへ”」と言われて、『へえ、いまから北アルプスに向かわれるのですか。穂高などを?』と聞いて恥をかく。
実は北方、三伏峠の南側に小河内岳(ここうちだけ)(2801.6m)があり、このあたりでは”河内(こうち)”は一般的な名前です。
中央の細い2本線が滝のように流れ下る川。




下の絵は、 可憐なコイワカガミ です。
これは上河内岳のお花畑に咲いていたものをスケッチしたものです。





時間行程は、兎岳避難小屋(am5:07)→聖岳(am7:00)→薊(あざみ)畑分岐(9:30)→西沢渡(にしさわんど)(am1:30)→便ケ島(たよりがしま)(pm0:30)→易老渡(いろうど)(pm1:00)でした。



さて、最終日。
兎岳避難小屋をでたものの高度は2800mもある箇所ですので、朝起きてすぐの下山は、足元がふらふらし、とても危険です。ほとんど垂直の崖ですので、4つんばいになって逆向きに下りるほうが楽なところです。
聖兎コルの箇所が、兎岳と聖岳の間にあり、一番低い場所です。南下する場合はここからが、聖岳への登りにあたります。この場所はまた、巨大なラジオラリアの岩盤(下記事典)がむき出しになって、山の頂から谷底まで突き出している場所です。谷底から吹く風を受けながら、岩盤を見学する絶好の場所となっています。

聖岳への登りのコースは、赤石沢を見下ろす大変雄大な景色の中にあり、ダケカンバなどの潅木の間を縫うようになっています。この場合でも道(40cmくらい)を谷側に踏みそこなった場合は、そこに草が生い茂っていても、ズボッと足が落ちます。ここでは道の上のみを歩くという謙虚な姿勢が必要で、奢(おご)る気持ちや、雑念があればたちまち手痛い仕打ちをうけてします。
潅木を抜けるとガレ場で、こうなるとあとはジグザグの道をトラバースしていくのみで、足に沢山の酸素を送り続けなければならず、しばし立ち止まってはそれを繰り返すという登りになります。くの字型ジグザグ1回(距離8m)で1.5mの高度を稼げるとすると、300回の繰り返しで450mの高度差、走行距離は300x8=3.2kmという勘定。

感じることであるが、仕事とちがって登山は、実直に行為を繰り返して行けば、終には、頂上に到達できるということである。マラソンも同じ、歩きさえしなければゴールは確実に近づく。

さて、ようようにして聖岳(前聖)頂上。am7:00ともなれば、聖平小屋から、荷物なしで登ってくる登山グループが多数。百名山を目指している人達である。「100名山達成!」などのカードを胸に記念撮影しているパーティーもあり、あばちゃまグループの半オクターブ高い歓声など、頂上はちょっとした町の賑わい。
兎岳から頂上を目指した登山者は、現時刻(am7:00)、兎岳避難小屋の”第2の男性”(昨日の日記参照ください)とturbo717の2人のみ。

さて、南斜面が砂礫の大傾斜面。これも数百回のジグザグ道。多数の登山客で賑わう場所であるが、ひとつ危険が。 落石 である。
2,3日前に、白馬で落石があり、2人が埋まった。これほど大きい浮石はなそうであるが、頭ほどの大きさの石がごろごろ。
大変危険な場所でもある。上下降の際に、道を譲る場合が最も危ない。わき道に避けるとき、浮石に足が触れると、その石が転がっていく。「バック」という甲高い声もする。「落石注意!」というシグナルである。

年老いたおばあちゃんが頭からタオルをかぶり、左右が見えない中、下向き加減に黙々と登ってくる。もし落石があったらひとたまりもない。避けようがないからである。上を向いて歩いて欲しい。

薊畑(アザミバタ)分岐の場所は、少し上にお花畑があり、上河内岳(2803.0m)が目の前に美しい。西沢渡(にしさわんど)(1200m)から易老渡(850m)(いろうど)に下山することになるため見納めとばかりスケッチ。
ミツバチが手の汗を吸いにくる。かわいいものだ。そのうちチョウチョウもやってきて手にとまる。楽園とはこのことか。

おばさんグループが「まあスケッチ!」などといいながらわいわいその脇を通り過ぎていく。そのあとは静寂。
兎岳避難小屋の第2の男性とも挨拶。茶臼小屋から畑薙湖(東側)のほうに下山するという。
登り5時間を要する西沢渡(にしさわんど)までの尾根を降りる。多数の登りの登山者に出会う。聖岳登山の西側からのメインルートである。
2300mの高度からして、西沢渡の1200mの谷底は見えない。どんなに下っても、下界はまだまだ先という感じで、木の先端が眼下に広がる。高度1500m近辺で漸く川の音。尾根の右に(北)に西沢、左に東沢の2つの流れ。

西沢渡では川を渡るための籠が用意されている。先に到着して休憩していた3人のパーティーの人が親切にも籠をこちらに寄こしてくれる。それに乗ると、すこしの落差があるのか、自然と対岸に到着できた。服を川で粗い、行水するも、まだまだ1時間半の歩行が待っている。
どこまで歩かせるのかという感じである。

南信濃村(なんと、H17.10月に南飯田市になるとの垂れ幕が)の「かぐら温泉」というものすごい人気の温泉に髭ぼうぼうで入る。少年がくすくす笑っていた。


総括:
小屋では、いびきがすごく、間違った時刻での目覚まし(午前1時くらいに鳴り響くなど。薬をのむ時間カナ)などや。避難小屋で深夜にもかかわらずガスボンベを焚くあやしい影など、ほとんど熟睡ができないものの、眠気や、疲れはない。
これはひょっとして森林効果でないだろうか。フィトンチット(森林浴の香気エキス)や、小鳥の鳴く声、風・・全てが、身体に効くからではないだろうか。

大変な距離(総km=47.75km(直線)総高度差=10507m 走行消費エネルギー=47.75+10.507*10=148km相当)
を歩いたが、楽しいパーティーにも出会え、楽しい山行きであった。


事典:
イワカガミ
イワウメ科 Schizacodon soldanelloides Sieb.et Zucc.
山草または高山植物として、多くの人に親しまれている常緑の多年草で、ほとんど全国に分布。
コイワカガミ:種としてはイワカガミと同じものだが、高山にあって全体に小ぶりなっている。葉の縁の鋸葉がほとんどない。

ラジオラリア
上麻生礫岩
日本最古の石(20億年前の片麻岩礫)
石ができた年代は、ラジオラリア(放散虫)という非常に小さなプランクトンの仲間の化石が礫(石ころ)から出てきたことから決められました。
聖岳登山口からの東尾根にも露出した箇所があります。
この聖兎コルは手にとれますので、貴重な場所であります。

おわり。


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