●こやじの花園●キー局TVエキストラ・商品モニター募集

ホームレスの街「寿町」(2)


この闇雇用。賃金未払いや、条件詐称が頻繁に起きる。
日給6千円と聞いて行ったのに、
交通費(バスの送迎代)として1000円、昼食代として1000円引かれ、
結局8時~5時まで肉体労働をしたのに、4千円だった。
なんていうのは良い方で。

「今、親分がいないからよ、また明日取りに来てくれよ」
「なんならもう一日働いてけよ」
で、繰り返し。
「明日取りに来い」
って言われたって。
明日取りに行く交通費がナイんだから。貰えないじゃん!!
それでも、文句を言って二度と雇ってもらえなくなるのが怖くて、泣き寝入りする人がほとんどらしぃ。
もち、会社の言い分は「払わねぇとは言ってねーだろ!!」
確かに。日雇い労働をしたら、全額日払いしなきゃいけないって法律はナイ。

また、寝場所に困っている人に対して。
「寮に住んで何ヶ月か働く」
という方法もあるらしぃ。
同じくなんとか船舶。

コレがまたヒドイ話。

とりあえず、月給いくらで連れて行かれる。
一生懸命働いているかどうかは、知らないケド。とにかく働いてはいたらしい。
で、働いたら、終わればタバコも吸いたい、お酒も飲みたい(ウンウン)
しかし、ものすんごぃ何もナイ場所に連れて行かれるので、会社の売店しかナイらしい。
そこでタバコを買うと、500円くらぃするらしい。
350の缶ビールも、400円とかするらしぃ。
けど、全部天引きで買わせてくれるらしぃ。

約束の期限まで働いて、清算してみると。
寮代、食事代、天引き、印紙代、税金(え、コレなに??)引くとマイナスになったりして。
給料てか、
お前、金置いてけ。
って、ナイから引き続き労働力で支払う。
なんか、この話、聞いたことないか?
そうだ、慰安婦だ。。

話を聞いているうちに、可哀想過ぎて涙浮かべちゃってる人もいましたが、こやじとしては。
お。ソレいい商売ね。
アタシも彼ら雇って何か出来ないかしら?
と思ったね。
だって、弱い者は踏んで生きる性格ですから。踏まれたくなければ、強くなれ!!

けど、これじゃぁ、どうどうめぐりで生き地獄だね。
だったら、人間の一人くらい殺して刑務所入るねアタシなら。
タバコと酒と笑いを奪われることを抜かせば、あっちのほうがそーとー恵まれてる。

話もどって、酒もタバコもやらない堅実な人がいたとして。
天引きされるものが何もなくて、
給料日を待ったとしても、また日雇いと同じ
「今、親方がいないからよぉ。
経理がいないからよぉ。来週まで待ってくれよ。
なんなら来週まで働いていけよ。」

要するに、そーゆー仕事は
「寮に住んで、ゴハンを三食と少しの酒タバコのために、
働いてる」
って条件なんです。
給料なんか、ないんです。
あんま、刑務所と変わらないでしょ?



というわけで、寿の人たちは働きたくても働けないのです。
けど、ココで思ったのは、
じゃ、ホームレスになった人は全員まとめてそのなんとか船舶に連れてけば?
犯罪者じゃないのに、どおしてそんな生活しなきゃいかんのさ!って話だけれど。
その意見については長くなるから後述。

仕事にあぶれた人たちは、とりあえず中区役所へと向かう。
そこで、例のパン券とどや券をいただく。

私達は、労働センターを後にしてから、町内を散策して
「パン券」を使えるというソバ屋に向かった。
大勢でいると目立つので、5人グループになって向かった。
こやじのグループには女が一人で、歩いてる途中にオッサンというか30過ぎの兄ちゃんに声をかけられた。
兄さん「かわいぃね、おはよぉ」
こやじ「あんがと、寒いね」
兄さん「今度指名するよ」
こやじ「そーゆー店じゃないんだな。バナナは扱ってないけど!2時から炊き出しすっから!待ってるよ」
一緒にいたあとの4人は、30代の記者さんと、あとは真面目系の20代前半のボランティア古株の男の子。
男の子に言われた、
「指名するよ」
ってたぶん、冗談の意味が少し違うらしぃ。
こやじは
風俗で指名するよ
って意味で取ったけど、寿のなかで
指名
ってコトバは仕事にありつけるって意らしぃ。
真相は知らないけれど、30代であの町にいたことにビックリした。

ソバ屋に着いた。
といっても、ソバ屋は売店で、買ってそこらの路上で食べる。
混んでるなか、何を注文していいかわからず、
「カキアゲそば」
って行った記者さんのコトバに、それが一番安全だ(だって、月見とか言ったら卵アタリそうだし)と思い
「二つ!!」
と叫んだ。
カキアゲそばは、250円だった。
町内会の祭りで豚汁が入っているような、発砲スチロールの器に入って来た。
駅の立ち食いと同じで、ネギと七味がセルフサービスだったけれど、悪いがネギには手をつけられなかった。

店の前の路上では、ソバをススる人がたくさんいる。
寒い中、ソバの湯気だけが白く空に向かってのびてた。
とりあえず一口、汁ダケ飲んでみた。
案外、ダシが利いたオイシイ汁で、そこらの富○そばや駅の立ち食いよりもおいしかった。
あ、コレうまぃわぁ。。
カキアゲは、春菊だけの、いつ揚げたんだ?的な湿気ったヤツですが、
汁に浸せば同じこと。
けど、食べてくうちに思った。
このソバ、麺が多くないか?
寿では、何日も食べれなかったり一日一食が日常だ。
だから、量が多い。
けれど。。
たぶん、駅の立ち食いソバの二食分ぐらぃ麺が入ってましたよ。
はじめ、汁の味が物凄く濃く感じたけれど、
なるべく汁を吸わないように食べるには、丁度良い濃さだったわ。
もちろん、彼らの前で残して捨てるなんて出来なくて、
低血圧のこやじですが全部食べた。


しかし、寿の朝は早い。
昨日6時過ぎに歩いて、まったくひと気がなかったのに、こんなにも人がいるのか?ってぐらぃ人がいる。
ホント
今日、祭りですか??

行き交う人に、「おはよう」と平気で言われる。
なんだか、溶け込みやすい町だ。
まだ12時間もいないのに、何故か地域住民な感覚になった。
教会に戻って、さて炊き出しのボランティアが合流するまで休憩です。
こやじは、1限だけ大学に行かなくてはいけないので、学校に行く時間です。
また、外に出て一人で駅まで歩いた。
さっき、歩いてたおじぃちゃんにまた会った。
「おはよう」
ものすごぃ数のホームレス達が行き交う道。
普通なら、「恐喝、輪姦」怖くて歩けない。
けれど、寿は人数は多くてもとても狭い町。道に外れたことをすれば、イッキにその噂は広まって、この町では生きていけなくなる。
みんな、そんなことはしないし、こやじが女ヒトリで歩いていても
教会の女か
ぐらぃで挨拶してくれる。

ものの10分で、石川町の駅だ。
駅に近づくに連れて、通勤ラッシュのキチンとスーツのオジサンとお姉さんの人並みに紛れる。
こやじは、歩くテンポがものすごく遅かったことに気がついた。
思えば、普段こんなのんびりなペースで歩くことなんてなかった。寿にいたら、周りに飲み込まれていつのまにかのんびり歩くことが当たり前になっていた。

入るときは、違和感をそこまで感じなかったのに。
街に出てみると、この違和感は何なんだ。
全てのペースが速く感じた。
切符を買うこと、電車が来ること、駅のコンビニの品揃え。
全てが、不思議な感じがした。

学校に行く途中に、ふと駅のベンチに目が止まりました。
お一人様用、に区切りがされてる。
昨日、市立図書館に行ったときも、そんな風になってた。
コレは、ホームレス対策らしぃ。
道路は冷たいから、ベンチで寝るホームレスに、ベンチでは寝れないように、ベンチに凹凸をつけたり、
パイプのベンチにしたりしているらしぃ。


学校から戻って、みんな公園で炊き出しの準備をしているかな?
と思い公園に行ってみた。
すると、既に炊き出し待ちで人が並んでいた。
けれど、みんないなくて。
こやじは「なんだ?この女??」的な視線を浴びる。
やっぱ、知らない人には冷たい寿町。

教会に戻って、炊き出しの準備。
量が、ハンパないため、ものすごぃテキトーに野菜を洗い、切り、米を炊く。
寿の炊き出しは、基本的に雑炊。
今日は、カレー味。
飲食店でキッチンもやってた、こやじ。
こやじの感想としては、清潔ではないが、デパートの上とかもこんな程度だ、人間は丈夫。普通だ普通。
出来た材料をどんどんナベに入れて、煮る。
出来たらすぐ、
今じゃあまり使っているところはナイが、マンションや学校で使うゴミのポリバケツに移す。
水色の、フタ付きのヤツ。
ナベを何回も映し、ゴミバケツが満杯になったところで公園へ運ぶ。
ゴミバケツといっても、昔から炊き出し用に使っていたものだから、別に汚くはないんだけれど。
じゃぁ、使ってない新品の便器にゴハン盛られたら食べる?
って言われて食べないでしょ?
ソレと同じでちょっとヒイタ。

こやじは、感想を正直に言う。
だって、オブラートに包まれて気がつかないヨリ、気がついた方が、寿のためだと思うから。

とにかく、引きまくりだよ、今日は。

で、炊き出しの前に、誰も行ってないのにちゃんと公園の中に蛇がトグロを巻くように列が出来る。
こやじが思ったのは、
どうして
ただ突っ立ってないで、手伝いましょうか?ってみんな言えないんだろう?
炊き出し、食べたいけれど、始まるまで手伝いますって言えないんだろう?
自分たちのことなのに。
どうして
もてなされる
ことを当たり前のように思っているのか。
これは、寿だけじゃない。
若い娘と、オッサンたち。みんなに言いたい。
もてなされる
ことを当たり前と思うなら、金を払え。
どうして一緒にやらないんだ。

この話も、後で長々語りますので次へ。

炊き出しの配給が始まる。
れいのポリバケツから、普通の片手ナベで 富士そば 一杯と同じ大きさの器に雑炊をモリモリ盛る。
どんどん配る。

それに、ダイコンの漬物とミカン4分の1。
なにげに、ダイコンやミカンはいらないという人もいる。
オイ、ビタミンC取れよとむりやり渡したくなった。
どうして男は自分の体を労われないのか。
嫌でも喰え。体を労わることは、自分への投資だ。けれど、そこはガマン。

寿の炊き出しは、基本的に何杯食べても良い。
今日は、多い人で4杯。(片手ナベ4杯だよ!!!)
全部で400食ちょっと出た。
コレに関わったボランティアは、野菜提供、調理、準備、配食合わせて30人。

途中、「もぅ混雑は引いたから、並んで食べてみて?」って言われた。
正直言うと、一口で十分なので、いらなかった。
けど、
ボランティアの中に盲目の人がいて、その人と一緒に行ってきてって言われ、初めて盲目の人の手を引いて歩いた。
私が腰に手を当てて、そこに腕を組ませてリードする形。


盲目って、明かりが奪われて視界が真っ暗になると思われがちでしょ。
けど、実際はそうではない。
真っ白な霧の中にいる
と思ったら近いらしい。
だから、眩しくて、昼間はサングラスをする人が多いみたぃだ。
今日一緒にいた盲目の人は、ハーフなのかホリが深く、顔立ちとしてはとてもカッコ良い人だった。

見えないんだと思ったら、たくさん情報を伝えてあげたくて。
今、どれくらぃ並んでるよ。
次、角を曲がるよ。
今、二つ目のバケツが終わった。
並んでる中に3歳くらぃの子供がいた。
××さんが、どうした。

状況をコトバだけで伝えると、案外時間がかかって、
彼とはぜんぜん会話が出来なかった。

なんとか、少ない量で済まそうとしたものの、やっぱりムリだった。
結局片手ナベいっぱいに盛られた雑炊を、彼と私の分受け取って、人とぶつからない公園の端まで行く。
私の分を地面に置いて、
彼の手の握って、雑炊を渡す。

汚い話、ボランティアをするような女の子は、マニアックが多い。身なりに金を使っていない分、かわいい子は少ない。
こやじは、そういう雰囲気を消そうとスッピンで寿に行ったけれど。
やっぱり普段のオーラというか性格は隠せないもの。
けれど、盲目の彼にはソレが見えない。
なのに彼は
こやじのことを、優しいね と言った。
なんだか、
本心で言われた気がして、とっても嬉しかった。

彼が、いつから盲目なのか。
歳さえ聞けなかったけど、こやじが思ったのは、
目 さえ見えていたら、彼はモテモテで性格も違って、友達も違った。
今の世の中
イケテル
になるには、簡単だけど、難しい。
って思った。なぜなら、こやじはマニアックな高校でなかなか世間に(いわゆるギャル、女子高生って意味で)溶け込むのに苦労したから。
ボランティアに参加する人は、マニアック(真面目)が多い。
どうにか、普通(普通って観点は難しいけれど)の環境に置いてあげられないのか?と思った。
若者は、正直だ。目が見えなくても、面白かったり、イイヤツは受け入れると思う。
一緒に楽しめれば、受け入れられる。
ヒドイはなし、
「目が見えない」

「顔がブサイク」
は同じだ。目が見えないって短所を背負ったら、いかにみんなに迷惑をかけても、それのお返しを出来る能力をつけるかがポイントなんじゃないか。
その点、彼は抜群にギャグが面白かった。
しかも、顔はカッコイイ。
どうにか彼を救えないのか。(救うって表現もヒドイ?)だて、オバサンばかりの中にいるんじゃなくて、同世代の若者と接して、クラブで踊ったり、飲み会に行ったり、
皆と同じ環境を経験して欲しかった。
けど、まあいいや。




終わったあとの、反省会。
「では、初めての人もいるので簡単な自己紹介と感想を端からお願いします」
今回初参加の人は10人ぐらぃ。
が、突然のフリにも関わらず全員良く喋る。
一人平均10分近く話してた。
それだけみんな、ショックが大きかったのか。

それぞれが意見を述べ
炊き出しは、箸も、器も普通のプラスチック容器で行われていたのに対して
「容器は、環境に配慮して?」
という質問が出た。
経済的な面は、最初の2.3年はトントンなハズ。どうして普通の容器を使うのか。
ボランティアのボスが語るには
「色んな人に、ボランティアをする窓口をつくりたい、
ちょっとでいいから、手伝ってもらぃたい。
だから、仕事は多ければ多いほどがいい。
容器を洗うって、仕事は大切なんだ」
だそうです。


そのあと、町の中をちょっとお散歩した。
ら、のみ屋を発見した。
のみ屋と言いましても、こやじの大好きな飲み屋ではアリマセン。
競馬の裏賭けをするところです。
a
さすがに、この中に入っていく気になれなかったので外から覗いたダケ。
中ではオジサンたちがテレビで競馬を見てました。
テーブルがあって、そこに若い兄さんが座ってて、何やらそこでやりとりをするもよう。

どっから湧いたお金で賭けてるんだか。


町の中は、
みせ
こんな感じの、ちょっとボロめの店がちらほら。
工事現場のプレハブ小屋を使った食堂もあったり。
なぜか、スナックもあった。
どんな料金体系なんでしょうか。


 お散歩の途中、さっき「どや」を見せてくれたオッチャンが、
こやじともぉ一人の女の子にジュースをおごってくれると言い出した。
「いーよいーよ、喉渇いてないもん」
当然、慌てる二人。

 けど、譲らないおっちゃん。
自販機に駆け寄る。
自販機を見て、こやじビックリしたんですけれど。
フツーの、コカコーラとかカルピスの自販機なのに、値段が90円とか100円なのです。
よく見たら、ちょっとランク下げてポッカにいたっては80円で120円の缶コーヒー売ってた。

 おぉ。
自販機、臨機応変。すげぇ。。


 結局、何回か
「いーよいーよ」
って、遠慮したあげく、
あんま遠慮しすぎても、
「オマエなんかのコーヒーは飲めねえ」
って見下してるみたぃで悪い気がして、こやじは素直にごちそうになることにした。
相方は大学一年生だったので、そーとー困惑してたけど。

おっちゃんも、たまには若い女の子に何かおごってやって、
「ありがとぉ~(^0^)」
って言われてみたいかな、と思って。

だって、身寄り絶ってるから孫だって会えないんだから。

なので、何回も
「ありがとぉ」
「ごちそぉさま」
って言ってみた。



 道端てコーヒーを飲んでる間、おっちゃんが若い頃の話をしてくれた。
おっちゃんは、昔から貧乏だったけれど、他の地域に住んでいて中学生の頃に母親に連れられて寿に来たんだって。
そのオカンと兄弟は、今どぉしてるのかは聞けなかった。

妹たちは、厚木のなんとか学園ってトコロに預けられていて、(なんでだ?コレも聞けず)
正月に妹たちがこっちへ来て家族で食事に行ったんだって。

そのときに、お母さんが
「●●(おっちゃんの名前)、カツ丼にしなよ」
って言ったんだって。
そしたら、おっちゃんはすかさず、
「ヤダ!おれ白いゴハンが食べたい!!」
って言ったらしぃ。

おっちゃん、中学生のその日まで、カツ丼って食べたことがなかったんだと。
だから、カツ丼って言われてもわからなかったんだって。。


なんだか忘れたけれど。
話の途中で、おっちゃんが
「俺なんか、もぉ役所の世話にならなくて生きてけるんだから、パン券は貰うわけにいかない」
って言ったんだよね。
深く聞けなかったけど、じゃ、どや券も貰ってないのか??
じゃ、月々あの薄暗い3畳に6万6千円払ってるのか???
寿出身だから、なかなか差別されて他に移り住めないのかなぁ。。
コレも、とりあえず今日は聞けず。

けど、単身の高齢男性は確かに家を借りずらぃ。
いつだったか、家が借りれないばっかりに女装して女のフリをして住んでて、死んじゃって、大騒ぎって事件もあったよなぁ。



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