花輪



mさんは夜、息子の友人にドライブに誘われた。

「こんな夜にどこに行くの?雨もどしゃ降りよ」

息子の友人と息子とその嫁、と息子の子供と車で小仏トンネルに向かった。

mさんは霊感体質で霊能者になるようにと勧められるほどだった。

mさんを連れて行き、霊を見させてどういう状態かとか、危険かなどを知る為たびたび同行させられた。

深夜、大雨の中、息子の友人の運転する車で、横浜横須賀道路を通り、一般道路に出て町を走っている時、住宅地の一件の家がお葬式と判る装いをしていた。

その前を走り去ると、mさんは雨の中を歩く人がいたことに気が付いた。

その人は女性でジーパンに、Tシャツ姿で大きな花輪を抱えて歩いている、しかも深夜に一人でこのどしゃ降りの雨の中を傘もさしていなかった。

mさんは不思議に思い「なんでこんな夜遅くで雨もどしゃ降りなのに、花輪を持って傘をささないで普通に歩くのかしら?」

友人、息子、嫁が口を揃えて「えっ!なに?誰かがどこを歩いてる?」

「そこよ!すぐそこを花輪を持った女の人が傘もささないで歩いてるでしょう?」

「どこ?」「夜も遅いし女の人が歩いてなんか!誰も見えないよ!」三人とも顔色を変えていた。ぞっとして寒気がしていたそうだ。

「なんで?濡れても平気に歩いてるなんて、普通に気にせず」mさんがつぶやいているうちに車は勢いよくその場を走り去った。

三人には花輪を持った女性は見えなかったのに私には普通の人にしか見え無かった、雨の中傘もささないし、、、わたしには生きた人が歩いているようにしか....

今も不思議だったと思うと話してくれた、私にははっきり見えているのに、なぜみんな見えないって言って顔色変えるから私の方が怖かったって。


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