海辺のお部屋

海辺のお部屋

入院時代



僕は昨日 自ら自分の羽を傷つけようとした
もう一生飛べないように
でも それを止められた
今は僕にはその理由がわからない

その人は ぼくの羽をくさりでしばりつけた
もうこれ以上傷つけないように

僕はもう飛べなくなってもいいと本気で思っていたのに
何をしたって いつになっても僕のこの羽はもとのようには戻らない
大空を自由に飛べるようには

僕はもとのように戻らないのならば
こんな傷だらけの羽なんかいらないと思った
みんなが自由に大空を飛んでいるのを見るだけで心が痛むから
傷だらけの羽 飛べない羽を一生背負いながら生きていくのは苦しい

この場所へ来れば飛べるようになると思っていた
再び大空を自由に
もう1年以上飛んでいないあの大空を
でもどうやらそうではないみたい
飛べるようにはなっても
以前のように自由に 高く 遠くへは飛べない
そうなるまでにはまだ長い 長い時間がかかるらしい
僕の羽はそれくらいひどく傷ついていたらしい

早く 少しでも早く 自由に より遠くに 高くに飛べるようになりたい

僕についているこの羽のくさりは
僕が自分で羽を傷つけなくなるまではずしてはくれないらしい
これじゃあ自由に歩くことさえできない
こんなんで 僕の羽は本当に良くなるのだろうか

今はとにかくこのくさりが重い


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