福岡市個別指導学習塾慶應修学舎の記憶「石橋の思考」

福岡市個別指導学習塾慶應修学舎の記憶「石橋の思考」

2026.03.31
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テーマ: コーチング(184)
カテゴリ: 人生論
■とにかく行動せよ、の正しさと限界


「とにかく動いて、経験せよ」

そんな言葉を、若い頃に何度も聞いてきた人は多いだろう。
仕事の世界において、この考え方はたしかに「正しい」。変化の速い時代においては、「試行回数」こそが結果を左右する。やってみなければ何も始まらず、動き続けた者だけが成功に辿り着く。

けれども、「人生」も同じ論理で語ってしまってよいのだろうか。

■人生と仕事は、似て非なるもの

仕事では、最短距離が評価される。
だが人生では、遠回りや未完成、そして「途中で立ち止まる時間」そのものが、価値を持つ。

人生において、やりたいことをすぐに実行できてしまう状態は、必ずしも幸福とは限らない。
むしろそれは、「味わい」を失うことと引き換えにしているのかもしれない。

■好奇心の赴くままに生きてきたけれど


好奇心の赴くまま、思いつくことは何でもやった。やれることは、全部やってきたつもりだ。

それでも、ある時ふと、こんな考えが胸に浮かんだ。

「人間は、やりたいけれどやれないと感じている時間が、実は一番楽しいのではないか」と。

■手に入らないからこそ、愛おしい

「どこかへ行きたいけれど、お金も時間もない」
「次の休みには、きっと行こう」

そうやって夢見ている時間の「どこどこ」は、実際に行った場所よりも、ずっと輝いていることがある。

私は学生時代から旅行が大好きだった。
「思い立ったら、いつでも旅に出られる人間になりたい」
そう願いながら生きてきた。

そして今、私はその状態にいる。
昨日も、旅から帰ってきたばかりだ。

■夢が日常になったとき、何が失われるのか



旅先で「おすすめ」とされる観光地には、あまり足が向かなくなった。
現地の飲食店で、申し訳程度に舌鼓を打つ。
今でも旅は好きだが、それはもはや「非日常」ではなく、「日常」の延長になってしまった。

感動は、薄れていく。

その代わりに気づいたのは、「行きたくても行けなかった頃の、瑞々しい欲望」が、いかに貴重なものだったかということだ。

■苦しみが、生を黄金に変える



「欲しいものがあった、狂おしいほど手に入れたいものがあった、そのために苦しんだ、そしてあるとき、手に入れたいものを諦めた、放棄した、苦しみだけが残った、苦しみが生の側に残った、あの死ぬほど欲しかったものは何だったのだろう、わたしは憶えている、だが、わたしは苦しみだけを手に入れた。この苦しみがわたしの生を黄金に変えた。」


「手に入れられなかったもの」が、人生を空虚にするとは限らない。
むしろその「苦しみ」こそが、生に深みと輝きを与えることがある。

■夢を叶えた人生と、叶わなかった人生

たとえば、プロサッカー選手になりたかった彼が、プロサッカー選手になり、そのまま人生を終える場合。
一方で、プロサッカー選手にはなれなかったが、その仕事に憧れと輝きを抱いたまま生き、死んでいく人生。

どちらが「幸せ」なのか。
その答えを、誰かが簡単に決めることはできない。

■「やらなかった後悔」も、人生の宝物

「やらないで後悔するより、やって後悔したほうがいい」
そんな言葉を、私たちは何度も目にしてきた。

たしかに、それは一理ある。
しかし同時に、「やれなかった切なさ」や「諦めた痛み」もまた、人生を形づくる大切な感情だ。

「やらなかった後悔」には、「可能性が存在していた証」が残る。
それは決して、無価値な感情ではない。

■手に入らない幸せを、抱きしめて生きる

すべてを手に入れなくてもいい。
すべてを経験し尽くさなくてもいい。

「手に入らないからこそ、心の中で育ち続ける幸せ」がある。
その未完の感情こそが、人生を静かに、しかし確かに豊かにしてくれる。

私たちは今日も、叶わなかった夢とともに、生きていく。
そしてそのこと自体が、すでに「幸福」なのかもしれない。





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Last updated  2026.03.31 15:50:04
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