パパはおもしろい

パパは時々おもしろい行動に出る


▲第1話▲
  朝、6:55。いつものようにパパを起こしに二階へ上がった。
  ガラガラー(扉を開ける音)
  ママ「あのー7:00にもうすぐなるんだけど・・・」
  と、布団をめくり上げた。
  パパ「・・・あのさー、バッテリーってさー・・・・・」
  ママ「はっ?バッテリー??」
  パパ「うん。バッテリーってさー・・・」
  ママ「うん。バッテリーが何?」
  パパ「まーいいや・・・」
  ママ「何っ?バッテリーがどうしたの?」
  パパ「もういいや・・・」
  ママ「ふーん。いいならいいや・・・」
  よく訳の分からない会話を朝っぱらからしてしまいました。
  どうやら、私が起こしに行った時も、目覚めた時も、目は開いてるのに、
  夢の中だったみたいで、私と話してる最中に気づいたみたい。
  (なんでママにこんな事話してるんだろう・・・)って・・・
  私はいったい誰と間違えられたんだろう。


▲第2話▲
  いつものように朝6:10に起きた。
  ベットから降りて、パパの顔を見ると、枕元にティッシュのBOXが・・・
  (きゃーー。パパったら、夜中に何してるんだろう。確かに私は今妊娠中!
  だけど、夜中にそんな・・・・気づかなかった私が情けない・・・)
  ごみ箱には、大量のティッシュの山。
  パパを起こしに二階へ行った。
  ママ「7:00になるんですが・・・なんでティッシュの箱が枕元にあんの?
  夜中にやらしい事したの?ひとりぼっちで・・・」
  パパ「違うっ!夜中に急に耳から血が吹き出てきて、拭いたの・・・」
  ママ「耳から??どれどれ・・・」
  パパの左の耳たぶが血まみれになってるー。しかも、布団にも枕にも血痕が。
  まぎらわしいトコにティッシュの箱を置かないでくれーって思った。
  想像が大きく広がって、“何”をしているパパの姿を描いてしまった。
  その耳たぶは、一年に2~3回、破裂するらしく、破裂の直前は、通常の
  2倍ほどに腫れ上がってくるらしい。
  それにしても、夜中の出血で大騒ぎしていたパパに全く気が付かなかった。
  ・・・・と言う事は、ホントに何かしていても、きっと私は気づかないまま
  寝てるんだろう。
  だけど、そういう時だけ、なぜか目を覚ます自信のあるワタクシです。

▲第3話▲
  ものすごい大雪が降った。
  ちょうどその日は、結婚の記念に・・・・と腕時計を買いに出掛けた。
  高級時計を購入するつもりだったので、見苦しい装いではナメられてしまう
  と思って、オシャレにきめて,現金を100万程持って・・・
  普段なら、大雪が降っても国道には積もらないけど今回の大雪はものすごい。
  みんな怖いからトロトロ運転。パパの車もトロトロ運転。
  出発して、30分くらい走ったら、車の流れが止まり始めた。
  「なになに??事故事故??」
  慌てて私はメガネをかけた。
  そしたら事故じゃなくて、ノーマルのタイヤをはいて走ってた2tトラック
  が上り坂でスリップして動かなくなってた。
  パパの車の前に5台くらいいたかなー・・・
  その5台は、スリップしてるトラックを横目に、抜かしていきやがる。
  みんな急いでるんだよねー・・・ヒトゴトだからね。
  そして、ついにパパの車がトラックの後ろについた。だけど、反対車線からも
  車が途切れる事なくくるから、なかなか抜かせない。
  そこで、ついつい私は言ってしまった。
  ママ「車の整備士だったら、なんとかしてあげるのが人情・・・。助けて
  あげたら・・・」
  パパ「助けるって言ったって、一回滑ったらもうダメさー。そうだし、整備士
  なんてカンケーないって・・・」
  ママ「うわっ!残酷な人。ヒトデナシ・・・」
  パパ「だったらお前行ってこいよ。」
  ママ「やだ。雪降ってるし、さぶいもん」
  パパ「んじゃ、行ってくるわー」
  とりあえず行ってくる・・・みたいに車を降りた。上着も着ずに・・・
  トラックの運ちゃんと何か話してる。
  そこではこんな会話だったらしい。
  パパ「チェーンは持ってないっすか・・・」
  運 「持ってない」
  パパ「荷物は積んでます?」
  運 「空っぽです」
  パパ「じゃあ、僕押すんで、手伝って下さい」
  パパは助手席に座ってる人にも声を掛けた。
  助手席にいるんだったら、もっと早くオマエが押せよっカンジ・・・
  そして、パパともう一人のおじさんと二人でトラックを押しはじめた。
  私はというと、あったかーい車の中で、靴まで脱いでその様子を見ていた。
  ちょっとずつだけど動いてる。
  すると、パパの車の後ろについてたジムニーに乗った女の子(年は23歳
  くらいかなっ)が私の横を通り過ぎて行って、そのトラックを押し始めた。
  そして、その後ろの車に乗ってたオッサンも走って行き、トラックを押し
  始めた。(なぜかナガグツをはいてる)
  多分、その様子を見られるのは私だけ・・・後ろの方の人はここで何が起
  こってるのか知らない。なんだか、こんな所でヌクヌクとくつろいでる自分
  が申し訳なく思えた。
  ものすごい葛藤があった。
  せっかくオシャレしてきたのに、トラックを押せば必ず汚れる。足元もブーツ
  だから、滑りやすいしキケン。なんといっても、この車には大金が・・・
  しばらく考えて私は出て行った。コートを着て、マフラーもしっかりして・・
  これで、トラックを押してる人数は5人。プロジェクトチームができた。
  ほんの少しずつだけど、前に進んでは、また下がってきたり・・・
  パパは、車体が横滑りしないように一生懸命横から押してた。
  もう一人の女の子は、足元がすべって、何度も転がってた。
  私も一回転んだ。何かが出ちゃいそうなくらい力んで押した。
  何分くらい押したんだろう・・・30分くらいかなー。進んだのは50m
  くらい。
  やっと上り坂が終わって下りにさしかかる手前まで来た。これでもう大丈夫。
  トラックの運ちゃんは、もう二度とブレーキを踏むもんかーってなカンジで
  勢いよく行ってしまった。
  さて、ここから・・・・
  パパは私もこのプロジェクトに参加していた事を知らない。
  私は、もう一人の女の子とお話をしながらパパの後ろを歩いて坂道を下って
  いった。
  すると、パパは自分の車に向かって、
  「おーい、こっちまで来いって・・・」
  と小声で叫んでる。それも、何度も何度も、手を振りながら・・・
  んっ?何をしてるんだろう・・・
  誰かお友達でも見つけたのかなーと思いながら、それでもまだパパの後ろを
  歩いていった。
  やっと車までたどり着いたら私がいない事に気づいたらしく、後ろを振り
  返った。
  パパ「なにーっ!お前も押しとったんかー」
  ママ「うん。なんで??」
  パパ「そんな事知らんかったから、ずっと“こっち来い”って言っとった。
  ハズカシー・・・」
  ママ「なになにぃ、あのジェスチャーは私にしたのー?」
  パパ「うん。だって車におると思ったから・・・」
  ママ「ごめーん」
  パパ「さぶいけど、暑いなー・・・手も真っ黒。」
  私はそんな事よりも、車に乗せたままの現金の方が気になるっちゅーの。
  この日のパパは、ものすごーくかっこよかった。・・・だけど、最後がダメ!
  せっかく良い事をしても、ワライモノになってしまった。
  絶対何かケッサクな事をしてくれるのがパパなんだけどね・・・

▲第4話▲
  夜中に、突然パパが私の肩をトントンと叩いた。
  パパ「ねえねえ・・・」
  ママ「なに?」
  パパ「軽トラって持ってきた?」
  ママ「軽トラ?」
  パパ「うん。持ってくるって言っとったらー」
  ママ「どこから?」
  パパ「○○(地名)から・・・」
  ママ「はっ!?なんで?知らんよ・・・」
  パパ「じゃあどこいっちゃった?」
  ママ「知らん・・・寝ボケとるの・・?」
  パパ「なんで?」
  ママ「だって、ワケ分からん事言うから・・・」
  パパ「・・・・・・・」 
  パパからの返事はなかった。

  次の日の朝、その会話の事を話したら、全く覚えてない。
  ママ「軽トラをどっかから乗ってくる事になっとるの?」
  パパ「軽トラ?・・・なんで?」
  ママ「だって、そんなような事言ってたから・・・」
  パパ「オレが言ったの?」
  ママ「うん。」
  パパ「○○に持ちに行く事にはなってる」

  かわいそうな人だ。夢にまで仕事の事が出てきちゃうんだよー。
  ストレスもたまるワケだよなー。
  もう少しいたわってあげよーっと・・・・


▲第5話▲
  夜中に行動に出る事はこれだけではない。
  タケルを産んで、しばらくは別々の部屋で寝てた。
  だけど、時々私の布団に横になってタケルの顔を見ていて、そのまま朝まで
  寝てしまう事があった。だから、ちいちゃい私の布団に、大男と私が体を
  ひっつけて寝るの・・・
  ある時、パパがとなりにいる私の腰のあたりに手を回してきた。
  (きゃーっ!パパったら、ついに我慢の限界かー・・・だけど、となりには
  タケルがいるしー、となりの部屋にはじいちゃん・ばあちゃんがいる。
  こんなトコでは・・・・)
  と思ったら、パパの手が私のわき腹へ移動して、ポンポンと叩き始めた。
  パパ「よしよし・・・よしよし・・・」
  なんと、パパは私をあやし始めたのだ。タケルと間違えて・・・

  翌朝、その話をしたら、やっぱり覚えてなかった。
  どうしよう。私と間違えてタケルに何かしたら・・・・
  コワーイッ。


▲第6話▲
  まだまだ続きます。
  ある晩、突然パパが笑い出した。
  パパ「あははは、あははは・・・・僕、○○(出身地)なんで、すいません」
  謝ってるよ~・・・誰かに・・・
  パパ「あっ、はい。・・・・はい。・・・」
  誰かと喋ってるぅー。
  パパ怖いーっ。
  パパは、ムニャムニャ言いながら、また寝てしまった。
  そして、やっぱり覚えてなかった。








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