あなたがくれた刹那の時間

あなたがくれた刹那の時間

ママ幸せ?



殿「ママ忙しい?」

私「何?忙しくないよ。遊ぼうか?お膝に来る?」



このとき私はビデオ屋サンでの殿とのバトルを思い出していた。
ビデオを返しに行った。
ビデオは一週間に一人一本。
ただし1本100円のセールのときは2本借りていい。
これがうちの決まりだ。

いつもはこのことに何も問題ないが、昨日は殿がどうしても
2本借りるといって引かない。昨日は通常料金の日。
「約束だから絶対にダメ」
「2本借りたい!」
いつまでたっても平行線。
殿が大声で泣き出した。
泣きながら猛烈なパンチを繰り出してくる。
しかもボディ・・・
痛い。
あまりにわがままが続くので右利きの私は
左手で殿のほっぺたをパチン!とビンタ。
初めてそういうたたき方をした。
他の客の借りてやればいいのに・・・みたいな
たたいて可哀想・・・みたいな視線を感じていた。
殿に「100数えて来なかったら置いて帰るから一人で
歩いて帰りなさい。」といって店の外に出た。

姫はこういう風にいうと必ず来る。
でも殿は来ない。
怒るのをやめるきっかけが分からないのだ。

100数えて迎えに行っておんぶの構えをしてみせた。
周りの目を気にしてか乗ってこない。
「お友達とか知ってる人いなかったから大丈夫」
と言うとおぶさってきた。

私「わがままやったよね?悪いとおもっとる?」
殿「うん。」

でもここでは素直に謝れない性格。
私「じゃあご飯食べるまでの間にママに謝ってね。
  嫌な気分でご飯食べるの嫌やけん」
殿「分かった」




で、きっとこのことを誤りたいんだな~と思った。

殿「ママ、ビデオ屋さんでごめんね」

私「わかればいいよ。ビデオもう一つ借りるお金はあるけど
  2つ借りてもご飯食べれんくはならんけど、わかるよね。
  パパとママとみんなで家族会議で決めたことやけんね」

殿「うん。わかっとる。・・・・・・・・・・・・・・・
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  ねぇ?ママ幸せ?」

私「そうやねぇ~殿が幸せだったら幸せよ」

殿「じゃママは幸せじゃないね。」意外な答え。

私「え???殿は幸せじゃないの?みんなに可愛がられて
  お友達も沢山いて幸せかな~と思っとったけど」

殿「僕が幸せなわけ無いやん。パパが死んでしまったんやけ  ん」

がーーーーん!!!
そういえば前にもこんな会話をしたな~。

私「じゃどうやったら幸せになれると思う?
  ママにできることなら頑張るけど」

殿「ママにはできんよ。頑張っても無理。」

私「言ってみて」

殿「パパが生き返ったら幸せになれる」

私は涙が出てきた。そうかやっぱりこの子は繊細なんだ。
抱きしめた。そんなことをこの子は考えていたんだな~。
一番何も考えずただやりたいことを自由気ままにやってる
ようにみえるのに・・・

同じ質問を姫にしてみた。
答えは「う~ん。まあまあ幸せかな。」って。

3人で幸せになれる方法を考えた。

いつもパパのことを心に思って一日一日を頑張ろう
きっとパパが天国から幸せになれる力をかしてくれるよ

ということで話は終わった。


幸せの意味が分からなくなった。
子供が幸せじゃないと思ってることがショックだった。
パパがいなくても幸せだと家族で言えるように
頑張らないとね。でもどう頑張るの?
まだその答えは見つからない。

2004年5月17日


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