第31条1(解釈)を具体的に読むと「条約は、文脈によりかつその趣旨及び目的に照らして与えられる用語の通常の意味に従い、誠実に解釈するものとする。」とある。 )さらに第31条2には「条約の解釈上、文脈というときは、条約文(前文及び附属書を含む。)のほかに、次のものを含める。 (a) 条約の締結に関連してすべての当事国の間でされた条約の関係合意」 )「(b) 条約の締結に関連して当事国の一又は二以上が作成した文書であつてこれらの当事国以外の当事国が条約の関係文書として認めたもの」 ここで本条約の該当部分の英文を参照すると(a) 関係合意→any agreement (b)文書→any instrument 条約の関係文書→an instrument related to the treaty FCTCガイドライン自体は、non-bindingであるけれど、an instrument related to the treatyですね。ということは解釈として 「FCTC条約は、FCTCガイドラインにより、かつ同条約の趣旨及び目的に照らして、与えられる用語の通常の意味に従い、誠実に解釈し、履行するものとする(もっとも強制力の強いshallが使われている)」 よってFCTCガイドラインで明確に否定されている工学的解決策(=分煙策=喫煙室設置)を進めることは、FCTC条約を誠実に解釈し、履行していないということになります。 さらに日本国憲法第98条2は「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする」とあるのであるから、日本国憲法にも抵触する行為になります。以上です。 付記 さらに加えて「解釈の補助手段」というものがあります。詳しくは条約法に関するウィーン条約第32条を参照。 以上みてきたように、決して「ガイドラインには法的拘束力がない」などという矮小化された文言で片付けられる問題ではないのです。