うりぼうず

うりぼうず

科学一般


 ひねくれものといえば、ひねくれモノ。しかし、その論は正論である。ただ、正論すぎて、「だけど、それでも人間はやっぱり理屈ではない」とも言いたくなってしまう。
 「地球温暖化論のいかがわしさ」などは、その通りであろう。ただ、二酸化炭素の排出が、温暖化に関係ないとも言い切れない現状。もし、影響があることがわかっても、そのときには遅すぎるとしたら、やっぱり今からセーブしておくことは必要ではないか。
 また、「外来種撲滅キャンペーンに意義アリ」も、一時は日本を埋め尽くすかに思われた、アメリカシロヒトリやセイタカアワダチソウも、いつの間にかおとなしくなっていることを考えれば、その通りなのかも知れない。でも・・・。
 でも、自然保護論者の結局は人間中心的な思考を鋭く衝く筆者だが、自宅の庭で羽化するアブラゼミの美しさと、庭に営巣して、大量のアブラゼミを食べて巣立ったひよどりに対するまなざし、そしてその巣立ったばかりの雛を餌食にしたカラスについて書いた章には、命の意味についての鋭い考察が光っている。
 まあ、基本的には、面白い本であることは確かだ。

 ★「日本の自然史博物館」(糸魚川淳二、東京大学出版会)
 まじめな本。ちょっと専門的だが、自然系の博物館に求められているものなどが、それなりに理解できる。日本の博物館の問題は、専門性のない事務系の職員がトップに立つことが多く、理念を持った経営ができにくいところか。これによると、千葉県立中央博物館などは、高い評価を受けている。たしかに、野外の植物園なども含めて、けっこう面白かった。
 さらに言えば、日本の公立博物館などは、通常展示は基本的に無料にしたほうがいいのでは。受益者負担というが、所詮は経費の1割もまかなえないところが大半。それならば、タダにして入場者を増やすことが、教育的効果も考えると、むしろ社会的な有益性が高まると思える。
 タダでなくては行かないという考え方も、問題かもしれないが、そうでもしないと、ただ空間が遊んでいるだけになてしまう。


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