マーズ・グローバル・sの新しい発見

火星の赤道付近で起こった洪水は1000万年前のものだった




【2002年2月21日 The University Of Arizona News】

NASAの火星探査機マーズ・グローバル・サーベイヤーに搭載されたマーズ・オービタル・カメラが撮影した画像を解析したアリゾナ大学の研究者たちが、火星の赤道付近で起こった洪水はおよそ1000万年前に発生したものであると発表した。

マーズ・オービタル・カメラが撮影した、ケルベロス窪地の南西部の水路に見られる構造(写真提供:NASA / JPL / MSSS / D. M. Burr (The University of Arizona) et al.)
アリゾナ大学のDavon Burrらの研究グループは、火星の赤道のすぐ北にあるケルベロス平原に見られる、長さ1000km以上にわたる裂け目を写した画像を解析した。その結果、この裂け目からおよそ1000万年前に大量の水が流れ出したことがわかったのだ。これまでは、20年以上前にバイキング探査機が撮影した画像の解析から、火星で起こった洪水は20億年以上昔のものであると考えられていたが、今回の結果では洪水は(太陽系の歴史から考えると)ごく最近に起こったものであるということになる。

洪水の際に流れた水の多くは、ケルベロス平原を覆っていた溶岩に吸収され、地表近くに地下氷として存在している可能性がある。こうした地下氷の存在と最近の地熱活動の記録から、ケルベロス平原は将来火星の生命を探査する時の重要なターゲットとして注目されそうである。

2004年1月4日着陸成功
目的

マーズ・ローバー・ミッション(Mars Exploration Mission)は、火星の異なる場所にローバーを着地させて、過去の時期に存在したと考えられている液体の水と生命活動の痕跡を探査する。このほか、探査する周囲のパノラマ景色や地形の画像の撮影、岩石の化学組成や土壌に含まれる鉱物を分析する。 1997年のマーズ・パスファインダー・ミッションによるミニローバーの探査を補完するミッションでもある。

ミッション

マーズ・ローバー1号機は南半球の赤道に近いグセフ・クレーターに、2号機も同じ南半球の赤道直下に広がる広大なメリディアニ・プレヌムに着地する。着地方法は、マーズ・パスファインダーと同じエアバッグ方式が採用されるが、ランダーに搭載されるのではなく、ローバーのみの単独着地となる。ローバーは、1火星日(24.37地球時間)あたり100m2 の地域を探査する能力がある。これは、1997年7月から3ヵ月間地表を探査したミニローバー(ソジャーナー)の全面積に相当する。マーズ・ローバーの探査は少なくとも、3ヵ月間続けられる。

探査場所

1号機が探査するグセフ・クレーターは、火星の南緯14.7度、西経184.5度にある地形が複雑に入組んだグセフ・カズマに位置する直径150kmの巨大な衝突クレーターである。 この地域には液体の水が流れ込んだ跡と思われる地形があり、過去の火星が湿潤な時期には湖があった場所で、火星生命の証拠を探す面から、非常に興味深い場所と考えれれている。

2号機が探査するメリディアニ・プレヌムは、南半球の赤道直下の南緯2.2度、西経1.3度に広がる広大な台地である。ここには、過去の時期に液体の水が存在したことを示唆する赤鉄鉱が豊富に分布しているほか、かつて湖底であったことを思わせる物質の堆積層が見られる。

搭載科学機器

双子のマーズ・ローバーは高さ1.5m、幅2.48m、重量130kgで、1997年7月に火星の地表に到着して約3ヵ月間調査を行ったミニローバーのソジャーナー(Sojourner)に比べると、高さと幅は約5倍、重量は12倍以上もある。 マストの上に取付けられたナビゲーション用パノラマカメラと岩石の化学組成や土壌に含まれる鉱物を分析する赤外線放射分光計のほか、マーズ・ローバーにはラット(ネズミ)と呼ばれる岩石の表面を削り取る擦過器、内部の岩石シュツをクローズアップする拡大鏡およびその化学組成を分析するX線カメラの科学機器が搭載されている。

愛称

双子のマーズ・ローバーには、それぞれ愛称がつけられた。1号機はSpirit、2号機はOpportunityと名付けられた。愛称は、米惑星協会と教育玩具の大手であるレゴ社が国内の小・中学生を対象に行なったネーミング・コンテストに寄せられた1万以上の中から選ばれた。 二つの名前を提案したのは、アリゾナ州在住の小学3年生のソフィ・コリンズさん(9歳)である。

<参照>
The University of Arizona News: Floods at Mars’ Equator Are Recent, UA Scientists Say
SPACE.com: Photos Suggest Recent Flooding on Mars, Study Claims
<関連リンク>
マーズ・グローバル・サーベイヤー: http://mars.jpl.nasa.gov/mgs/
アリゾナ大学 惑星科学部 / 月惑星研究所: http://www.lpl.arizona.edu/
<関連ニュース>
2001/11/10 - マーズ・グローバル・サーベイヤーが撮影した火星の地表
2000/04/26 - マーズ・グローバル・サーベイヤー最新画像集 (NASA)
1000万年前の大洪水跡








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