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玲子42~自慰 1~


手早く身支度を整え、部屋を後にした。ベッドサイドにメモを残して。
『おはようございます。ずっと一緒にいてくれてありがとう。先に帰ります。
また連絡します。玲子』

部屋に帰って、バスタブに湯を張った。
ぬるめのお湯にローズウッドの入浴剤を入れて、ゆっくり浸かる。
やはり消化不良のような不快感が残っていた。
食べつけないものを、気まぐれに口にしたせいだ、と思った。
北山とのセックスは、想像していた通りのもので、それ以上でもなければ、それ以下でもなかった。
ただ、そのことが無性に慎司を思い起こさせた。
慎司はもう、アタシを必要としなくなったのだろうか。
アタシのカラダは、慎司を欲しがって、いつも餓えているというのに。
慎司のことを考えながら、自分の乳房を鷲掴む。強く、強く、揉む。
目をつぶって、慎司との情事を思い出す。カラダが熱くなってくる。
もう片方の手を、下腹部へ持って行く。
ゆらゆらと湯になびく、短いアタシの茂みに指を這わせる。
敏感な花びらまで、指で伝ってゆく。
スリットをなぞると、もうすでに慎司を想って、ぬるぬるになっている。
アタシは湯から上がり、身体を簡単に拭くと、バスタオルを巻きつけて、
そのままベッドへもぐりこんだ。

アタシの頭の中は、慎司で一杯だった。
早く、イキたい。
そんな淫らな疼きが占領している。
北山とのセックスでは得ることができなかったものを、今、味わいたいと願っている。
ベッド脇の引き出しに、慎司からもらったローターが入っていたのを思い出した。
取り出して、箱から出してみる。
付属の電池をセットして、スイッチを入れると、ウィーン、というモーター音と共に
繭のような形をしたものが、振動を始めた。
初めてのこと、というのは、どんなことでも緊張する。そして、躊躇する。
それでも、アタシと慎司とを繋ぐ唯一のものを、アタシはそっと近づける。
これが、アタシと、慎司を繋ぐものなのだ。淋しいけれど。
アタシは深呼吸をして、ゆっくりと、当てた。



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