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ヒトヅマ☆娼婦 1


右も左もわからないまま、こうして椅子に座っている。
「君は若くてかわいいから、ひいきのお客さんがすぐにできるよ」
六本木のキャバクラの面接で、店のマネージャーに言われた。
やっちゃんも、同じことを言った。
「しのちゃんはかわいいから、すぐ人気者になるね。」
あたしが手っ取り早く稼げる道は これしかないし、さ。
「しのちゃんが嫌なら すぐやめればいいよ」
別に嫌じゃなかった。
やっちゃんのためにも、がんばって働かなきゃ。

やっちゃんは公認会計士になるために毎日がんばっている。
お昼間は学校に行って、夜も勉強をしている。
時々、短期のバイトに行ったり。

やっちゃんとあたしは、出身が一緒。
東京に出て、でもやることなくてふらふらしているとき
偶然やっちゃんにばったり会った。
あたしは昔、やっちゃんのこと好きで。
だから、すぐにやっちゃんだってわかった。

やっちゃんが「一緒に暮らそう」というので
あたしは嬉しくて、やっちゃんのアパ-トに転がり込んだ。
やっちゃんが「籍を入れよっか」というので
さっそく2人して市役所に婚姻届を出しに行った。

なんだかやっちゃんの気まぐれでしちゃったような結婚だけど
あたしにとっては願ってもないシアワセだった。





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