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小説「アクシデント」


アクシデント1


アクシデント2


アクシデント3


アクシデント 4


アクシデント 5


アクシデント 6


アクシデント 7


アクシデント 8


アクシデント 9


アクシデント10


アクシデント11


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アクシデント17


アクシデント18


アクシデント19


アクシデント20


アクシデント21


小説「玲子」


玲子1~プロローグ~


玲子2~出会い~


玲子3~誘い~


玲子4~2人の男~


玲子5~オトナのゲーム1~


玲子6~オトナのゲーム2~


玲子7~ゲームの後で~


玲子8~接近~


玲子9~唇~


玲子10~仕返し~


玲子11~衝動~


玲子12~INSERT~


玲子13~脅迫~


玲子14~嘘つきな女~


玲子15~エレメント1~


玲子16~エレメント2~


玲子17~紅いランジェリー~


玲子18~序曲~


玲子19~羞恥~


玲子20~葛藤~


玲子21~彼の事情~


玲子22~彼女の事情~


玲子23~高まり~


玲子24~指~


玲子25~反撃~


玲子26~戯れの跡~


玲子27~懺悔~


玲子28~蒼い時 1~


玲子29~蒼い時 2~


玲子30~カウンターの下で~


玲子31~玩具~


玲子32~求愛~


玲子33~「妻」という名の女 1~


玲子34~「妻」という名の女 2~


玲子35~自惚れ~


玲子36~『Bar D』にて 1~


玲子37~『Bar D』にて 2~


玲子38~『Bar D』にて 3~


玲子39~追想~


玲子40~意思~


玲子41~誠意と責任~


玲子42~自慰 1~


玲子43~自慰 2~


玲子44~くちづけ~


玲子45~調教~


玲子46~父の死~


玲子47~写真~


玲子48~傷跡~


玲子49~残り香~


玲子50~狼狽~


玲子51~エピローグ~


小説「SENPAI」


SENPAI 1


SENPAI 2


SENPAI 3


SENPAI 4


SENPAI 5


SENPAI 6


SENPAI 7


SENPAI 8


SENPAI 9


SENPAI 10


SENPAI 11


SENPAI 12


SENPAI 13


SENPAI 14


SENPAI 15


SENPAI 16


SENPAI 17


SENPAI 18


SENPAI 19


SENPAI 20


小説「ヒトヅマ☆娼婦」


ヒトヅマ☆娼婦 1


ヒトヅマ☆娼婦 2


ヒトヅマ☆娼婦 3


ヒトヅマ☆娼婦 4


ヒトヅマ☆娼婦 5


ヒトヅマ☆娼婦 6


ヒトヅマ☆娼婦 7


ヒトヅマ☆娼婦 8


ヒトヅマ☆娼婦 9


ヒトヅマ☆娼婦10


ヒトヅマ☆娼婦11


ヒトヅマ☆娼婦12


ヒトヅマ☆娼婦13


ヒトヅマ☆娼婦14


ヒトヅマ☆娼婦15


ヒトヅマ☆娼婦16


ヒトヅマ☆娼婦17


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ヒトヅマ☆娼婦20


ヒトヅマ☆娼婦21


ヒトヅマ☆娼婦22


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ヒトヅマ☆娼婦24


ヒトヅマ☆娼婦25


ヒトヅマ☆娼婦26


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ヒトヅマ☆娼婦28


ヒトヅマ☆娼婦29


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ヒトヅマ☆娼婦31


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ヒトヅマ☆娼婦37


ヒトヅマ☆娼婦38


ヒトヅマ☆娼婦39


2009年05月25日
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カテゴリ: 小説
島村との本格的な個展の打ち合わせが始まった。
これからは今井抜きで2人きりで打ち合わせることも多くなるだろう。
島村はきっと2人の間に何事もなかったように、淡々と話を進めるに違いない。
そのペースに自分も合わせていけばいいのだ。なにも心配することはない。
律子はそう考えていた。
しかし、そうは思っていても平常心を保てない自分がいる。
島村をギャラリーの奥のオフィスで待つ間、律子は何度も鏡を覗いた。
「夏川さん、島村様がお見えです」同僚が声を掛ける。
「あ、はい」律子は前髪を指で整え、ギャラリーへ出た。

「いらっしゃいませ」律子が声をかけると、こちらを振り向いた。
そして少しだけ、微笑んだ。

そう、この表情。
この表情が、好きだった。

律子の心の中で声がする。
律子は、切なさを呼び起こそうとする自分の心の声に耳を塞いだ。
「どうも」島村は会釈して続けた。
「もしここを出られるなら行きたいところがあるんだけど、一緒にどう?」
「え?」
「だめかな」
「い、いいえ、大丈夫ですけど・・・」

律子は打ち合わせと称して島村と出かけることを同僚に告げ、
支度をして島村とギャラリーを出た。

島村は律子の少し前を歩いていく。どこに行くのかも告げずに。
昔から島村はそうだった。
「ねえねえ、どこにいくの?」

りつこはいつも、わくわくしながら島村の後を追った。
「着いたよ」
島村が謎解きの答えを見せるような表情で言うと、そこは時には老舗の蕎麦屋であったり、
古本屋であったり、安くて美味しいコーヒーを飲ませる昔ながらの喫茶店だったりした。
島村が自分のテリトリー、お気に入りの場所をひとつずつ律子に教えてくれるたびに、
律子は自分が島村にとって身近な存在になっている気がして、嬉しかったものだ。

「あの、、、どちらへ?」
地下鉄の券売機の前で切符を買う島村に、律子は問いかけた。
「はい」島村は答えずに、律子に切符を差し出した。
そしてまた、ちょっと微笑んだ。

律子は一瞬にして、島村との距離が縮まった気がした。
四年という歳月を飛び越えて、一気に島村に近づけた気がした。
こんな些細なことで。島村が悪戯っぽく微笑んだ、たったこれだけのことで。

昔なら律子はちょっと膨れたような表情をして、島村の手をしっかりと握って
子供のように腕を振っていたただろう。それが島村に甘えるしぐさだった。
でもそれはさすがに出来なかった。
すぐそばにある、がっしりとした島村の腕は、やはり律子にとって遠かった。







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Last updated  2009年05月25日 09時30分49秒
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