この頃のロックウェルは今ほど(いまでも?)有名じゃなかったが 実に素晴らしいプレイを繰りひろげていた。 1曲目、オリジナルのモード曲「STRAIGHT ON」から題名通りストレートに自分のフレーズを畳み込んでいくロックウェルのプレイにいきなり釘付け。続くジョー・ロックのソロもクールでこのアルバムが素晴らしい作品なのを予感させる出来具合。 ロックウェルのテナーの音色は井上淑彦(宮坂高史クインテットに在籍していた80年代初頭)に良く似ていると思う。 音の芯がしっかりしていてその周りを柔らかなベルベットを巻きつけたような暖かくマイルドで柔らかな音色。 フレーズがいつも唄っていて、それでいながらフレーズの端々にハッとするような独創的な工夫が見受けられる。 ジャージーであることを大切にしていて、独りよがりなプレイは決してしない。常に音楽の進んでいく方向と自己のプレイの位置関係を図りながら、良い音楽を作り上げていくタイプのミュージシャンだと思う。 ピアノを加えた通常のカルテット編成でなくヴィブラフォンのカルテットなのが、思いのほか演奏をクールでスタイリッシュな感触に仕上げる効果を生み出している。 4曲目「JO」はロックウェルのソプラノが聴ける間奏曲のようなバラード。 映画「ラウンドミッドナイト」の中で使われたような雰囲気のほの暗いイメージのバラード。 6曲目の「HOW LONG HAS THIS BEEN GOING ON」もその映画で挿入されていたなぁ。ここでもロックウェルはソプラノを吹く。 7曲目、「RECONSTRUCTION」ソプラノによるオリジナルのモードナンバー。 このアルバムいつになくソプラノの使用頻度が高い。 8曲目は古くからの共演相手ヤン・カスパーセンの作品「LOVE EYES」。やはりテナーが素晴らしい。 ジョー・ロックとのデュオで演じられる。 ラストは「SERENATA」。 急速調で抜群にスイングするロックウェルのテナーが聴ける。
メンバーはベースにアメリカ時代のボス、RUFUS REID(B) VICTOR LEWIS(DS)。 1990年3月録音 安定した実力を誇る無冠の帝王ボブ・ロックウェルの充実したプレイが聴ける一作として推薦する。
先週注文したCDがディスクユニオンから届いたので、まず最初に これをアップしよう。 JOE BARBIERI/IN PAROLE POVERE(MICROCOSMO) ユニオンの紹介文にも書かれていたが、ジャズではなく純ボサノバ作品。むしろLATIN/WORLDコーナーで紹介される方が妥当かもしれない。 ジャンルわけはともかくこれは一聴して、すぐに気にいった。 ジャケットのままの音楽がスピーカーから流れ出す。
今年になって閉店してしまった広島のヴァージンメガストアで購入 1996年5月にヴィブラフォンのカルテットで有名曲を演っているので悪いこともなかろうと他にあまり買うCDもなかったのでなんとなく買ったもの。 ベーシストのTHOMAS STABENOWの名前しか当時知らなかった。 ドイツのACOUSTIC MUSIC RECORDSからのリリース。 一曲目THERE WILL NEVER BE ANOTHER YOU きちんとアレンジされたテーマ演奏のあとやや硬質でメタリックな音色で一直線にアドリブするポーザーのプレイは聴いていて爽快感がある。ピアノのROBERTO DIGIOIAもソロにバックの実力があること窺えるプレイ。 2曲目はジョビンのONCE I LOVEDをクールにプレイ。 3曲目の酒バラの次はジャズオリジナル、シダー・ウォルトンのCEDER`S BLUESとモンクのREFLECTIONSの2曲が演奏される。 CEDER`S BLUESの出来が良い。ピアノ、ヴァイブ、ベースと快適なソロワークが流されてテーマに戻る。 残りの4曲はSPEAK LOW,ALONE TOGETHER,SOFTLY AS IN A MORNING SUNRISE,LOVERMANとスタンダードが続く。 一枚聴いた後の印象・・・ 全員がテクニシャンで演奏に文句をつけるところは特にない。 アレンジや選曲、曲のテンポにもメリハリをつけて飽きさせない。 でもなんか面白くないんだなぁ。 全員がソツなくジャズという仕事をこなしている印象を受けるのだ。 なにか作業しながら聴くには快適でさぞ仕事も捗るだろう。 スピーカーと対峙して聴くにはなにかもう一捻りあったほうが鑑賞に身がはいるに違いない。
このアルゼンチンのBAU RECORSやフィンランドのTUM RECORDS スウェーデンのMOSEROBIE,ノルウェーのJAZZAWAY,ポルトガルのCLEANFEEDなど新しめのレーベルや最近リリースが再び活発化してきたフランスのNOCTURNE、老舗ながらほとんど未開拓のスイス、ALTRISUONIやBRAMBUSなど個人的に要注目のレコード会社が目白押しで資金面でどうやりくりしていくか、悩んでいるところです。
DANIEL NAVARRETE(B)とANDY BAEZA(DS,SAMPLER)にギタリストが二人、テナーサックスが参加したバンドなのですが、ギターになんとBEN MONDERがはいっているのだ。 1曲目の短い導入部から2曲目「FLUIDOS」で早くも耳を奪われた。 ベースとドラムスが織り成す定型ビート(これが菊地雅章「ススト」みたいにカッコいい)の絨毯の上をセミアコのギターがウネウネと音を紡いでいく。いや音色もフレーズも変幻自在、ジャージーなプレイであるかと思っているとスペイシーな演奏になっていたり、ロックテイストの強いプレイに変化したりとひとつのスタイルに終始しない、そしてスタイルの変化自体スムースに有機的に変わっていくのでわざとらしさを感じず、クールに進んでいくのだ。 3曲目もツーギターがカウンター的にメロディーを綴っていく近未来的なイメージを受ける曲。カレイドスコープで外の風景を見てみるとドンドン色や形が変化していって幻想的なイメージが拡がっていくように、文字通り音のタペストリー、音の万華鏡といっていいようなサウンド。 5曲目はセンシティブなバラード演奏。 演奏にとても幅のあるバンドとみた。 9曲目は「FREEDOM JAZZ DANCE」この曲にはAGUSTIN MOYAのテナーが参加。 これが最もストレートなジャズ演奏。 とにもかくにも現代アルゼンチンジャズのレベルの高さに驚いた一枚だったので、2004年のMY BESTにギリギリに入れたほど。 これを機にいろいろ聴いてみたいと思っている。