2ヶ月くらい前に注文していたCDがHMVからようやく到着。 勿論、ボッソ絡みで購入したもの。 ボッソとイリオ・ディ・パウラとの前作は素晴らしいボサノバデュエット集だったが、この作品はストレートなジャズ作品になっている。 1曲目「WHAT IS THIS THINGS CALLED LOVE」は名刺代わりの1曲とういか、ボッソの躍動感溢れるトランペットソロに続くイリオ・ディ・パウロのギターソロがバップの香りに溢れた巧みなソロワークで聴き物。 2曲目はボッソはFLHを使用。アレンジがロック風でこんな「BLUE BOSSA」もありなのかなぁと言う感じで、ややミスマッチの感は否めない。もっと普通に演奏した方が原曲が素晴らしいのでより大勢にアピールできるのでは? 3曲目は「枯葉」ボッソが吹くと枯葉じゃなくて5月の青葉繁れる瑞々しい新緑の若葉になったような演奏に聴こえる。マイルスのミュートとは対極的ともいえるミュートトランペットだが、現状の勢いを感じさせるソロワークが聴けると思う。 5曲目「チュニジアの夜」はスローテンポで演奏される。この曲はやはり血肉湧き踊るようなソロが爆発するようなアップテンポで聴きたかった。 ボッソやパウロのソロは素晴らしいのでご安心を・・・ 6曲目「I REMEMBER APRIL」。そうそうこのテンポが聴きたかったのだよ。 上り調子のミュージシャンに小細工はいらぬ。ただ素材と最適なテンポを与えたら名演が生まれる実例じゃないかな? 「ジョーンズ嬢に会ったかい?」をはさんでラストはソニー・スティットの「LOOSE WALK」。ファーストソロはパウロ、タッチの強いきつめのピッキングでよくこれだけ流麗なソロが取れると思う。ボッソも持ち前の味を発揮してアルバムは幕を閉じる。
全体の印象、ジャムセッションでの人気曲をボッソが快演したアルバム。しかしこのアルバム、ハプニングがなかった、予定調和の世界に収まっている。それでも充分に素晴らしいのだけれどボッソクラスになると要求のハードルも高くなるもので、全曲「I REMENNBER APRIL」のようなはりきりプレイをもっと聴きたかったのが本音のところ。 メンバーはIRIO DE PAULA(G) FABRIZIO BOSSO(TP,FLH)MASSIMO MORICONI(B) MASSIMO MANZI(DS) 録音は2003年1月15日 MILANO
で、このアルバムで一番の聞き物は何かというとBRUNO MARTINOの名曲「ESTATE」なんですけれどもね。バーガンジィーのテナーの入り方がこれまた滅茶苦茶渋いのであります。 メンバーは TRIO IDEA VALERIO SILVESTRO(P)TONY RONGA(B)SALVATORE TRANCHINI(DS) JERRY BERGONZI(TS) 録音は1992年3月12日 NAPOLI
1988年、センチュリーレコードから期待の新鋭グループがデビューした。 名付けてMG4(マンハッタン・グラフィティー・フォー)。ケニー・ギャレットに藤原清登が結成したグループなので、発売日に直ぐ買ったのを覚えている。 1曲目のマーチ曲「DA NIRO」の少し変なメロディーをケニー・ギャレットが情熱的に吹きつづっていくところから、彼らのこのレコーディングにかける熱意が伝わってきて鑑賞にも身が入った。アブストラクトなピアノソロ、藤原清登のアルコソロに続き再びケニー・ギャレットに戻される構成 2曲目も藤原の作品で、テーマはギャレットによってサブトーン気味に吹かれる淡い雰囲気のバラードナンバー。 3曲目もメロディーが1曲目と同様に少し抽象的な面白い曲で、題名通り、ケニーのアルトが活躍するナンバー。モンクの「PANNONICA」マッコイの「PASSION DANCE」と続いて 6曲目がこのCDのなかで一番のお気に入り「BOY AND BEAUTY」。 藤原作の優しい感じのバラードナンバーで、ニューヨークという大都会に暮らす若いミュージシャンの苦悩と明日への希望といった雰囲気を感じさせる曲。 7曲目は「ON GREEN DOLPHIN STREET」藤原のベースがアルコ奏法でテーマを奏で、途中からピッチカートに転換。今でこそベースマスターの域に達している藤原だが、この頃から既にテクニック的には完成していたことが覗えるトラック。ケニーはお休み。 短い超アップテンポの8曲目をはさんで、9曲目もこのグループの特徴がよく出たナンバー。 ラストは一捻りしたクールな感じのピアノトリオによる「枯葉」で幕が閉じられる。 このレコーディング時点でケニー・ギャレットはOTBに参加しており、既に売れっ子の仲間入りを果たしつつあったが、若手の不遇時代切磋琢磨した音楽仲間のために喜んでレコーディングに参加したというケニー・ギャレットの人間性もうかがわれる作品。 録音は1987年10月3,4日
デンマークの無名の若手テナー奏者のリーダーアルバム。バックのKURT ROSENWINKEL, PAUL MOTIANの名前に惹かれて2000年に岡山「ディスクトランス」で買った。 1曲目モンクの「ASK ME NOW」から現代のブルックリン系ともいえる響きのするサウンドが流れ出す。テナー、ギター、ベース、ドラムのカルテット編成のフォーマットが中心になると言ってもよいと思う。もちろんこれの変化形もあるのだが、和声的に自由でサウンドに膨らみや揺らぎ、タイム感覚の伸縮性を感じさせる要はこの編成なのだろう。 マーク・ターナー、ビル・マクヘンリー、クリス・チーク、シーマス・ブレイク、ノア・ベッカー、ダニー・マキャスリン、そして御大ジョー・ロバーノらがギター勢このカート・ローゼンウィンクル、ベン・モンダー、アダム・ロジャース、スティーブ・カルディナス、御大ビル・フリゼルら絡んでいるレコーディングは思いのほか多くて一つのサウンド指向としての明白な方向性を示していると言っていいような気がする。 そしてそのサウンドの元祖ともいえる音楽家がこのアルバムにも参加しているポール・モチアンなのだ。 80年代からジョー・ロバーノ、ビル・フリゼルを加えたユニークなバンド活動を実践し 90年代以降からエレクトリック・ビーバップ・バンドを結成。先のブルックリン派の多くがこのバンドでの演奏経験がある事は紛れもない事実として認識されよう。 現代ジャズの一つのサウンドモデル、雛型を形成した創始者的存在としてポール・モチアンというミュージシャンは後年歴史的評価が今よりももっともっと上がるような気がする。 ブルックリン派のこういうサウンド指向、即興演奏面では一言でいえば「クール」が合言葉になっているプレイスタイルはこうして現代ジャズシーンにおいて確固たる位置を築きつつあると言って良いと思うが、かってのビバップがそうであったようにスタイルの推進、蔓延がオリジナルなジャズ、音楽といった面で閉塞的状況を生み出す危惧も同時に出て来る訳でそうした問題を、各々ミュージシャンがどうやってクリアしていき独自のサウンドをつくりだしていくのかこれからも見守っていきたい。 このアルバムの事にあまり触れなかったが、好調なセッションの記録として充分鑑賞に耐える作品で、テナー奏者としてもJAKOB DINESENは今後に期待できる有望株だと思う。 メンバーはJAKOB DINESEN(TS)KURT ROSENWINKEL(G)ANDERS CHRISTENSEN(B) PAUL MOTIAN(DS) 録音は1999年5月13日 SOUND ON SOUND STUDIO NY