普通のテナートリオだと思って聴くととんだ反発を食らうかもしれないがこれは、 テナー奏者としてのトニー・マラビーの純粋な姿が浮き彫りにされたエポックメイキングな一作かも知れない。 そしてそのサウンドの断片を心をからっぽにして耳を澄ましてみるとメロディアスに聴こえてくる瞬間すらあるのだ。 これこそサックス奏者としての力量を表すバロメーターかもしれない。 他のメンバーのことに全く触れなかったけれども、トリオとしてのサウンドが確立されているのは彼らがあってのことは言うまでもない。 メンバーはTONY MALABY(TS)EIVIND OPSVIK(B) JEFF DAVIS(DS) 録音は2004年8月 STOCKHOLM
2年位前、広島のディスクマーケットで発見した一枚。 全く知らないミュージシャン、レーベルだったが、RICK MARGITZAが参加しているのと、「INVITATION」を演奏していることに大いに購買意欲をそそられて即買いしてしまった。 RICK MARGITZAは、安定したテクニックでどんなタイプのミュージシャン、音楽にも自分の個性を薄めることなしに器用に立ち回ることの出来るクレバーなミュージシャンだと思う。 あまりにもフレキシブルに様々な状況に上手く対応できるので、それが逆にRICKのミュージシャンとしての焦点をぼかしてしまっていると言えるのかも知れない。 実際、MARGITZAのプレイに関しては、どんな難曲でも、危なげなく涼しげに楽々クリアしているようなイメージが残っているのだ。 お目当ての「INVITATION」でも、文句のつけようの無い素晴らしいテナーソロを展開している。曲調のせいもあると思うけど、いつもより親しみやすいフレーズが聴き取れないこともない。 それでも、RICKのプレイにはどこか優等生の模範的解答のような印象がついて止まない。少しはハメもはずして不良性の匂いを感じさせるプレイを聴いてみたいと思うのは私だけだろうか? 意外とRICKが今以上にブレイクするポイントはこういうところなんじゃないかと主伝居る。 リーダーのPASCAL SALMONは、良くも悪くも典型的なヨーロピアンピアニストの趣きで、トリオとリック・マーギッツァーとの相性はとても良い。 ベースのGILDAS BOCLEは、アルバート・スティソンやアーデルハルト・ロイディンガー、アラダー・ペゲ級のピッチカートのよる速弾きソロが素晴らしい。 トリオによる演奏は数曲だけども優雅な響きも感じられこれはこれでとても良い。 セッションだからある程度仕方ないのかも知れないが個人的にはもう少しRICK MARGITZAとPASCAL SALMONトリオとの緊密な応酬を聴きたかった。 メンバーはPASCAL SALMON(P)GILDAS BOCLE(B)MARCELLO PELLITTERI(DS) RICK MARGITZA(TS,SS) 録音は1994年3月 NY
日本でも結構人気が出てきているDAN CRAYの最新ピアノトリオ作品。 オープナーのラテン調の曲に耳を奪われた。 知ってる曲なんだけど、誰の曲か思い浮かばない。 「いい曲だなぁ」とクレジットを見て納得。 スティービー・ワンダーの「DON'T BE WORRY 'BOUT A THING」だった。 DAN CRAYの料理の仕方があまりにも見事なものだったのでポップチューンと結びつかなかったのだ。 この曲がもつ躍動感、陽気で明るい雰囲気、ラテン的な歌謡性などの魅力を見事にピアノトリオジャズにトランスレートしていて、この1曲でこの作品の素晴らしさを予感した。 続いての3曲は有名曲を演奏するが普通には演らずに何か工夫が仕掛けてある。 「JUST ONE OF THOSE THINGS」など全く違う曲かと思うほどかけ離れたメロディーから始まり、途中バロック風のピアノソロを挟んで次第に種明かしがなされる仕組みになっていてスリルがある。 ピアノのうまさも特筆できる。速弾きしても一音一音、音が粒だっていてよく聴き取れるのだ。 ウェイン・ショーターの「NIGHT DREAMER」を超スローテンポで演奏する他に ジャズマンオリジナルはダメロン、コリア、シルバー等をプレイ。 次第に盛り上げていったり、そこはかとない叙情性をさりげなく織り込む技は熟練の技。 「SUMMER IN CENTRAL PARK」ホレス・シルバーにこんな旋律の曲があったとは今まで知らなかった。 グルービーなノリで「WITHOUT A SONG」をディグした後は ラストは自作の「GOOD MORNING」「GOOD BYE」でしっとりと締めくくられる。 ダン・クレイのやる気が漲ったピアノトリオ極上エンターテイメントリラクゼーション盤として推薦いたします。 メンバーはDANCRAY(P)CLARK SOMMERS(B)GREG WYSER-PRATTE(DS) 録音は2005年5月2-4日 CHICAGO