BILL STEWARTの2002年録音のリーダーアルバム。 ブルーノートからのリーダー作以降、サイドメンとしては大活躍を続けていて、白人若手ドラマーとしてはトップクラスの存在になったビルであるが、リーダーアルバムの発表は長い間なかったので、ファンとしては待ちわびた一作。 そしてこの作品なんと何処のレーベルでもない自費制作のようだ。 CD番号もレーベルもなくて、BILL STEWART MUSICと書かれているだけ。 そんなことからも、BILL STEWARTが本当にやりたかったことが体現された作品なのが窺える。 LARRY GOLDINGSとKEVIN HAYS,二人のキーボード奏者を迎えた変則的なトリオフォーマットの作品で、普通のピアノトリオアルバムの方が当然、世の中に受け入れやすいし、ビジネス的にも販売が期待できると思うのだがあえてそういう方向へいかずに自身の演りたいことをするのが、真のミュージシャンシップというかアーティスティックなところなのだろう。 LARRY GOLDINGSが主にオルガン、KEVIN HAYSがピアノ、キーボードを主に担当していてそのユニークに交錯するキーボードサウンドの渦のなかを、中央に陣したビルのドラムが縦横無尽に駆け巡るといったような構図を思い浮かべてもらったら良いだろうか? とにかく、普通でないユニークな音楽、興味お持ちの方は是非体感してみて下さい。 録音は2002年1月8,9日 CLINTON STUDIO, NYC
このCDは白崎彩子がピアニストで参加していたので、オーダーしたのだけれど、 聴いてみてビックリ! 思わぬ拾い物とは、こういうCDのことを言うのだと思う。 TIM COLLINSはニューヨーク生まれの録音当時(2002年)25歳のバイブ奏者で、元々はピアノとドラムを演奏していて、それからその両方の特色を兼ね備えたバイブもやりはじめた。 バイブラホォン一本に楽器を絞り込んだのはわりと最近で1999年のこと。 いまでも、サイドメンとしてはドラマーとしても活躍していてDick Oatts, Cecil Bridgewater, Steve Brown, John Benitez, Steve Kirby, Brian Lynch, Don Menza, Andy LaVerneと演奏している。 1曲目からやる気の感じられるモードナンバーが展開されて聴いていて爽快感がある。感じとしては60年代のボビー・ハッチャ―ソンの「HAPPENNINGS」を思い浮かべてもらったら割と似た雰囲気かもしれない。 そう言えば、2曲目の「SONG FOR JASON」も「LITTLE B'S POEM」の曲調に良く似た良曲だ。 サイドメンでは、やはり白崎彩子のピアノがはじけていてとても良い。 ニューヨークのまだまだどちらかというと名前のあまり知られていないこういうやる気の感じられるミュージシャンの作品を応援するのもジャズファンとしての醍醐味だと私は思う。 メンバーはTIM COLLINS(VIB)白崎彩子(P)MILES BROWN)B)OBED CALVAIRE(DS) 録音は2002年3月24日 NYC
アルバムの選定作業をしてる時、このアルバムに偶然目がいった。 HILTON RUIZ・・・またラテンジャズの作品なんだろうなぁ、さして気にもせず0、2秒後に次の作品へ目が移ろうとする瞬間、ジャケット下のGEOREGE COLEMANのクレジットが目に入った。 ということは、オーソドックな4ビートジャズ。ドラムはGRADY TATEかぁ・・・ その瞬間にこのアルバムを売ろうという気になった。 録音も2004年と新しく、コールマンの最も最近の演奏が聴けるアルバムだと思う。 60年代マイルスのところに短期間いた時はボロクソ言われたコールマンだけど、ホント味のあるいいテナー吹きだと思う。 元来天才型のプレイヤーではないのだから、大体コールマンにコルトレーン、ショーターと同じものを期待するほうが間違っているのだ。 メンフィス出身のミュージシャンが一同に会した「DOWN HOME REUNION」というアルバムがあるけど、もともと田舎町出身の土ぼこりのするブルースが得意なミュージシャンなのだから当時の最先端のモードジャズについていけるはずが無かったのだ。それから40年・・・コールマンのマナーはしっかり、現代テナー界に受け継がれていますよ。エリック・アレキサンダーという青年に。 コールマンのテナーは昔も今も重くない、ヘビー級ではなくて、ライトヘビー、クルーザー級の身のこなしなのである。だから決して軽くは無いのだけれど、ワンパンチで相手を秒殺する力はない。でも次第に聴いてくるのだなぁ、これが。 気が付いたときは足がもつれてKO寸前といった次第。 このアルバムも聴き終わるころにはすっかりコールマンの術中に嵌っている自分がいるというわけ。 メンバーはHILTON RUIZ(P)GEORGE COLEMAN(TS,AS)LEON DORSEY(B)GRADY TATE(DS) 録音は2004年7月7日 THE PENTHOUSE IN, NYC
フロリダのレーベルKOKO JAZZ からリリースされたGREG ABATEの新作。 この作品のプロデューサー、GUNNAR A. JACOBSENがGREG ABATEのプレイに感銘を受けコンサートの企画を要請したところ、最初渋っていたABATEがレコーディングを一緒に出来るならばという条件でブッキングが成り立ったらしい。 そうした結果としてこの作品が産みだされた次第。 アルバム表題通り、ホレス・シルバー作品集となっている。 シルバーの曲はキャッチ―なメロディーとエキゾ感溢れる口ずさむ事の可能な親しみやすい楽曲が多いので、GREG ABATEもその楽曲の魅力をフルに引き出すためにわざとアレンジは控えめにしてストレートにプレイしている。 これがこのアルバムの成功の要因だろう。 フロントのCALUDIO RODITIとのコンビネーションも抜群で、スムースで快適な演奏を聴き進むにつれ、シルバーってイイなぁ!ジャズってイイなぁ!と改めて認識し、その幸せにひたれる仕掛け。 「FILTHY McNASTY」「NICA'S DREAM」「SONG FOR MY FARTHER」「NUTVILLE」「SILVER'S SERENADE」「PEACE」「QUICKSILVER」 貴方はどの曲がお好みですか? 私はと言うと昔から「NICA'S DREAM」と「SILVER'S SERENADE」が好きなのです。 メンバーはGREG ABATE(AS,TS)CLAUDIO RODITI(TP)HILTON RUIZ(P) MARSHALL WOOD(B)ARTIE CABRAL(DS) 録音は2004年9月24,25日