DAVE MACKAYと言えば、インパルスからジャケットも最高のブラジリアン・ジャズの隠れ名盤「DAVE & VICKEY」が有名ですが、本格的なジャズ作品としては、この作品だろう。 MAMA FOUNDATUIN第1弾としてリリースされたけど、リリース当時の1990年頃は見向きもされず店頭にいつまでも残っていた記憶があります。 今ほど当時はピアノトリオ熱は過熱していなかったのは、確かです。
この作品、職人が丹精込めてつくりあげた珠玉の作品という感じの一作に仕上がっています。 デイブ・マッケイのピアノは、表現が爆発することはなく、いわゆる天才的なプレイは聴かれない。 どちらかというと、地味なスタイルで、スタンドプレイのような派手な見せ技は駆使していないのですが、自分の中での律した範囲の中で最大限の振幅幅を伴った緩急自在のプレイを見せてくれています。 まさに、実直、質実剛健さが窺われる、職人技と言ったところか? アンディ・シンプキンスがその分、ソロでフューチャーされていて、ハイエンド・ジャズ・オーディオで聴けば、多分ボトムの最も低い「ブー-ン」と唸る弦の震える音や胴鳴りが聴けるのではないかと思う(ここは、聴感上の推測です。ルーファス・リードやレイ。ドラモンドの音に近いものを感じるので。)素晴らしいソロワークを披露していて、トリオとしてのエンターテイメント性を高めている。 ピアノトリオファンならずとも、手元に置いて折に触れて聴くたびに幸せを噛みしめることの出来るスルメ盤だと思います。 Dave Mackay(p) Andy Simpkins(b) Ralph Penland(ds) 1 Serenata (4:54) 2 Ev'ry Time We Say Goodbye (5:54) 3 Sometime Ago (6:42) 4 Django (9:16) 5 I Didn't Know About You (6:02) 6 Along Came Betty (6:53) 7 Thanks for the Memory (5:27) 8 Midnight Song for Thalia (5:45) 9 Children at Play (6:18) 10 Windows (6:23) 11 Alone Together (9:12)
お医者さんでもある、アルトサックス奏者CHRIS STEWARTが2005年にリリースした、キャノンボール・アダレー賛歌集。 後でアップ致します。 と書いてから、今書き足しているのは日付が、22日になろうとしている時間なのだけど、この2日間、いつにもましてバタバタとしていて、ブログが後回しになってしまいました。 こういう作品を聴くと、いまだにジャズのメジャーリーグはアメリカなのだなと思ってしまいます。 語り口がネイティブなのである。 キャノンボール縁のこういうナンバーをいまどき、ゾロゾロと真っ直ぐど真ん中で演奏することに、多分わが国のミュージシャンだったら、照れが生じるのではないだろうか? レフトアローンを吹くのと同じように、ワークソングを正面切って大真面目に演奏することは、違和感を感じると言うか、照れくさいのではないかと思うのです。 アリゾナ州で活躍するクリス・スチュアートら5人は、そのプロジェクトに大真面目で望んで、それがまた、見事に決まっているのであります。 そんなことからも、やはり発祥の地というか,文化的遺産を引き継いでいく血という部分でも、こういうベタな企画物の場合に、その天然の部分が最も素直に出てくるのではないかと思うのだ。 彼らは、もちろん、アダレイやコルトレーンの役回りを演じているわけでなく、自身のスタイルでプレイしている。 とくに、変わったことをしているわけではなくて、自分の語り口で、真正面に曲を捉えてストレートに演奏している。 まるで、それで充分じゃないかと言わんばかりに・・・ 日本のレコード会社がつくるような企画作品との違って、自発的に作られたであろうこの作品は、そういう点でわざとらしさや、あざとさがなくて、ストレートに嫌味なく入ってくるのです。 メンバーはCHRIS STEWART(SS,AS) LUCAS PINO(TS) DAN DELANEY(P,ELP) CHRIS FINET(B.ELB) DOM MOIO(DS) 1. High Fly 2. Work Song 3. Sack O' Woe 4. Stars Fell on Alabama 5. Jive Samba 6. Dis Here 7. The Sidewalks of New York 8. Hamba Nami 9. Domination 10. Country Preacher 11. Medley: Walk Tall - Mercy, Mercy, Mercy
録音は2005年6月28日 TEMPE,ARIZONA
現在NYで活躍中の新進テナー奏者、MICHAEL CAMPAGNAのデビュー作。 ベース、ドラムスがHans Glawischnig, Ari Hoenigなので、興味をもち、4月初めに注文をかけたのですが、その時は品切れで、ようやく先週入荷したのです。 マイケル・カンパーニャは、ハリウッドで生まれ、フロリダで育ったからなのか、志向しているサウンドは、ストレートアヘッドな現代ジャズといった趣があり、そこには、ブルックリン派のサウンドの要素も垣間見られるのであるが、あまり重苦しい感じがせず、どちらかと言うとカラッとした大陸的なおおらかさを感じさせる。 1曲目から、若者らしいフレッシュでスタイリッシュな曲が流れてきて自然と聴き耳を立てるようになるのだけど、全体の演奏を引き締めているのは、アリ・ホーニッグの力によるものだと思う。 演奏が良くなるも、悪くなるも最も責任が重いのはドラマーなのは、周知のことだとは、思うけどこういう演奏を聴くといまさらながら、それを実感いたします。 ナベサダが、昔、実の弟、渡辺文男をクビにしたことを聞いたことがあるけど、まんざら嘘ではないと思う。 リズムに最も厳しいサダオさんらしいエピソードだと思うのだ。 ピアノのROBERT RODRIGUEZもなんのインフォメーションもないので、どういう人物なのか分からないのだけど、音楽に色をつけるのが非常に上手いピアニストだと思います。 是非、この作品のリズムセクションで、ピアノトリオを聴いてみたい。 リーダーのカンパーニャは、そんな二人に比べるといささか分が悪いのであるけど、決して悪いテナー奏者ではないです。 個性という点ではまだまだこれからだけれども、リック・マ-ギッツァ~クリス・チークやシーマス・ブレイクあたりの白人現代テナー奏者の語法を体得した今からのミュージシャンだと思う。 表現の幅がより広がって、遊びや余裕の部分が出てくれば、もう一皮剥けた姿を見せてくれるのではないかと思うのだ。 今後に期待したい。 メンバーはMICHAEL CAMPAGNA(TS)MICHAEL RODRIGUEZ(TP)ROBERT RODRIGUEZ(P)HANS GLAWISCHNIG(B)ARI HOENIG(DS)SAMUEL TORRES(PER) 2004年6月2,3日 SYSTEM TWO STUDIOS, BROOKLYN, NY
PAOLO DI SABATINOの2001年作で、昨年レア本で紹介以来、わが国でも俄然ブレーク、HALLAWAYレーベルの作品や、トリオ作品にも注目が集まった。 ピアノトリオと、STEFANO DI BATTISTA(AS),JAVIER GIROTTO(SS),DANIELE SCANNAPIECO(TS)、現在では、各々がイタリアを代表するサックス奏者になったと言える3人のサックス奏者がフューチャーされた演奏が聴ける。 全曲オリジナルで勝負した力作なのが、アルバムを聴き始めると直ぐに分かる仕掛け。 イタリアのラテン的明るさといっては、端的な表現過ぎるかもしれないけれども、燦々と太陽が降り注ぐ南イタリアの情景が浮かんでくるような、カラッとした、それでいてどこか懐かしさを感じさせる楽曲を、フューチャーされたサックス奏者がパッショネートに吹き上げるナンバーやパオロの爽やかさを感じさせるスムースで快活なソロは、実に聴き応えがあるのです。 作曲と演奏両面のバランスがとても良いミュージシャンだと思う。 個人的なベストはJAVIER GIROTTOのソプラノがフューチャーされる「RUA ALAGOINHAS 301」と4曲目ピアノトリオの演奏「I CAN TOUCH THE STRAS」。 他にも良曲がたくさんあって、聴く人によってベスト曲は変わると思うけれども、どれもが魅力的な演奏、楽曲で聴く人を選ばない、万人が聴いて満足していただけるアルバムではないかと思うのだ。 メンバーは、Paolo Di Sabatino(P)Stefano Di Battista(as,ss)Javier Girotto:(ss) Daniele Scannapieco(ts)Carlitos Puerto(b,elb)Horacio "El Negro" Hernandez(ds) 1. The Country Lane 2. Rua Alagoinhas 301 3. Kenny 4. I Can Touch the Stars 5. Another Short Breath 6. A New Toy 7. Another Step 8. Fine della Storia 9. You Can Dance Now 10. A Little Song for Carlitos 11. UB's Mood 12. Dreamy Eyes 13. Open Sea 14. Uno sguardo tra gli angeli 録音は2001年3月23-25日 TERAMO,ITALY
現代ジャズをずっと追いかけている方ならば、数年前発売されて評判になったTHE NAIROBI TRIOという、中身は活きの良い、二管編成ハードバップアルバムのことを覚えていないだろうか? そう、この作品は、そのナイロビ トリオの3枚目のアルバムのあたるものなのです。 三枚目にして初のライブ作品となっています。 フロント陣は1作目のANDY SUZUKI,STEVE HUFFSTETERから、前作から、現メンバーのKYE PALMER,CHUCK MANNINGに交代しています。 最初のメンバーより知名度はより低くなりましたが、肝心のプレイは勝るとも劣らぬ力量の持ち主で、両者とも骨のあるまさに、ハードバップど真ん中のプレイをしてくれています。 特に、鋭角的に切り込んでくるパルマーのトランペットは、少しリー・モーガンを彷彿させるとっぽさと不良性を感じさせるもので、テクニシャンなのだけど優等生のトランペッターが多い中、こういうタイプのトランペッターはかえって新鮮に感じます。 リズムセクションは、不動のメンバーで、躍動感に溢れた活気ある演奏マナーは、聴いていてスカッとすること間違いなし。 作り物の急造コンボやレコーディングの為のセッションでは、決して味わえることができない一体感、グルーブ感は、まさに長年レギュラーグループとして活動してきた賜物だといえるでしょう。 特筆できることは、彼らのエンターテイメント精神溢れた演奏マナーです。 この道何十年のベテランファンが聴いても、最近ジャズを聴き始めた初心者が聴いても、「JAZZってほんとにいいなぁ」と思わせる。 これって、簡単なようで、周りを見渡すとそういうジャズって意外と少ないのが分かる。 一度、DMQの演奏を聴いてみてください。 Chuck Manning(ts) Kye Palmer(tp) Curtis Brengle(p) Jeff Donavan(ds) Larry Muradian(b) 1. Black Nile 2. Whisper Not 3. It's You Or No One 4. Edda 5. Softly As In A Morning Sunrise 6. Stella By Starlight 7. Locomotion 録音は2006年9月2日 Cafe322,CA
水晶の光のような輝きを放つ知られざる東欧のピアノトリオ盤にご期待下さい! Przemyslaw Raminiak(p) Maciej Garbowski(b) Krzysztof Gradziuk(ds)
Straight Story (P.Raminiak, M.Garbowski) 7:09 Eposs (M.Garbowski) 8:39 Psalm I (P.Raminiak, M.Garbowski, K.Gradziuk) 3:09 Wait (P.Raminiak, M.Garbowski, K.Gradziuk) 0:30 Frozen People (P.Raminiak, M.Garbowski, K.Gradziuk) 8:32 Sange (M.Garbowski) 5:15 No One Knew (P.Raminiak) 9:09 Psalm II (P.Raminiak, M.Garbowski, K.Gradziuk) 4:00 Nordic Storm (P.Raminiak, M.Garbowski, K.Gradziuk) 5:21 Innocence (P.Raminiak, M.Garbowski, K.Gradziuk) 3:53
「SOME SOUL FOOD」が大好評で受け入れられたアラン・ミオンが、1992年NYで、マーク・ジョンソンやトム・レイニーらと録音した作品。 「SOME SOUL FOOD」盤を気に入ってもらった方には、(他の方のブログでこの作品が取り上げられているのを見ても、まず悪評を見ることはない。お買いになったほとんどの方に満足して頂いている作品だと思います。)安心してお買い上げ下さいと言っておきましょう。 基本的に作品のテイストが同じなので、間違いないと思います。 このアルバムでは、本人がフランス語で2曲ばかり歌っているのですが、作品すべて歌詞をつけて口ずさみたくなるほど、メロディアスなものが多く魅力的です。 決して難しい曲は作らないのだけど、一度二度ではなかなか覚えられない。 しかし、メロディーの心地よさは脳裏にしっかりと焼きついているので、確かめたくて三度、四度と繰り返し聴きたくなるといった寸法である。 ただスイートなだけではなくて、ほろ苦さや酸っぱさなど、楽曲それぞれのテイストも微妙に異なるのでアルバム一枚を何回リピートしても飽きないのです。 楽曲の事ばかり書いてしまったけど、演奏が申し分ないことは、SOME SOUL盤を聴いてもらっている方には言うまでもないと思う。 「SOME SOUL FOOD 」と「IN NEW YORK」この2枚の作品で、どうやらアラン・ミオンは、忘れることの出来ないピアニストとなったようだ。 Alain Mion(p,vo) Marc Johnson(b) Tom Rainey(ds) David Binney(as) 1 Montse 2 Levallois 3 Dolphin Game 4 Yellow Cab Nite Blues 5 Jean 6 Tivoli 7 Un Gospel Pour Dexter 8 Stand Away 9 Godfather 10 One More Blues 11 Coming Back 1992年5月4,5日 NY David Baker録音
ハンガリーのピアニスト、GUSTAV CSIK(グスタフ・チク)の1998年録音ピアノトリオ作品。 ジャケットのつくりがジャズのアルバムにしては、珍しく凝っています。 1曲目のプレイボタンを押すと同時に、活気あるパワー系のアクションプレイが聴かれ、このピアニストがテクニシャンだということが分かる。 アップテンポの曲で、縦横無尽に鍵盤上を早弾きで駆け巡る様は、ダイナミック感にも溢れていて 隠れた名手ぶりを発揮しているといえます。 ドラムのアルヴィン・クイーンのテキパキとがっつり叩き込まれるリズムも、スタイル的には決して新しいとは言えないけれども、気持ちの良いもの。 GUSTAVはアップテンポの人だけではない。 2曲目「FOR ISABEL」や「クリフォードの想い出」などの、バラードナンバーにおいても、感情過多になり過ぎない、「さりげない」とか「そこはかとない」とかいう言葉がふさわしい、抑制された感情表現が、秀逸。 個人的ベストはO・ピーターソンの「BOSSA BIGUINE」に決まり。 アップでもスローでも、先程の言葉を裏返せば、クールな表情を持つGUSTAVが、この曲では、顔を紅潮させ、曲にのめり込んでいる様が目に浮かぶ。 いつもは、クールなグスタフが演奏しながら笑みを浮かべているような、光景が思い浮かぶのだ。 この曲だけ異色、そして名演。 メンバーはGUSTAV CSIK(P)REGGIE JOHNSON(B)ALVIN QUEEN(DS) 1 We Are Here 2 7+7+9-3 for Isabel 3 Billie's Bounce 4 Anthropology 5 I Remember Clifford 6 Bossa Biguine 7 Ellington, Duke Meadley: Melancholy/What Am I Here For 8 Caravan 9 Very Early 1998年7月録音
スタンダードナンバーになると、特にバラード曲ではジム・ホールの影響が感じられるけれども、 GILADの場合、ホールからの直接的影響だけではなくて、ホールチルドレンともいうべき、現代ジャズギターのグレイツ、パット・メセニーやジョン・アバクロンビー、ジョン・スコやビル・フリゼルなんかの片鱗をちょっとしたフレーズの端々に感じられる気がしないでもない。 まだまだこれから個性に磨きをいくところも多いと思うけれども、自身の歌い方、語り口を身に着けている発展途上の状態ではあるけれども、ポテンシャルに期待できそうなギタリストが登場したと思う。 ジョン・スコフィールドが70年代のジャズシーンに登場した時のような、ユニークさの片鱗を匂わせる今後も注目していきたいギタリストです。 メンバーはGILAD HEKSELMAN(G)JOE MARTIN(B)ARI HOENIG(DS) 1 Purim (Hekselman) 2 Hello Who Is It? (Hekselman) 3 My Ideal (Robin/Whiting) 4 I Fall in Love Too Easily (Styne/Cahn) 5 Suite For Sweets (Hekselman) 6 When Will the Blues Leave (Coleman) 7 The Summer of Laughs and Tears (Hekselman) 8 Breathless (Hekselman) 9 I Should Care (Cahn) 10 My Second Childhood (Caspi) 録音は2006年3月13,14日 FAT CAT, NYC
1997年録音、2000年にBROWNSTONE からリリースされた前作は、ニューヨークの日常的ハードバップサウンドがする、中々の好内容だったが、録音自体はあれからすでに10年ちかく経過しているので、リーダーアルバムとしては久々のものとなる。 今作には、ロニー・キューバーや最近惜しくも亡くなったジョン・ヒックスが参加。 前作にも参加のテナーのGEORGE ALLGAIERが引き続き参加しており、テナー、バリトンというあまり組み合わせのない、2管編成のクインテット作品となっています。 キューバーもアルゲイヤーも、1曲目からフルスロットルの吹きっぷりで、バフバフ、ブリブリという擬音がぴったりな、サックスバトルは、聴いていてスカッとする。 NYのジャズシーンというと、ブルックリン派やアンダーグラウンド派などの先進先鋭組の近況や、ヴィレッジヴァンガードやブルーノート、リンカーンセンターなどのエスタブリッシュメントの情報がどうしても先行してしまうが、ジャズクラブやライブハウス以外の、レストラン、ショーパブ、キャバレーなど様々な場所で演奏されている。 そんなところで、最も普段着の、肩肘張らない、等身大の演奏がされているといってよいのかもしれない。 PAUL BRUSGERのこのアルバムを聴いて、ふとそんなことを感じている。 同じハードバップ系レーベルでも、HIGHNOTEやSHARPNINE、ましてや大手レコード会社(最近はリリースされることもあまりないと思うけど)からの作品に比べて、ミュージシャンのリラックスした姿が記録されているような気がしてならない。 手抜きをしているわけではなくて、演りたいように演っている姿が、脚色なしに、それこそNYの名も知れぬ小さなジャズクラブで聴いているような雰囲気が味わえるような気がしてならない。 CAP(CONSOLIDATED ARTISTS PRODUCTIONS)やなくなってしまったけどBROWNSTONE,UPTOWNなどのハードバップ系レーベルは、まさに、そういう家内制手工業的カスタムメイド感覚の作風が多くて悪くない。 決して名盤ないのだけど、親しみやすく、気の置けない友人のような存在の作品が多いのだ。 メンバーはRONNIE CUBER(BS)GEORGE ALIGAIER(TS)JOHN HICKS(P)PAUL BRUSGER(B)JOHN JENKINS(DS) 録音は2002年11月26日 SYSTEM TWO STUDIOS, BROOKLYN
さらさらの黒髪に、澄み切ったつぶらな瞳、情熱的であることを想像させる厚めの唇・・・ YVONNE SANCHEZ(イボンヌ・サンチェス)は、ポーランドとキューバの血を引いたジャズ歌手で、現在チェコの首都、プラハで活躍している。 甘酸っぱい爽やかさを感じさせる歌手だと思う。 ほろ苦さを若干感じさせる甘さは、食べ物に例えれば、マーマレードの味か? 4曲目「Feitico de Irena」などまさに、そういう感じがするのです。 この曲など、南米らしい情熱的なエモーションを感じさせる曲調なのだけど、彼女の場合、それを全面的に押し出すのではなくて、東欧らしいクールネスな表現を巧みに織り交ぜていてそのあたりがとても新鮮に聴こえるのですね。 最近、トリオによる新作をリリースしたロベルト・バルザール・トリオとの息もぴったりで全13曲を最後まで一気に聴かせる実力は、さすが数ヶ月でチェコのジャズシーンで認められただけのことはある。 Yvonne Sanchez(vo) Stanislav Mcaha(p) Robert Balzar(b) Jiri Slavicek(ds) Guest;Filip Jelinek(tb) Radek Zapadlo(ts) Ernesto Chuecos(g) 録音は2002年1月 Prague 1 Old Devil Moon 2 Way You Look Tonight 3 In a Mellow Tone 4 Feitico de Irena 5 My Romance 6 Invitation 7 Nica's Dream 8 All of Me 9 I'll Remember April 10 Lover Man 11 Well You Needn't 12 Dindi 13 Autumn Leaves
NYのピアニスト、CHRISTOPHER SIMMONS(クリストファー・シモンズ)がジョーイ・カルデラッツォの兄弟、ジーン・カルデラッツォ、Medeski, Martin & Woodのベーシスト、クリス・ウッドと1992年に録音した作品。 後になってCD-Rでリリースされた作品のようで、収録時間が30分あまりで、60分超えの作品に慣れ親しんだ耳には少し短い気がしないでもないのですが、ミニアルバムだと思えば良いのでしょうか? クリストファーのピアノはジョン・ルイスのような所謂省エネ型ピアニストに属すると思う。 右手と左手を一生懸命動かして、音符でにぎやかしく埋め尽くすことに、切磋琢磨しているピアニストが多い中、ポロン、ポロンと(実際はそうでもないのだが、ここでは対比的な意味合いで)優雅に鍵盤に指を置いていくクリストファーのスタイルは、かえって新鮮に聴こえるかもしれません。 テクニックがないわけではないと思われ、意識してそういうスタイルに専念していると思われる。 そんな、演奏スタイルと曲想が最もマッチした1曲が、ビル・エヴァンスの「INTERPLAY」。 単音中心のクリストファーのピアノと、うら寂しい曲調が見事にフィットしていて、その反面リズムセクションは結構、カルデラッツォ、ウッズとも積極化果敢なアクティブなプレイを押し出していて、その対比具合が面白い。 MM&Wのクリス・ウッドも92年当時はこんな正統派もピアノトリオ演奏をしていたのが、分かって興味深い。 メンバーはCHRISTOPHER SIMMONS(P)CHRIS WOODS(B)GENE CALDERAZZO(DS) 録音は1992年8月 BROOKLYN, NY
1 Duas Contas 2 Eu Nao Existo Sem Voce 3 Sutilezas 4 Ate Quem Sabe 5 Olhos Nos Olhos 6 Sentado A Beira Do Caminho 7 Molambo 8 Jardim 9 Demasiado Blue 10 Desilusion 11 Edredon De Seda 12 Nao Sei O Que Acontece 13 Detalhe 14 Fusion 15 Inverno ROSA PASSOS(VO.G) 2006年作品
YORMAN WILLIAMSはハワイで活躍しているベーシストで、ハワイというとそのものズバリ音楽的にはハワイアンミュージックが伝統的な音楽として圧倒的なシェアを占めるのかもしれないけど、もちろんジャズも日常的に様々な場所で演奏されている。 もう20年前になるけれど、ウィントン・マルサリスが「スタンダードタイム」を録音した時、新結成したばかりのカルテットを偶然観たのは、オアフ島のホテルのバーラウンジだった。 本土から名の知れたミュージシャンが渡ってくるのだけど、その時に観たウィントンも、いつもより幾分リラックスした雰囲気で、それまでのウィントンのイメージを覆すものだったのを覚えている。 ハワイの気候と自然がミュージシャンを開放的な気分にさせるのだろうか、普段よりのんびりと聴こえる気がするのだ。 ヨーマン・ウィリアムスは、ベーシストということもあって、ケニー・バレルなんかが単身渡ってきた時はステージを共にするらしい。 ハワイにはブルース・ハマダというベーシストがいるけれど(今年、富士通ジャズフェスティバルで来日)ヨーマンのジャズも、オールドといってよいくらい(これは否定的な意味ではない)朴訥とした暖かく真っ直ぐにスイングするジャズだ。 カルテットは超有名ナンバーを、ストレートに演奏、難しい仕掛けやアレンジは一切なし。 ハワイのような気候のもとでは、あまり難しいジャズは似合わない。 だから、これが彼らのありのままの姿なのだろうし、つくったところがないので、音楽に嘘がない。 たまには、こういう超がつくくらいオーソドックスな演奏もいいものです。 人によっては駄盤の烙印を押すひともいよう。 駄盤、結構じゃないですか、駄盤には駄盤なりに良いところがどこかあるもの・・・ 駄盤を聴いてこそ、名盤の孤高さ、ありがたみが分かろうというもの。 名盤や有名作、本に掲載されているようなものだけを聴いているだけでは、分からないところがあるのですよ。 傑作とは間違っても言えないが、こんなのを軽く流しながら一杯飲る余裕がほしいですね。 メンバーはYORMAN WILLIAMS(B)DALE ALEXANDER(P)PAUL KRYBEC(DS)KEITH FAIRMONT(TS) 1. Take the A Train 2. Autum Leaves 3. Mood Indigo 4. What a Wonderful World 5. Night and Day 6. Body and Soul 7. Tenderly 8. Things Ain't What They Used to Be 9. Green Dolphin Street 10. Stardust 2006年作品