
若干25歳のヒラリー・ハーン、初のエルガー。恐るべき才能、驚嘆すべき美音の持ち主だ。
エルガーの音楽は、過ぎ去りし大英帝国の独特の高貴な雰囲気をまとっている。それ故にその演奏はテクニック的に十分に余裕を持ち、かつ気品のある演奏でなければならない。な~んて書くのは簡単だが、実際にどの演奏に気品があるのか無いのかは、結構数をこなして聴いてみるしかないのだ。でも、今回の演奏は、初めてこの協奏曲を聴く人に、そうした気品と典雅な雰囲気を感じさせてくれると思う。ハーンの貫禄さえ感じさせるソロに、ツボを押さえきったデイヴィスの指揮。この曲の新たな名盤の誕生だ。カップリングのヴォーン・ウイリアムスの「あげひばり」も大変美しい演奏。録音も秀逸。

私はどちらかといえば芥川の音楽が苦手だった。CD化されている彼の音楽の多くはどこか社会主義的音楽(プロコフィエフやショスタコーヴィチのような)の匂いがするか、どうにも近づきがたい前衛的な衣を纏っていたからだ。でもそれは結局食わず嫌いだったようだ。
このCDには「オーケストラのためのラプソディ」、「エローラ交響曲」、「交響三章」の三曲が収められているが、なかでも「交響三章」は氏の出世作といわれるだけあって素晴らしい。躍動するリズム感、グラズノフやプロコイエフを彷彿させるメロディーラインもいいのだが、第二楽章の「Ninnerella」(子守唄)が日本的郷愁に満ちていて美しい。三楽章はリズム爆発、終局になだれ込む様がいかにもソビエトの音楽家達に受けそうな感じも、今となっては歴史的な重みさえ感じる。
それにしても、森永の「どこかでどこかでエンゼルが~」というCMフレーズが芥川の作品だなんて、この解説書を読むまで知らなかった。片山さん、有難う。
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