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おせち料理のまめ知識

おせち料理のまめ知識

 黒豆、かまぼこ、紅白なます、田作り、栗きんとん…おせち料理が現在のような形になったのは江戸時代の後半です。
 日本の伝統食とはいっても、いわゆる『おせち料理』の歴史は200年余り。思いのほか、新しい文化とは思いませんか?
 おせち料理は、江戸の粋やユーモアを凝縮した庶民文化から開花したものです。そもそもの由来は正月の節供料理で、宮中の「お節供(おせちく)」の行事からきています。お節供は文字を見るとわかるように節日に神に供えたもの。宮中では1月1日、7日、3月3日、5月5日、7月7日、9月9日といった節日には神に神饌(しんせん)を供え祭り、宴をひらきました。
 このように、おせち料理は宮中のしきたりが民間に広まったものですが、やがて正月にふるまわれる御馳走だけが「おせち料理」と呼ばれるようになりました。
 そしてそれらは、その土地や時代によって変化していったのです。
  若い方の中には、おせち料理の味が物足りないと思う人もいるかもしれません。もっとボリュームを…といって肉料理をふやしたり、反対にヘルシーに…と野菜を中心にしたり。その家によってもおせち料理は様々です。
 おせち料理は伝統をつたえながらも、実はとっても柔軟な食文化なのではないでしょうか?お重箱の中には、庶民の心意気が詰まっているのです。


 おせち料理を作りおきするのは、お正月に女性を休養させるためとか。
 でも、大晦日まで根をつめておせち料理を作りつづけ、腰痛になった人…中にはいませんか?
 お正月は年神様をお迎えし、おまつりする儀礼です。料理を作りおきするのは、年神様がいらっしゃる間に煮炊きすることを慎む…ということから由来しているといいます。
 幼い頃、年末の慌ただしい空気の中に、ほっこらと煮しめの香りが満ちてくると、心が浮き立つ思いがしたものです。
  おせち料理には不思議な郷愁があります。


 おせち料理の名前には意味があります。それはいったいどんなものなのでしょう。
 その一例をあげてみます。


●黒豆……まめ(健康)に暮らせるように

●数の子……子孫繁栄

●田作り……(江戸時代の高級肥料として片口いわしが使われたことから)豊年豊作祈願

●昆布……よろこぶ

●かちぐり……勝つ

●鯛(タイ)……めでたいに通じる語呂合わせ。江戸時代にはじまった七福神信仰とも結びつき、(恵比須様が抱えているでしょ?)鯛はおめでたい魚としてあまりにも有名。

●橙(ダイダイ)……代々に通じる語呂合わせ。子孫が代々繁栄するように。

●錦たまご(ニシキタマゴ)……卵の白味と黄味をわけて、ニ色でつくった料理の二色(ニシキ)とおめでたく豪華な錦との語呂合わせ。

●金平ごぼう(キンピラゴボウ)……江戸初期に誕生したごぼう料理ですが、当時、坂田金平武勇伝が浄瑠璃で大ヒットしていました。豪傑金平にちなんで、この滋養たっぷりのごぼう料理を金平ごぼうと呼ぶようになりました。強さや丈夫さをねがったのですね。

●里芋(サトイモ)……里芋は子芋がいっぱいつきます。子宝にめぐまれるように、の意。

●紅白なます(コウハクナマス)……お祝の水引きをかたどったもの。

●紅白かまぼこ(コウハクカマボコ)……かまぼこははじめは竹輪のような形をしていました。やがて江戸時代、様々な細工かまぼこが作られるようになると、祝儀用としてかかせないものになっていきました。紅白のおめでたい彩りから、おせちの定番になったのでしょうね。

●栗金団(クリキントン)……「栗金団」というお菓子は室町時代に既にありましたが、いわゆる、おせち料理の栗金団とは別物だったようです。この頃の栗金団は栗餡を丸めたもの。現在の形になったのは明治時代のことです。「金団」とは黄金の団子という意味です。くちなしの実で黄色に色付けて仕上げます。名前の語呂合わせではなく、見た目の“黄金”の色合い、豪華に見える様子から、おせちの定番になったものと思われます。

●伊達巻き(ダテマキ)……「伊達」とは華やかさ、派手さを形容します。華やかでしゃれた卵巻き料理ということで、お正月のお口取り“晴れの料理”として用いられました。語呂合わせや子孫繁栄の祈りというより、色や形からおせち料理に登場するようになったようです。さらに、伊達巻きは、蒲鉾を作る際、つなぎに卵白を使用しますが、黄味の部分が余ってしまうので、それを活用するために考えだされたものです。お口取り料理の蒲鉾とはこんな関係だったのですね。ところで、名前については他説があり、和装で使用する「だてまき」に縞模様がにているから…というのもあります。





 このように、元旦に祝う屠蘇の祝肴(おせち料理)は、無病息災と子孫繁栄の願いを祈ったものです。その願いを食べ物の形や名前の語呂合わせに託してしまうところに、ユーモアあふれる江戸時代後期町人文化のおおらかさ、大きさを感じます。


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