この、死にぞこないめ


途中退場し、今日(05’/10/12)はジムを休んでしまいました。
体調が悪いと思いつつ食事もせずビールを飲んでテレビを見ておりました。
さて、夜の1時を回ったのでそろそろ寝るかと思っていた私に異変が・・・
お腹に不快感と膨満感が襲ってきました。飲みすぎたか・・・・
トイレに行くと急激に吐き気が襲います。うぇ~、うぇ~・・・・・
赤です。葡萄色です。ワインレッドです。トイレの便器は私の吐瀉物により
ワインレッドに染まっております。
こ、これはやばい。とうとう、俺様も年貢の納め時か。
妻を起こします。「お~い、ご主人様が死にそうだから起きてくんない」
などと無理矢理起こすのですが、吐血したことを説明しても、どうも上の空です。
タバコなんか吸っています。
私には第二波が襲ってきて、また吐血です。私が「救急車呼んでよ~」と、
哀願しますとやっと目が覚めたのか、119番に電話しています。
すぐに、救急車は駆けつけてくれ(消防署は家から100m位にある。ああ、ネバフッド)
市内の某電力会社の付属病院に運ばれます。
救急車の知らせで病院では既に救急の体制が取られていました。
A先生「きっと、XXXだろう。カメラ入れるよ。小太鼓さん、胃カメラ入れるからね。
    我慢してね。よっと・・・・・(おえ~、おえ~(私が吐く声))ああ、
    やっぱりXXXだ。I先生呼んで。」
救急でたたき起こされ自宅から駆けつけた、
寝ぐせ頭のI先生(この病気の専門医)登場。
I先生「A先生、代わりましょう。ふむふむ、(おえ~、おえ~)
    さあ、ピッチ上げてくよ。小太鼓さん、今度はもっと太いのが’鼻’から
    入りますから我慢してくださいね。」
胃カメラも初めてなら、鼻からカメラも初めてである。(お尻からカメラってのはあるけど)
嘔吐し続ける私にお構いなく
(内科的)手術は続くのである。
I先生「バルーン、膨らませて。XXcc、XXXXX。?#$%&
    (よくわからない専門用語が続く)。はい、抜くよ、よし、終わった。運んで」
よく覚えてませんが1時間位の処置かと思います。苦しいの苦しくないのって、あなた・・・
あんまり苦しいので、腹式呼吸で深呼吸をして落ち着こうとしていると
B看護師「先生、脈が取れません。血圧、50切りました。」
ぴぴぴぴ、ぴぴぴぴ(脈と血圧を測る機械が非常事態を告げています)
ここで、TV番組のように「酸素3L、昇圧剤スグノボール100cc点滴、強心剤ガンバレール静注」
とか、くるのかと思い、しばらく様子を伺っていたのですが・・・・・・・
I先生「・・・・・・・・・・・・・」無言。あーあ、手術着脱いじゃって・・・・
他の人たち「し~ん」
なんだ、この雰囲気は・・・、あの世行き、一枚ね、往復?、片道に決まっているじゃないか。
急行でたのむ。
っていう、雰囲気でしょうか。(本当にここで一度死にかけます)
まだ、死にたくないので、マラソン型呼吸に切り替えて、ひーひーふー、ひーひーふーって
お産じゃないけど、呼吸をピッチアップする。
B看護師「先生、脈が取れだしました。血圧、60・・70・・80・・回復してきました。」
えっへん、どんなもんだい。伊達に呼吸法を練習している訳じゃないぜ。
I先生「よーし、じゃ、病棟に運んで。」
S研修医「小太鼓さん。どうですか、苦しいですか。
 S.B.チューブってのが鼻から胃まで入ってますから苦しいですけど我慢してくださいね。」
小太鼓「い、息が苦しい~」
S研修医「そうですか、じゃあ酸素上げますね。(看護師に)酸素3Lにして。病棟に運んで。」
こうして小太鼓は(私にとって)長い入院生活に入るのであった。

食道静脈瘤破裂という病気で入院することとなりました。
この病気は大量の吐血が特徴で、ものの本によると最初の出血で約30%の人が一ヶ月以内に
死んでしまうものだそうです。もちろん、発作の起こった場所、時間、専門医の有無等が
生死の分かれ目です。単純に考えても治療のすぐ出来ない状況
(僻地、離島、山奥の外出先、後進国等)であれば簡単に死にいたる病気です。
クワバラクワバラ。

他にも緊急の治療法はあると思いますが
私の場合はS.B.チューブという恐ろしげなもので行われました。
(S.B.チューブについてはかなり想像の部分がありますがご容赦を。
 何せ、体内に入っているので見ることは出来ません)
鼻からファイバースコープと共にチューブを入れます。
胃で風船状(バルーン)のものを膨らまして、鼻からチューブを引っ張っても取れないようにします。
食道の風船を膨らまし、食道の出血部を圧迫して止血します。
食道の風船は上段(鼻に近いほう)と下段(胃に近いほう)に分かれていて
とりあえずは全部膨らましますが上段からの出血が止まれば
上段だけの空気を抜くことも可能です。
鼻から出ているチューブにはバルーンの空気の調整と
食道及び胃の三箇所から吸引した出血を体外に排出する役目があります。
これが苦し~いのですが、しようがない。うつろな目で宙を見つめるだけです。
(体を動かすとえづきます。(えづく=おえっとなって吐きそうになる))
入院したのは木曜日の未明でしたがチューブを抜いたのは火曜日でした。
もちろん、その間絶食です。
木曜日(入院二日目)の夕方、妻がやって来て言いました。
「先生が死ぬ死ぬばかり言うからどうしようかと思った。入院、6週間位だって。」
(そのわりには仕事も休まず行ったみたいで・・・・)
金曜日、仕事関係の人が様子を見に来ました。
鼻から管を出し、酸素吸入をあてがわれ、
あちこち点滴の針が止めてある姿を見て、びっくりして帰って行きました。
後で聞いた話では、死ぬのかと思ったそうです。
医者からも、私の妻、母に覚悟をしておくようにとのお達しがあったそうです。

なんとか、生きております。
自分の葬式に一体、誰が来てくれるだろうかと考えながら時間をつぶしておりました。
絶対安静=超~ひまでもあります。


© Rakuten Group, Inc.
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: