ふぁんとむのひとりごと

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■5分で分かる正しい会社の辞め方

 “サブプライム不況”の中とはいえ、転職を決める人はいる。先日も筆者の本の読者から、「転職が決まった」というお便りを頂いた。この便りの中で、会社を辞めるまでの日々の過ごし方についてご質問があった。今回は、彼の転職のお祝いを兼ねて、転職で会社を辞める場合の一般的な注意事項について述べておこう。

 私見によると、どのように会社を辞めるかは、その後の人生に影響するため「大事」だ。会社を辞めるときのあれこれは、おそらくずっと記憶に残る。

 転職が理由で現在勤めている会社を辞めるプロセスは、かつては会社とのトラブルの可能性も覚悟する一大イベントだった。しかし近年は会社自身も、他社から中途採用者を採用するようになったし、社員が転職で辞めるケースも増えた。会社側は、意識の上で「転職」を罪悪視することが少なくなったし、手続きの上でも社員に「辞められ慣れた」。転職が異例で、上司そのほかの慰留の説得に手こずったり、それでも「辞める」と言った場合に嫌がらせを覚悟することは減った。

 かつてであれば「退職の意思は金曜日の午後くらいに上司に切り出すといい」といった細かなテクニックがあったが、最近はすんなり行くことが多い。ちなみに「辞表を出すのは金曜日の午後」という意図は、慰留の説得に対して「大事な問題なので、週末にじっくり考えます」と言って、週末に「水入り」を作ることができる効果にあった。

 いずれにせよ、退職手続きに関しては、次の職場との関係も考えて自分で決めた日程を守ることが大切だ。

●退職の意思を伝える順番は大切

 昔も今も大切なのは、退職の意思を伝える手順だ。直属の上司によほどの恨みでもあるのでなければ、直属の上司に最初に辞意を伝えるべき。噂が先行したり、直属の上司をとばして上司の上司に先に話したり、人事部に対する手続きを先に行ったりすると、直属の上司との関係が気まずくなる。これは、後で冷静になってから、「大人げなかった」と気付くことが多いし、周囲もそう見るので、後悔の元となりがちだ。転職による退職手続きの時には、精神が過剰に高揚する場合があるから気を付けよう。



 よくあるのは、小さな嘘。例えば転職先が決まっていて辞めるのに、これを言うと面倒だからと「留学したいので辞める」などと誤魔化すケースがある。しかし、小さくても嘘は嘘だ。余計な嘘をつくと、気まずい相手が世の中に増えて、それだけ自分が弱くなる。

 行き先を聞かれた場合は、「転職先は決まっています。ただ、どこに行くかは、あなた(上司など)には関係ないので、退職の日まで申し上げません」と堂々と言うのがいい。行き先を言う言わないは半分は好みの問題だが、行き先を早く明かすと、これに何となくケチを付けたがる同僚が現れたり、場合によっては転職自体に邪魔が入ることがあるので、迷った場合は最終日まで言わないことをお勧めする。ただし最後のあいさつの際には、行き先をはっきり述べておくのがいい。

●退職するまでのモチベーション維持が難しい

 転職の経緯や辞めていく会社に対する意見などは、はっきり述べるのがいいと思う。意見は他人に言ってこそ価値がある。現在の職場に全く何の不満もなく転職を決めることは稀だろう。残った人のためになることなら、言うべき事があればはっきり言うのが「いいこと」。案外、難しいのは、転職を決めてから退職する日までのモチベーションの維持だ。

 転職活動がうまくいきそうになったころから、現在の勤め先及び自分の仕事から、「気持ち」が離れて行くことが多い。これは、自然な感情なので仕方がない。後にも述べるように、一番大切なことは、次の会社にいいコンディションで移ることなので、現在の会社に過剰なこだわりを持たないことが大切だ。

 しかし冒頭でも述べたように、退職までの日々は後々まで記憶に残ることが多い。会社や第三者の立場からではなく、あくまでも「自分にとって」という観点で捉えるべき問題だが、その会社での仕事がどんな意味を持つものだったかという点の総括をすることには意味がある。

 自分の仕事が「途中」あるいは「やり残し」になることはやむを得ないが、プロとしてのプライドを持って、必要十分かつ効率的な引き継ぎ手順を考えて、実行すべきだ。その際に、「自分はこの会社で何をしたのか」、「この会社の自分にとっての意味は何だった」と問うことは有意義だし、最後の仕事の質を落とさないためのモチベーションになるだろう。ただし、この「意味のある何か」の大半は、これまでの仕事の経緯の中にあるのだろうから、最後の数週間で簡単にできるものではない。それでも最後に一手間を加えることで、会社にとっても、自分にとっても「意味のある」仕事にできるものがあるのではないだろうか。

 ただし、重要なのはあくまでも次の職場に良いコンディションで移ることだ。例えば、次の仕事のために何らかの勉強が必要なら、今の職場でサービス的な時間と労力を使うことよりも、次の職場のための準備を優先させるべき。これは、退職手続きに過剰な思い入れを持たないためにも重要な心得だと思う。

 時々問題になるのが、現在の職場から何を持ち出すかだ。仕事で使ったファイルや、自分が書いた書類なども含めて、会社で使っていたものは、原則として会社のもの。近年のコンプライアンス流行りで、こうした点に関しては、昔よりも厳格になっているから、気を付けたい。

 特にもめることが多いのは、顧客に関連するデータ。営業マンの場合、顧客の名刺は個人的な財産でもあるが、厳密には会社の財産だ。日頃から顧客のデータに関しては、個人用のバックアップを取っておくくらいの周到さが必要だし、それがまだなら、退職の意思を表明する前にデータを確保しておこう。

●庶務担当者との関係は重要



 案外重要なのが、会社の庶務の担当者(多くは女性だ)との関係だ。勤め先が変わっても、元の会社に連絡する顧客や友人がしばらくはいるし、郵便物なども来ることがある。こうした際に、いいタイミングで連絡をもらえるかどうかが、人付き合いや、場合によっては今後のビジネスにも影響する。日頃の行いが大切であり、急に態度を変えてもダメかもしれないが、庶務担当者のこれまでの仕事に対して「感謝の気持ち」を何らかの形で伝えることは、有効な投資である場合が多い。

 最後に、有給休暇のほどほどの消化も重要であることをお伝えしておく。仕事から気持ちが離れてしまうほど休むのはお勧めできないが、有給休暇を取って一息入れることも考えておこう。次の会社に移ると、新しい環境への適応に緊張するから、休んで、鋭気を養っておくのだ。

 転職が決まって、次の会社に入る前の時期は、次の職場への希望が膨らんでいるし、自分の心の中で現職場のあれこれに決着を付けているはずだから、「気持ちのいい時間」のはず。この時間を十分に味わって、次の職場に気分良く旅立とう。






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Last updated  2008.11.06 17:39:48
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