第三章



『カ・・イト』
「うーん・・・母さんまだ起きたくないよぉ。」
『おきろカイトォ!!』
「ずうわぁ!!何!?誰!?」
『全く、寝起きはスタン以下だな』
「ディ~ム~ロ~・・・」
ふと、気づく。
「ディムロス?夢じゃなかったんだ!・・・うわぁい!!」
そういってディムロスを、放り投げそうになる
『おい!はしゃぎすぎだぞ』
そして、カイトは気づいた。
「さっきの起こし方は何だよ!びっくりしたじゃないか!!!」
『起きない方が悪い!……しかし、少々手荒だったかも知れん。』
急にディムロスが弱気になった。
カイトから、殺気が放たれている。
そして、
「問答無用!!」
ディムロスにつかみかかるカイト。
『ぐを!止めろ!!苦しい~~~』
その時、ふっと視界に闇が広がった。
次の瞬間ディムロスは剣となり、闇は、草原に変わった。
「う」
目の前には、この前買った『テイルズオブシンフォニア』
の、スライムらしき物体が、五匹蠢(うごめ)いていた。
『スライム』か。一応戦うぞ。
「わかった」(名前そのまんまだぁ。
カイトはディムロスを構えた。
そのまま斬りかかる
「でゃ!」
横に払った剣が2匹を一度に寸断した。
「喰らえ!虎牙破斬」
斬り上げた後空中から斬りおとす、ディムロスに教わった初歩的技である。
スライムたちは核を斬られ、その場に沈黙した。
しかし、前方から50匹程度のスライムが一気に押し寄せてきた。
「・・・でぃむろす?」
『逃げろ!!』
カイトは走った。
必死に走っているうちに耳元に聞き覚えのある声が響いた。
「カイト」
その声の主は、後ろから追ってきたレリーだった。
「俺も襲われた」
「二人なら何とかならない?」
逃げながらの奇妙な会話である。
何を考えていたのか、レリーの顔が真っ青になった
「レリー!?弱音を吐くなんてらしくないぞ?二人で100匹どうってこと無いだろう!」
「…いや。四人・・ で200匹…・ だ。」
「え?」
何と、前からミア、レインが走ってくる
「マジか~~~~~~~~~~~」
叫んだ隙を突いて一匹のスライムが、口を塞ぎにきた。
「う」

「ストーンザッパー」
いつの間にかカイトの下から石つぶてが5~6個噴出し、スライムの胴にあたった。
レリーは、カイトに言った
「ったく!自分の命くらい自分で守れ!」
とはいったものの、完全に囲まれている。
「200対…5」
ミアが逃げ腰になる
「こっちは一人につき100人力だよ」
会とが励ました。
珍しくレリーはにやりとすると、
「あぁ、カイトお前を除いてな」
そういうと、スライムの群れを次々と斬っていった
他の三人も遅れるまいと、斬りかかる
「双連撃」
レリーの剣さばきは、目にも止まらぬ速さだった。
「アイスニードル」
後ろからミアの援護がきた。
「はぁ!てぇい!」
剣道暦五年のレインはさすがに腕がいい
周りのスライムを一掃したカイトに、ディムロスが話しかけた
『カイト!炎の力を強く念じるんだ!早く!!』
カイトは、言われた通りにした。
目を閉じると、自分の周りに不思議な感覚があらわれた。
その口は、意識しなくとも、何か言葉を念じている。
その刹那、カイトの脳裏に自分の叫ぶ姿がよぎった。
(・・・!これだ!!)
「新しい…力」
カイトの叫びは、だんだん意識を持ってきた。
『フアィア……』
「イラプション!!」
ディムロスの声はさえぎられた。
不思議と、カイトにはすべてが分かっていた。
地面が割れ、マグマが噴き出す。
飲み込まれたスライムは灰となり消えた。
「爪龍・連牙斬」
その声で我に戻ったカイトは、ディムロスの声を聞いた。
『カイト?何故、そんな高度な技が・・・・・』
カイトは、ディムロスが思ったより一段階強い技を出したようだ。
「グレイヴ」
レリーが唱えると、残ったスライムは一体となった。
「うぉぉぉぉぉぉ」
斬りかかるカイトを目前にして、
「メーーーン!!」
レインがすっぱり両断してしまった。
「あ」
呆気に採られるカイトに
「おっと、つい癖で」
と笑って見せた。
「やった!」
ミアが喜ぶ。
「・・・このくらい、軽いものさ。」
レリーは誰にともなくカッコつけていた。
そのとき、カイトは、ミアの後ろに微かなる殺気を感じた。
「危ない!!」
カイトが叫ぶのと、草むらが動くのは同時だった。

ガイン!!
剣と剣がぶつかり合う音がした。
カイトが、恐る恐る目を開けると、自分の剣とせりあってるのは鎧だった。
『デッドファイターだ手強いぞ』
ディムロスの意見は真意だった。
「はぁ!」
横から。薙(な)ぐ様に払ったレインだが、
攻撃は、厚い鎧で弾かれた。
「アイスニードル」
ミアのその攻撃も同じだった。
デッドファイターはカイトと交えていた剣を一度離すと、下段から、思いっきり斬り上げた。
なんとか剣で受けたものの、その検圧に、カイトは吹き飛ばされた。
「カイト!」
ミアが心配そうに叫ぶ声が聞こえた。
「大丈夫?」
「あぁ。なんとか」
ミアに心配をかけまいとカイトが立ち上がった。
「ライトニング」
レインの落雷攻撃によろいはひるんだ。
「・・・そうか!!」
ひらめいたカイトは、一直線に向かっていく。
「雷神剣」
その切っ先に小さな落雷が起こり、そのまま鎧の胴を貫いた。
「鉄は…電気を良く通すって理科でやっただろう?」
それを聞いたレリーは、シャルティエと何か話していたが、走り出すと、
「雷神十連撃」
続けざまに鎧の胴を貫くその一撃一撃に小さな電流が起こっている。
その攻撃に、鎧は痺れ、倒れて動かなくなった。
『お見事!』
クレメンテがそう言うと、
「クレメンテさんも」
と、珍しくおごらぬ態度のレリーであった。
『ワシの力を知ったか?これからは尊敬の意を込めて「クレちゃん」と呼ぶように!』
―――全員無視―――
『こんな所でだが、皆に、重大な発表がある』
ディムロスが言う
『実は・・・

 手短に説明しよう。
彼らソーディアンの本来の使い手であるスタンたちが、世界征服をたくらむ「ダークシンフォニー」に捕まった事、ダークシンフォニーとは今まで話に聞いてきた異界の悪の集まりで、自分は、何とかスタンに外に出してもらった事、カイトたちにも使い手としての資質があるので、どうか助けて欲しいということを話した
                  という訳なんだ。頼む!!』
ディムロスに言われるとくすぐったい。
「ねえ、皆助けに行こうよ!」
ミアが言う。
「私も・・・行きます」
レインが賛同する。
「あぁ。」
レリーも微笑む。
「よし!行くか!!」
カイトが決心する。
「そうと決まったら・・・出発!」
の前に 準備だ。」
カイトの一言を、レリーがあっさり却下した。
「…未熟者」
レリーはそう言い放った
「のぁ!?未熟者??」
「・・・まぁまぁ、二人とも」
ミアが割って入る直後
ゴンッ!!ガンッ!!
気持ちのい~い音が響いたと思ったら、フライパンを持ち仁王立ちするレインの目の前に二人は倒れた。
「朝食の途中だったのに」
レインは何事も無かったかのようにその場に座った。
「…すごいね」
あのミアが絶句するほどの行為だった。
『ワシャ結局無視か?』
クレメン手の一言がやけに響いた。

三章完結。
また、クレメンテ破壊しました。
多分、この先も彼は壊れ続ける運命(デスティニー)でせう。
・・・彼を救ってやってください!!
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