インディー(30)




マッツ・エッグ

スウェーデンの振付師

白鳥の湖


彼自身は登場しない

まず登場したのはスキンヘッドのバレリーナたち

ただのスキンヘッドではなく、皆、後頭部の斜め左サイドにコブをつけている(ここに髪を丸めて格納しているわけね!


バレリーナたちは、皆美しいとは必ずしも言えず、そして、踊りもうまくない。

(これってプロのバレリーナ?)

みんな動きが洗練されていない。

でも、独特の手の動き、足の動き、頭の振り方・・


すべて、今まで見たことのないバレエ。


こんなの世間で認められているの?

認められているとしたら、バレエの世界って懐深いなあー


こんなおもしろい世界があったんや!


ビデオを見ながら、早速、ナオミにメールを売った。

ナオミから、すぐに返事


「デショ?デショ?」


黒いタイツに身を包んだ白鳥の(黒鳥のか?)王子登場。
長身、長い手足。すっとぼけたような表情。


その表情のまま、ムーンウォークをシレッと披露。

おぉ、こいつはほかのバレリーナたちと動きがまるで違う。プロフェッショナルや。

とナオミに追加メール。


「デショ?このダンサーは世界的にもかなり有名なダンサーなんですよ!」


「ふーん、そんな人がこんなふざけたバレエに出演したりするんやー」


「ふざけているけど、結構深いんですよ。うんちの張りぼてとかが出て来てるでしょ?」

「うんうん、さっき一人のバレリーナが、それでマスターベーションするようなカッコしてた」

「マッツ・エッグは白鳥の湖をフロイト的な視点から解釈して全く新しい白鳥の湖を構築したんですよ」

「ふーん」


「軸になっているのは、王子のマザーコンプレックスです」


「なるほどー」


私は、知らないうちにすっかりナオミの術中にはまっていた。


マッツ・エッグの白鳥の湖を繰り返し見て、次の休日からは、図書館に出かけて、バレエ関係の雑誌、本を読みあさるようになってしまっていた。


(つづく)




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