インディー(124)



「それでやめたんだ?」

「そうそう」

「おりこうさんだ」

「あたしは、バカなの」

「バカだから、一途にメジャーに行こうと頑張ってる」

「そう」
顎を突き出してエラソバッテ言う。

「そんなユキが好きだ」

「バカ・・」

「おれもバカってことか・・」

「ハハハッ!」

今日は、とにかくユキは、ハイで上機嫌だった。
今晩おいでよ、とかそういうことも言わなかった。

言わなかったら、言わないで、なんか肩透かし食らったみたいで少し寂しかった。


「あたし、そろそろバイトに行かなきゃ」

「そうだね」

「フリペ、もう一部ちょうだいよ。店に置いて来るから」

「わかった」
と言って差し出す。

「今晩、ゆっくり読むね」

「うん。また、感想をメールしてくれよ」

「バイビー!」


ユキは、なんで、今日だけこんなにハイだったのだろうか?と、いぶかる。

「バンドのメンバーが見つかった?」

「新しい男ができた?」


わからなかった。

わからないけど、まあいいやと切り捨ててカフェを後にした。

(つづく)




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