インディー(149)



ナオミのマンション。

部屋の明かりはまだ点いていた。

ドアを開けた。

開ける前から、ナオミの怒った表情と、機関銃のようなことばは、予想していた。


「どうして、携帯切ってたの?」

「あ、ちょっと」

「ちょっとじゃないわよ。心配するじゃないの」

「だから、FM局回りで遅くなるって言ってただろ?」

「局回りが終わったら、携帯あけてよ」

「すまん、すまん」


「酒クサーイ!お風呂入って、歯磨きしてからでないと一緒に寝ないから」

「わかった、わかった」


なんだか既に夫婦してるみたいな錯覚に陥っていた。

このまま結婚しちゃうのか?
そいつは勘弁してほしいや
なんて身勝手な思いがよぎる。


風呂から上がるとナオミは既に明かりを消して、ベッドで眠っていた。
眠っているふりをしていたのかも知れない。

後ろから肩を抱いて、首筋にキスをしたが、反応はなかった。

更に後ろから、右の胸に手を回して、手のひらで少し押さえたが反応はなかった。


ナオミの温かい豊かな胸の感触を手のひらに感じながら、眠りについた。


(つづく)




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