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INACTIVE OF SAFEHOUSE
第4話
1
今日、火曜日。アイツをぶん殴る。俺の拳で、目を覚まさせる。
気合いを入れてあの公園に行く。いつもより早く起きてピンク髪の師匠と朝の修行だ。
「…おはよう…渋川……よく眠れたか?」
「おはよう、昨日の地獄の修行が嘘のように眠れたぜ」
「…それはよかった…元気そうでなによりだぞ」
霧島は昨日の地獄とはうって変わっておとなしかった。マシンガンのような話し方もしていない。
「元気そうじゃないね?」
「…人のことを気にする余裕があるのか?」
強がり、なのか?
昨日はあんなに喋っていたのに。マシンガンは普通に戻っただけだからいいとしても、昨日の不気味さと圧迫感が嘘みたいだ。
よく見てみれば顔が真っ赤で息も荒い。
「おい…マジでどうした?」
「どうもしないぜ……少なくともうちがお前に会った時からうちは変わっていないぞ…」
「じゃあ俺と会う前になにかあったのか?」
「そうなるな…だがそれがどうした?」
「…それがどうした?じゃねぇよ…って…おい」
霧島がその場に倒れる。
「くっ…もう少し持つと思っていたが…うちもここまでか……」
「あ?なんのことだよ…全然わかんねぇぞ!!」
「それにしても、こんなところで死ぬとはな…」
死ぬ?マジでわかんねぇ…わけわかんねぇ…だけど!
「何か方法はないのかよ?お前を助ける方法!!」
「……何を言っているのかさっぱりだぜ…うちを助ける?……その方法?」
助ける。
助けるんだ。こいつはわけわかんねぇし、信用もいまいちできねぇが…俺に魔法を教えてくれた師匠だ。短い時間だったけどなんとなく悪いやつじゃないようなかんじがした。
「あぁ…そうだ、お前を助ける!」
俺がそう言って、目をみると霧島は静かなマシンガンで話し始めた。
「相変わらずいい目だな。…渋川真司。
「全く…確かにお前はうちの用意できた唯一のカードだ……。
「前橋有利。……うちの知っているなかではあいつに対抗できる人間はお前しかいない。
「あぁ…。…別にお前のことを誉めているわけではないぞ…。
「…紋章。紋章だ。
「昨日も云ったとは思うが、紋章は前橋有利の…強大絶大な魔力から飛び出した8つの属性が形となったものだ…。
「そして渋川真司。
「その内の1つ、炎の紋章をお前に預けた。
「…その紋章さえあれば今の前橋有利と同等の力くらいは…得ることができるだろう。」
「おう!それは訊いたぜ それで前橋を一発ぶん殴ればいいんだろ?」
「…あぁ渋川。ここからがうちを…いや…地球を救う方法に繋がってくる。
「…昨日……話さなかった…渋川がうちのカードになった理由だ。」
カード…ねぇ。地球を救うって。悪友1人助けるのが壮大になってるよ…。
霧島の体調は悪化するばかりだ。
俺はそれを助けたい。
でも、そいつが結果的に地球を救うことになるなら……俺は…。
「……昨日は云わなかったが…緊急事態だからな。
「…お前にも伝えておかなければならないだろう。Kの。魔法の、秘密をな。」
そうして霧島は魔法の秘密について話しはじめた。
2
霧島が一通り話し終わる。
「地球を再構築して魔法を使える世界にしたってことでいいのかな?」
「…それによってエネルギー問題だとか、煩わしいものが色々解決するらしいぞ。」
「なるほどね…」
「…本当にわかってるか?まぁ、ただ1つ言えるのは、そこに一編の悪意もなく、あるのは…目指していたのは幸福な未来だったということだ。」
「…だった?」
「…まぁそういうことだぜ。
「…そのKという組織は2人を残して全壊した。」
「全壊!?それってかなりヤバいんじゃねーのか?」
「……ヤバいな。それに残り2人の片割れのうちがこんな状態だ。」
「でも、なんでだ?なんでお前がこんなにも死にそうになってる?」
「……うちは細かい説明は省くが、魔力がないと動けない体なんだよ。
「それだけで体が衰弱していく。
「で…Kが無くなったから魔力を補充できる場所が無くなった。」
「……大体わかったから、どうすれば霧島が助かるのかをいい加減教えてくれ」
「……紋章。おそらく紋章があればうちは一時的に命を繋げられる。
「…紋章は大きな魔力の塊だからな。」
「なら、炎の紋章を…って、あれ?」
ない?炎の紋章がない。
「それが出来れば苦労はしないぜ。
「どうやら、持ち主が紋章の力を使うと紋章はそいつの体に取り込まれてしまうみたいだ。
「気づいていないか?腕…みてみろよ。」
「…これは」
今まで気づかなかった。
俺の腕には昨日の炎の紋章が刻まれていた。
3
「他の紋章を探せばいいんだな」
「…そういうことになる。」
「そういえば、もう1人の片割れはどうしたんだよ そいつに手伝ってもらえば、早く済むんじゃねーの?」
「連絡が取れていればお前には頼まんわ。」
「それもそうね」
「まぁ、なんだ。割とお前に地球の命運がかかっている。
「Kを失った今、すべてが手探り状態。
「うちと……もう一人がいてもなんとかなるかわからないが。
「いなければ、そこでゲームオーバーだろう。
「今、この最悪な状況を回避するために、お前の力を貸してくれ。渋川真司。」
霧島は最後に力強くそう云うと、気を失った。
4
霧島から借りた紋章レーダーを片手に走る。
アイツは公園のベンチに寝かせてきた(あそこには結界がかかっているし大丈夫だと思う)。
行く場所は決まっている。近くに同時に動いている2つの紋章反応があった。
それには、すぐに追いつけた。
「渋川真司か」
開口一番にフルネームを言われた。
俺はこの子を知っている。長い黒髪の美少女。クラスでも人気だったはずだ。
まぁ、なぜ俺が知ってるのかというと、るりと一緒にいるところを何度か見たことがあるからなんだけど。名前は確か…
「ユミ…ちゃんだっけか?」
彼女の体が俺の言葉に反応したのか、肩が一瞬上がった。
「なぁ…いきなりで悪いんだけど持ってる紋章を貸してくれないか?」
「え?」
「仲間がピンチなんだ それがあれば助かるかもしれないんだよ!」
「え…その……それは…」
人見知りするタイプ?今はそんなこと気にしてる場合でもないんだけどねぇ。
「なぁ、頼むよ」
「……待って、この強い魔力は……あなた紋章を体に取り込んでる…」
「まぁちょっと色々あってね…」
「色々ってなんですか!答えなさい!」
俺の紋章を感知した瞬間、彼女の態度が変わる。少し驚いて後ろに下がった。
「何かやましいことがあるんですね!…いや、普通の人間が紋章を取り込んで力に呑み込まれないのもおかしい…」
「だからそれは…」
「私は……もう二度とあんな風景みたくない…あのスーパーやKは二度と元には戻らないけれど、今、そこにある脅威を食い止める努力を私は惜しまない!」
一瞬で背後に回り込まれ両腕を掴まれる。背中を蹴られ、地面に押し付けられる体勢になってしまった。
「痛っ…」
これはヤバい…。紋章を手に入れるどころか俺の紋章が奪われてしまう。
…仕方ない。悪く思うなよ。
心臓を中心にかき集めるイメージ。自分のなかの魔法を掌に具現化させていく。
「この紅い光は……っ」
今の俺には見えないけど、たぶん腕の紋章が紅く光っているんだろう。そこから俺のなんて比較にならないような魔力が伝わってくるのを感じた。
「離して…貰うぜっ!!」
紋章のある右腕から炎が上がる。彼女は危険を察知したのか俺から離れた。
「…その紋章は本当に危ないんです!あなたみたいな素人が持っていたらいつ暴走するか…」
「知らないっての」
「聞き分けが…悪いです!」
「うるせぇ!日本人形!」
「日本人形って誰ですか!!」
「お前のことだよ!!」
服装は学校の制服だけど、長く伸びた黒髪と整った顔は悪く言えば日本人形に近い。
なんでそんなことを言ったかというと、そいつがいきなり日本刀を構えたから反射的に威嚇しただけなんだけど。
どこから出したのよ?それ。
「あぁ、刀が怖いですか?…大丈夫です痛くないですから、一瞬で終わりますよ…」
「あのなぁ…」
「よい週末を迎えるためには…申し訳ないですけど犠牲もあります…」
「なに、その覚悟」
「私が、私一人が手を汚せば……」
また背中に回り込まれる。今度はそのまま構えた刀が空中を斬った。
ギリギリよけたけど、真空波?で左腕が持っていかれた。
「わけわかんねぇっての!」
踏みとどまって、炎を纏った右腕で反撃する。
拳は当たらなかったが、炎で少し服が焦げた。
そして、ひとまずお互い間合いを取った。
「私とあなたの力の差は歴然です おとなしく降参しなさい」
「嫌だね…仲間の命がかかってんだ!!」
にしても結構ヤバい。血が止まらない。いきなり左腕斬られるとは思わなかった。
でも…。
「降参はしないけど、今は退いたほうがいいかもね…」
「逃がさないですよ」
右腕の炎を両脚に移動させる。
「ブースト!!」
紋章から直接炎をイメージ。爆発するような炎。
「この炎は…尋常じゃない……」
「行くぜ!!」
一歩踏み出す。ジェット機のように両脚から炎が噴き出してありえない速度で飛び上がった。
緊急脱出用魔法。霧島から教わった3番目の魔法。“最初から全速の走り手”。
日本人形はあっけに取られているだろう。ミヤマも初見では何もできないまま逃がしてしまうだろうな、と言っていたほどだから。
そんで、今頃こうも思っている。いや…叫んでるかな?
「あれ?紋章がない…2つとも……それに携帯も紋章レーダーも…持ち物全部」
1回目の取っ組み合いで紋章を奪った。2回目の左腕で持ち物を燃やした。
ざまーみろ、日本人形。何だかよくわからねぇが、左腕の代わりは大きいぜ。
5
「速攻で帰ってきたぜ、霧島」
ベンチで寝ている霧島に紋章を2つ取り出して声をかける。
「どっちか一つ…だよな?」
手元には白く光った紋章と、青く澄んだ紋章があった。
「時間ないし、直感で青!」
青の紋章を胸の辺りに置く。
「上出来だぜ。渋川。
「いや、親しみを込めて真司と呼ぶよ。
「それともしーくんのほうがいいか?」
目を覚ますやいなや、霧島は昨日の調子で喋りだした。
「今まで通り渋川でいいよ」
「そうか?
「お前がそういうのならそれでいいが。
「まずは礼を言う前に左腕か。
「少し時間はかかるが、治るには治るぞ。」
「治るのかよ!?時間って言っても学校はどうせ遅刻だろうしなぁ…」
携帯を開いて時計をみる。あれ?まだ7時かよ…。
「治るにはどれくらいかかる?」
「1時間あれば完治できるな。
「私と紋章の力があれば余裕だ。」
学校、間に合うみたいだ。
「そういえば紋章、後1つあるけど、どうする?」
「ほぅ…光の紋章か。
「うちの体のなかに入ったのが水の紋章。
「光の紋章のほうがよかったぜ。」
「文句!?」
水の紋章は霧島が目を覚まして、喋っているうちに胸のなかに入っていった。
たぶんだけど、俺と同じく、今、霧島の胸には紋章のマークが刻まれているはずだ。確認できないのが残念。
「炎、水、雷、氷、風、地、光、闇とあったら光と闇のほうが強そうだろ。
「その辺りの気遣いが足りないんだよ。渋川。
「俺、一応命の恩人なんだけどなぁ 後、見た目じゃ何の紋章かわかんねぇよ」
「なんとなくわかるぞ。こう感覚で。
「時に渋川。なぜお前は2つも紋章を取ってきた。
「命の恩人に文句をいうのは気が引けるが、1つ取ったら戻ってこいよ。」
「さっきから文句ばっかり言ってるじゃねーか、…2つ持ってたんだよ、奪ったやつが」
「2つ…?普通の人間なら1つ手にしただけで紋章の魔力に取りつかれて暴走するはずだが。
「どんなやつだ?」
「日本人形」
「…もしかしてとは思うが、昭和由美子のことではないか?
「日本人形はよくわからんが、今、現在、紋章に触って正気でいられるのはそいつと前橋有利、うちと渋川しか考えられないぞ?」
「昭和?…フルネーム知らねぇんだよ」
「黒髪の長髪で結構かわいいと評判のお前の隣のクラスの女の子だ。
「片品るりとも仲がいいみたいだぞ。」
「ビンゴ!!」
「…呆れてうちでも何も言えないぜ。
「まぁ、いい。ユミは今どこにいる?」
「知らねぇよ、そいつから紋章ぶんどって逃げてきたわけだし」
「…お前が紋章を奪った相手は昭和由美子。うちの片割れだ。」
「なん…だと!?」
6
昭和人形(日本人形から改良)には悪いことをした。でも緊急時だ、仕方ないだろ?
それに聞く耳を持たなかったのはあいつだ。
結局、俺が2つとも紋章を奪って(霧島が言うには奪う紋章を一つだけにしておけば紋章レーダーで居場所が掴めたらしい)、なおかつ携帯も壊したせいかはわからないが、昭和人形とは連絡がつかなかった(念話とやらも通じなかった)。
あれから、霧島に左腕を治してもらって学校へ行った。
あいつとは…前橋とはいつものかんじで接した。
勝負は放課後、それに記憶がないあいつに昨日のように接したら俺が気分悪くなる。
そして、今、勝負の場所である近所のスーパーだった場所にいる。
到着したとき、スーパー一帯は酷い有様だった。
「結界が張ってあるから、何かあるとは思ったが、これほどとはな。
「これじゃあ戦争がある地域と何も変わらないぜ。」
戦争がある地域って何者なんだよ、お前は。霧島。
「昭和由美子、確かに昭和人形の魔力で作られていたんだな?その結界は」
「間違いないよ。うちがあの子の魔力を間違えるはずがない。
「僅かだったがな。あとは光の紋章の魔力だった。
「ここで何かあったのだろう。それにユミが関わっていたことは確かだぜ…。」
「でも霧島、お前が調査した結果、ここで何かがあったのは昨日のことなんだよな?」
「そうだぜ。魔力の反応とそこら辺の残骸からそれくらいのことは推測できる。」
「…じゃあ、なんでその時点で霧島はここで起こってることに気付かなかったんだ?」
「それどころではなかったからな。」
「それどころ?」
「まぁ、それは後で話すよ。今は目の前の勝負に集中しようぜ。」
それもそうか。あいつを一発ぶん殴る。今はそれだけか。
「ちょっと気になることがあるんだけど、いいか?」
その前に一つ質問を。
「お前が前橋を連れてくるものだと思ってたけど違うのな?」
「そのことか。それじゃあ渋川に最後の修行をつけてやることができなかっただろ?
「お前と前橋有利。2人の友達をちょっとそそのかして都合よく戦うようになるようにしてきたぞ。
「片品るりをな。
「紋章レーダー到着。くるぜ。風の紋章が。」
思うところはあるけど…
「よし、やるか!!」
7
「これは…」
「こんな…酷い…」
前橋とるりが到着する。それと同時に霧島が再度結界を張った。
「魔法…だよな」
燃えている一帯に2人は嫌悪感を隠せない。
「るり!ここは危ない!ここから離れる」
前橋はるりの手を引く。
「危なくないよ」
るりはそこから動かなかった。
「ううん…危なくないわけじゃない でもひとまずは大丈夫 わたしたちがすぐに燃やされることはないから ごめんね…ユーリ君 巻き込んじゃって でも…」
「ご指名だからなぁ 前橋」
「渋川…」
前橋は何か決意したような顔をして、一言。
「はじめよう 渋川」
「あぁ」
8
「その火、お前がやったのか?」
「火葬だよ、せめてこれくらいはしてやらないとな」
「…お前ふざけるなよ」
「ふざけてねぇよ、ふざけてんのはそっちだ、馬鹿野郎」
「何言っても通じないようだな…そこの女の人は誰だ?」
前橋は霧島を指さす。
「ミヤマキリシマ…知り合いじゃねぇのかよ?」
「俺は知らない」
また改変しやがったのか?こいつは。いや…違うか。こいつの魔力はまだ封印されたままだしな。
「…るりは巻き込まないようにしねぇとな、霧島頼む」
俺がそう言うと、霧島はるりを抱えてある程度距離を取る。
「渋川…るりをどうするつもりだ?」
「お前から奪うつもりに決まってんだろ!!」
日曜日。お前がそれをなかったことにするなら、今度は俺がお前に勝ってやる。
「意味が分からないことを…」
「意味がわからないのはお前だって言ってんだろうが」
とか言いつつも時計をみる。
そろそろ時間か。
前橋の魔力が呪術から解放される時間。
集中しろ、俺。
まずは自分の中の魔力を両手に集中。
それをベースに紋章からありったけの魔力を伝導させる。
両手が、いや両腕が炎に包まれる。
両手を併せて今度は体全体に魔力を伝える。
体全体が紋章の魔力に守られている感じ。これならどこからでもどの状態からでも紋章の魔力を使うことができる。
霧島に教えてもらった最初の魔法、完全版だ。
そして更にもう一つ魔法を使う。
再び両手に魔力を集中させる。全身に行き渡った魔力が両手に集まる。
もう一度両手を併せて、目の前に壁を造るイメージ。
大きくて、絶対に壊れない最強の壁。
これで、完成。霧島に教えてもらった4番目の魔法。炎の盾完全要塞バージョンだ。
「やっぱりこの炎…お前がやったのか…るりの言葉とはいえ信じたくはなかった。お前魔法使えないんじゃなかったのか?今朝の俺とお前の会話は全部嘘だっていうのか?」
「嘘だ」
嘘に決まってる。あれが俺とお前の日常会話だって言うなら俺の友達、1からやり直せ。
「渋川……!ん?なんだこの胸から溢れ出てくる熱いものは……!?」
始まったか。前橋の全身から魔力が溢れてくる。当然だ。霧島から魔法の使い方を教わっているとしても、突然解放された魔力を全部コントロールすることはできない。
まぁ、霧島がそう言ってただけなんだけど。
前橋の右脚が制服から透けて青緑に光る。翠色ってやつだ。
風の紋章。昭和人形が前橋に戻した翠の紋章。
「渋川――お前は俺が――止めるッ!!」
来る。最初の一撃。
「行くぞ!!」
封印された魔力で増幅された魔力。それは風の力を受けて巨大な竜巻と化した。
両手に力を込める。
これさえ…これさえ耐えれば……
9
「前橋有利との戦いで一つだけ気を付けないといけないことがある。
「最初の一撃だよ。
「うちの呪術で封印された膨大な魔力をあいつは怒りに任せて撃ってくるだろうからな。
「逆にそれを防ぎきれば後は風の紋章の魔力だけと戦えばいいことになるな。
「お前と前橋有利との魔力差はなくなるぞ。
「だから最初の1撃だけは絶対に防げ。
「じゃないと全身バラバラになってうちでも治せなくなるからな。
「なんで?全身バラバラかって?
「風の攻撃と言ったら、かまいたちじゃないか?」
10
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
限界まで魔力を高める。
紋章の魔力を炎の壁に注ぎ込む。注ぎ込む。
押されているのを感じる。一瞬でも魔力が途切れたらバラバラになるだろう。
でも、俺は負けらない。
「負けられないんだよぉぉぉぉぉ!!」
風と炎が止む。
11
「最初の1撃を防いだら、恐らくお前と炎の紋章の魔力はほとんど無くなる。
「さてどうする?
「風の紋章とどう戦う?
「そこで今から教える魔法だ。
「うちがお前に教える5番目の魔法。
「“偽物の不死鳥”。
「細かい説明は面倒だから省くが、腕が斬られたら、それを無かったことにする魔法だ。
「でも偽物なんだろ?だって?
「その通りだ。
「この魔法は偽物。
「付け焼刃的な能力。
「その痛みが、その事実が24時間後に後回しにされる。
「まぁ、しかし代償はあれど高度な魔法だ。
「うちとユミが取得するのに1か月程かかった。
「でも、渋川。お前なら1時間もかからないと思うぜ。
「その魔法は炎の紋章と相性が良すぎるからな。
「すぐに体に馴染むだろうよ。
「それに、お前はこの魔法と相性が良い
「なんでかって?
「お前、朝、ユミに腕を斬られてるじゃないか」
12
それは関係ないだろ。
でもそれで俺は戦える。それくらいの代償は払ってやるよ。
前橋の風を防ぎきり、炎の壁は無くなった。
なんとかなった。
ここからが本当の勝負だ。
13
前橋がそこら辺に落ちていた鉄パイプを一振りする。
かまいたちで俺の左腕が吹っ飛ぶ。
「偽物の不死鳥」
左腕が何事もなかったかのように再生する。
「これが俺の…魔法。というか、渋川、お前…吸血鬼か何かなのか?」
「違うね」
「じゃあ悪魔にでも魂を売ったのかよ。ふざけるな!!」
鉄パイプ一振り。
俺の右脚が吹っ飛ぶ。
「偽物の不死鳥」
バランスを崩す前に再生。
「ふざけてんのはお前だって言ってんだろうが!!」
走り出す。こいつを殴ればすべて終わるんだ。
霧島から教えてもらった2番目の魔法。
“真実の一撃”
一発殴れば、あいつは自分のしたことを思い出す。
思い出させる。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉ」
右腕で、殴るッ!!!
「こっちに来るな」
前橋の鉄パイプ。
一振り、二降り。
マズい。
どっちも右手を狙った一撃。
――紋章がある腕を斬られたらヤバいことになる。
14
「紋章がある腕。
「つまり右腕を失ってはいけないぞ。
「まず、普通に紋章の魔力を失うことになるからな。
「そんなことになったらお前は絶対に前橋有利に勝てなくなる。
「さらに連鎖として、魔法が使えなくなる。
「当然の話だぜ。
「今までお前が覚えた魔法は紋章があってこそのものだからな。
「そうなるとだ。
「偽物の不死鳥の効果も切れる。
「どうなると思う?
「決まってるぜ。
「今まで無かったことに、誤魔化してきた事実が本物になる。
「あとはわかるな?」
15
くそっ…
最悪、偽物の不死鳥はいい。
でも、魔法が使えなくなるってことは真実の一撃も使えなくなるってことだ。
それはマズい。
前橋の目を覚ます方法がなくなるからな。
一撃目、左腕でガード。
二撃目、ギリギリ避ける。
「偽物の不死鳥」
回復。
「お前…化け物か」
化け物はお前だ。前橋。
近づくこともできねぇじゃねぇか。
16
「後は意識との戦いだぜ。
「風の紋章の魔力が切れたら渋川の勝ち。
「お前が右腕を失ったら前橋有利の勝ちだ。」
17
「風よ!」「偽物の不死鳥」「風よ!」「偽物の不死鳥」「風よ!」「偽物の不死鳥」「風よ!!」「偽物の不死鳥」「風よ!!」「偽物の不死鳥」「風!!」「偽物の不死鳥」「風!!」「偽物の不死鳥」「風!!」「偽物の不死鳥」「風!!」「偽物の不死鳥」「風!!」「偽物の不死鳥」「風!!」「偽物の不死鳥」「風!!」「偽物の不死鳥」「風!!」「偽物の不死鳥」「風!!」「偽物の不死鳥」「風!!」「偽物の不死鳥」「風!!」「偽物の不死鳥」「風!!」「偽物の不死鳥」「風!」「偽物の不死鳥」「風!!」「偽物の不死鳥」「風!」「偽物の不死鳥」「風!!」「偽物の不死鳥」「風!!」「偽物の不死鳥」「風!」「偽物の不死鳥」「風!!」「偽物の不死鳥」「風!!」「偽物の不死鳥」「風!!」「偽物の不死鳥」「風!!」「偽物の不死鳥」「風!!」「偽物の不死鳥」「風!!」「偽物の不死鳥」「風!!」「偽物の不死鳥」「―風塵剣」「…偽物の不死鳥」「――風塵剣!!」「偽物の不死鳥」「…ッ――風塵剣!!」「偽物の不死鳥」「…風塵剣!!」「偽物の不死鳥」「風塵剣!!」「偽物の不死鳥」「風塵剣!!」「偽物の不死鳥」「風塵剣!!」「偽物の不死鳥」「風塵剣!!」「偽物の不死鳥」「風塵剣!!」「偽物の不死鳥」「風塵剣!!」「偽物の不死鳥」「風塵剣!!」「偽物の不死鳥」「風塵剣!!」「偽物の不死鳥」「風塵剣!!」「偽物の不死鳥」「風塵剣!!」「偽物の不死鳥」「風塵剣!!」「偽物の不死鳥」「風塵剣!!」「偽物の不死鳥」「風塵剣!!」「偽物の不死鳥」「風塵剣!!」「偽物の不死鳥」「風塵剣!!」「偽物の不死鳥」「風塵剣!!」「偽物の不死鳥」
18
何度でも立ち上がる。俺は諦めない。
お前のやったことは最低なことだって分からせてやる。
何回、何十回斬られただろう。
わからないくらい斬られたとき、前橋は鉄パイプを振るのを止めた。
「…渋川」
「あぁ?」
「…俺、思い出した。ここを燃やしたのはお前かもしれないが、それ以前のものはお前はやっていない。それに霧島美山。お前のことも思い出した。俺に魔法を教えてくれたのはお前だ」
「……」
「それに――いるんだろ?ユミさん」
「昭和人形?」
「俺はここでユミさんに出会って、事故があって、ユミさんはそれから俺を守ってくれた。そして昨日の、月曜日の俺の記憶を消した」
「…それを今思い出したのか?」
「そうだ。出てきてくれ――ユミさん。それにるりも霧島も。俺はもう攻撃したりしない」
遠くでみていたるりと霧島が近くに寄ってくる。
そして昭和人形も。
「………ユーリ君」
昭和人形は少しの間何も話さず黙っていた。
そして、一言名前を呼んだ。
前橋が肩に手を触れる。
「――俺は大丈夫だから。俺は自分を見失ったりしないから。だから、記憶なんて消さなくていい。俺の心配より自分の心配をしよう」
――確かに昭和人形の体はボロボロで、顔は涙でぐちゃぐちゃで。
「由美子ちゃん」
るりも近づいてきて涙を拭いてあげる。
「ユミ…ボロボロだぜ。
「Kが無くなって、連絡もつかないしな。
「少しはうちを頼ろうぜ。」
霧島は彼女を後ろから抱きしめる。
「…昭和人形」
俺は距離を取っていつもの悪口を。
「……うぅ…私どうすればいいのかわからなくて…るり…ミヤマ……ユーリ君」
俺、無視かよ。そうかよ。
昭和由美子は涙枯れることなく泣き続けた。
19
それはそれとして。
「ふざけんな!!真実の一撃!!」
最後に油断した前橋を思いっきりぶん殴ってやった。
俺と前橋はその場に崩れ落ちた。
長かった火曜日が終わる。
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