ザビ神父の証言

ザビ神父の証言

2011.02.21
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カテゴリ: 国際政治
チュニジアからエジプトへ…(24)

スエズ運河を航行する船舶は、「スエズ運河会社」に航行を申し出。許可を得ることが必要です。そして「スエズ運河会社」はエジプト政府の方針に従い、経済封鎖対象国の船舶や、エジプトと対抗関係にある国の艦船については、政府の許可がない限り、航行許可を出さないのが通例でした。

こうしたいきさつから、イラン革命後に、イラン海軍の艦船がスエズ運河を航行したことは、1度もなかったのです。サダト時代は、イラン・イラク戦争と重なっていましたから、エジプト政府は当然のこととして、ペルシア帝国の末裔ともいえるイランではなく、アラブ世界に属するイラクを支持していました。

そしてムバラク時代になると、親米路線を堅持しましたから、当然親イスラエルの路線が採られ、イラン敵視政策が続けられましたので、イラン艦船のスエズ運河航行が、許可されることはなかったのです。

それがどうでしょう。ムバラク退陣から僅かに1週間で、見事に覆されたのです。イランのメディアは、1月26日に「イラン海軍の士官候補生たちが、1年間の訓練のために、スエズ運河を通過して地中海に向かう」、「彼らは、イランの船舶をソマリアの海賊から守るための訓練に参加する」と報じていました。

この報道に敏感に反応したのがイスラエルでした。イランの艦船が、レバノンのヒズボラ向けの武器を、大量に積んでいるのではないかと、騒ぎ出したのです。こうしたイスラエルの過剰反応に対し、2月12日に政権掌握を発表したエジプトの軍評議会は、極めて冷静でした。

エジプト外務省は、17日に、イランの艦艇2艘がスエズ運河の通過申請を提出している事実を明らかにした上で、「通過を認めるか否かは、国防相が最終判断することになっている」と発表しました。そして翌日18日には、「エジプト政府は、イラン艦艇のスエズ運河通過を認める」と発表したのです。

エジプト新政権が、これまでに締結された国際条約を遵守する旨を宣言したからといって、従来のような米国の思い通りに動く、傀儡のような政府であり続けることは、国民との関係からして、もはやありえないのです。

イラン艦艇のスエズ運河の航行許可が、あっさりと認められたことは、エジプトの新政府が、もはやイランを脅威と受け止めていないことを示しています。この点で、米・イスラエルのイラン封じ込め戦術は、トルコの離反に続いて、ここでも破綻したのです。


                                続く





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最終更新日  2011.02.21 21:14:23
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