ザビ神父の証言

ザビ神父の証言

2011.02.28
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カテゴリ: 国際政治
チュニジアからエジプトへ…(31)

バーレーンに戻り、歴史を振り返りながら、今日の状況を見ることにします。

この国は、国土面積がアラビア半島で最小の島国です。しかし、ペルシャ湾の入口に近く、ペルシャ帝国の海上交通を担う要衝に位置していましたので、海のシルクロードの十字路にある、大事な拠点だったのです。

イスラム教の登場以前、ネストリウス派のキリスト教(中国では、景教と呼ばれています)徒が多かったことからも、この地を通っての東西交易が活発に行なわれていたことがわかります。

こうしたいきさつから、イスラム世界の拡大のなかで、この地の人々はペルシャ(イラン)やメソポタミア(イラク)南部の人々と共に、シーア派の信仰を持つに至りました。

やがて時移りて、バーレーン島は、喜望峰を経由してアラビア海からインド洋に至る航路を開発したポルトガルが、支配するに至りましたが、そのポルトガルの支配も80年程柄で衰え、再びイランの支配下に戻ります。

イランの支配が200年えお経過した18世紀末、アラビア半島のスンニー派の勢力が、カタールを経由してバーレーンに進出、軍勢を率いたハリファ家の当主が、力の衰えたイラン系の王朝を圧倒して、バーレーンの統治を始めました。

この王朝が今に続くバーレーンの王家です。こうしたいきさつで。バーレーンは人口の2割弱のスンニー派が支配層となり、国民の8割近くを占めるシーア派住民の大部分が貧困層を形成しているのです。

やがて第一次大戦後、イギリスの支配下に入り、1971年の独立後も、国内の治安維持に関しては、国王の私設顧問という形で、イギリス人が務めるなど、スンニー派の王位と権力を維持するために、多数派のシーア派を警戒する体制をとって来ました。



度重なるシーア派住民の反逆で、今世紀に入って、ようやく議会制が取り入れられましたが、二院制の議会の下院のみの選挙制で、国王の任命制をとる上院の権限が優越しますから、住民の声をある程度ながら反映する下院の声が、認められることはありません。

下院を通過しても、国王や王族さらには富裕層の気に入らない法案は、全て上院で否決されてしまうからです。

内閣は国王が指名した首相が組閣し、国王に対して責任を負う内閣です。首相以下ほとんどの閣僚を王族が占めますから、まさに明治憲法体制以上に、名ばかりの立憲君主制に過ぎません。それでも、議会すら存在しないサウジアラビアやクウェートなどに比べれば、マシとされているのです。

2003年の米軍らのイラク侵攻は、結果的に失敗に終わり、フセイン政権下で抑圧されていたシーア派が、イラクの政権を握るようになりました。そしてイラクのシーア派は、特にイラク南部に集中しています。ペルシア湾岸の2大国、フセイン時代には、深刻な対立関係にあったイランとイラクが、今やシーア派連合を形成して、バーレーンのシーア派を密かに支援する、こういう体制を、米国の介入が作ってしまったのです。

こうしたバーレーンでは、昨年10月に下院選挙が行なわれ、シーア派の政党ウェファク党が40議席中18議席を占め、他のシーア派系政党を合わせて過半数を握ったのですが、その主張は全て上院で潰され、シーア派系住民のみの失業率が15%を越える状況のなかで、何の成果も打ち出せずにいたのです。

そうしたところに起きたのが、チュニジアのジャスミン革命であり、アラブ世界に影響力の強いエジプトの革命だったのです。ここに、一握りのスンニー派に、200年以上にわたって牛耳られてきたシーア派住民の怨念が、堰を切って溢れ出したのです。

住民の決起に触発されたウェファク党の議員や、他のシーア派系議員は、「選挙で選ばれた議員の主張が認められない議会は、無効である。」と宣言して、議員を辞職し、デモの隊列に加わりました。
                                     続く








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最終更新日  2011.02.28 20:38:58
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