ザビ神父の証言

ザビ神父の証言

2011.10.14
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カテゴリ: 社会風俗
ナイチンゲールの世界 (11)

フローレンスは弱者を思いやる心を持っていました。それゆえ病人の看護を任せると、とても親身に甲斐甲斐しく世話をします。それゆえ、いつの頃からか、彼女の身内はみな具合が悪くなると、フローレンスに来てもらい、世話してもらいたいと望むようになっていました。

フローレンスが、看護婦が自分の天職かもしれないと思うようになったのは、こうした看護体験が背景になっていたのだと、思われます。

しかし、ここに大きな問題がありました。上流階級のトレードマークは内閣の一員として行政に関わるのでない限り、自由な時間がタップリとあることでした。それゆえたとえ無給だとしても、忙しくて自由な時間が持てない仕事をするなど、とんでもないことだったのです。まして女性であるフローレンスのすることではない。これが社交界の共通認識でした。

そして、より本質的で大きな問題がありました。それは当時の病院というものに共通した大問題でした。

皆さんも同じだと思いますが、大きな病気を患った時には、ホーム・ドクターの紹介などで大病院の診察を受け、そこでの治療を選択される方が多いですね。私もそうでした。

大病院は先端医療も可能な、最新の設備を誇り、腕の良い医師を揃え、病室も清潔で……と、全ての点で安心できる環境にある。こんな認識を現代の人々は持ちます。

しかし、19世紀の病院に現在のイメージを持ち込むと、大きな間違いを犯すことになります。フローレンスの若かった時代、ヴィクトリア前期のイギリスの病院は、いやイギリスだけでなくヨーロッパ中の病院は、現代の大病院とは似ても似つかぬシロモノだったのです。

まず、医師は自分の患者を病院に任せようなどと考えませんでした。当時の医師は往診治療をしていたのですが、病人は誰であろうと、自宅で家族の看護を受けながら養生をし、治療も受けるのが最も良いと考えていたのです。


                               続く





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最終更新日  2011.10.14 20:39:53
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