夢工房 『浩』~☆”

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100匹目の猿



 九州(宮崎県)の南の幸島では、1952年から野生ザルの餌付けが行なわれていました。そこにとても頭のいい8カ月の雌ザルがいました。餌のサツマイモを海水で洗って食べると、砂もとれて塩加減もよく、おいしく食べられることを発見したのです。その雌猿は後にイモコと名づけられました。


 さて、このイモコの新しい習慣を見た他の猿たちは、はじめのうちイモコが何をしているのか理解しようとはしませんでした。しかし、やがて無邪気な子猿や母親猿が関心を示し、このイモコのまねをしはじめたのです。徐々に仲間は増えて、やがて何十匹もの猿が、海でさつま芋を洗うようになっていきました。


 ある日のこと、このグループにさらに同調するサルが加わりました。すると、突然、大異変が起きました。この同じ日の午後までに、島の残りの猿のほとんどがサツマイモを洗って食べはじめたのです。

 話はそれだけにとどまりません。なんと時を同じくして遠く海を越えて、他の島々のサルや高崎山の群れの猿にも共通した習慣が広がっていました。


 この効果をわかりやすく見るために、イモコを中心としたさつま芋を洗えるサルの数を99匹と考えてみましょう。
異変の起きた日、もう一匹のサルが参入し100匹目になることで、ある臨界点を超える効果が生み出されたと見ることができないでしょうか。ちょうど99度を超え1度上がることで沸騰する水のような現象です。実は自然界には類似した現象が多く知られています。絶対零度の世界で起きる、超伝導、超流動現象やマイスナー効果などです。


 私たちの意識活動を支える脳や神経系も量子の世界でつながっています。部分部分の変化が全体に突然及ぶという現象は、私たちの物事のとらえ方にも、見えないところで影響しているはずなのです。
世界平和のもととなる、個々人の意識変革も同じです。

 全員が変わろうとしなくても、コアとなるグループやコミュニティが、ある臨界点まで広がっていけば、ある日に突然、世界がそのコアの人たちと同じように物事をとらえはじめるようになるのです。




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