こしゃくな読書

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バッテリー (角川文庫) [文庫] あさの あつこ (著)


あさの あつこ (著)
http://www.amazon.co.jp/dp/4043721013/ref=nosim/?tag=donzoko-22








 あさのあつこ氏は、名作の序章となるこの第一作を

「稚拙」だという。

いやはや、プロの作家の言う「稚拙」とは、

こんなにもレベルの高いものなのか。

ただ圧倒され、その「あとがきにかえて」を読んだ。




 作者は子どもを子ども扱いにしない、

素晴らしい母親なのではなかろうか。

私はついぞ、「息子」というものを持たなかったので、

男の子の母親だというだけで尊敬してしまう。


 女の子を授かった私でさえ、

子育てという宇宙旅行は、

それまでのすべての世界観を変えられる出来事だった。

しかし、女の子を育てるにあたっては、

自分の無知を補うことが出来るのだ。

昔、私も「女の子」だったことがあるからだ。

それが男の子となると

自分が女の子だった頃から、全く理解の範疇を超えていた。

どう取り締まったらいいのだ?

取扱説明書も身につけていないのに。




 それにしても、一気読みできる小説はいい。

後から何度でも読み足しが出来る。

首筋の左側から逃げた「やりきれなさ」を感じながら

右手で「爽快な手ごたえ」を捕まえる。

持ったボールは投げ返したくなる。




 そして、私はいつの間にか、清波(セイハ)になった。

泣きながらボールを探す。

そうだ、ぼくは、身体は弱いけど…ひっく

ピンチに強いんだ。

恵まれた体躯をもって才能のある兄ちゃんには

なにもかなわないけど、たったひとつ負けないものがある。

グシュン…僕は何度も死にかけた。

だから、ピンチなんて慣れっこなんだ。

負けることやかっこ悪いことを気にしたりしない。

そんなの、こわくないんだ!





 「そうだ!『我』がなくちゃだめなんだ!」

そう思って布団をはねた。

夢うつつの中で自分が言ったことにはじかれて

布団を飛び出した。



いつの間に寝たのか、夢の中でも読んでいたのか。



 朝から読み返して、つくづく思う。

ああ、反抗してくれてよかった、うちの娘たち。

そうだよ、「我」がなくちゃだめなんだ!

そして「我」だけじゃ野球はできないんだ!

野球だけじゃないね、きっと。


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