<昨日の続きです。>JR岩代駅まで電車で行き、そこから自転車で白浜を目指すこととする。昨年の2月14日に切目から岩代まで歩いた(「 切目から岩代へ
」)ので、今回はその先を自転車で走ってみようというもの。
まず、前回も立ち寄った岩代王子、「有間皇子結び松記念碑」、光照寺(門前に「有間皇子の歌碑」と「犬養万葉歌碑」がある。)に立ち寄りご挨拶をしてゆくことに。
(岩代王子)
「熊野に向かう参詣道は、岩代王子から千里浜に出ます。天仁2年(1109)、熊野に参詣した藤原宗忠は、10月21日に「岩代王子」に奉幣し、その約100年後の建仁元年(1201)、後鳥羽上皇の参詣に随行した藤原定家も、10月12日に「磐白王子」に参拝しています。上皇や女院の御幸の時に、この王子社と那智浜の宮では、拝殿の板を削って、供奉人の名前と参詣の回数を連署し、打ち付ける習わしがありました。この習わしの様子は、定家の日記のほか、藤原頼資の承元4年(1210)、建保5年(1217)の日記にも記されています。また、「新古今和歌集」には、この習わしを真似て、拝殿の長押に書き付けた
「いはしろの神はしるらんしるべせよ頼む憂き世の夢の行くすゑ」という歌が載せられています。時代は降りますが、応永34年(1427)、熊野に参詣した足利義満の側室・北野殿は、9月25日に岩代王子の前で海に潜っていた「海士」に絹布などを与えています。明治時代には王子神社となり、後に八幡神社(現、西岩代八幡神社)に合祀されましたが、旧地に社殿は再建されました。」(現地案内表示板より)
(有間皇子結び松記念碑)
磐白の 濱松が枝を 引き結び まさきくあらば またかへり見む
(有間皇子 巻2-141)
岩代の海岸に出ると遠く白浜の崎が望める。有間皇子は引き立てられてゆくかの地を望みながら、逃れられない死を覚悟しつつも、或いはと一縷の望みに賭けて、無事に帰って来てこの松を見ることができるようにと、祈る思いで枝を結んだのであろう。皇子は藤白坂で殺されているから、行きに結んだ岩代の松は無事に見ることが出来たことになるが、その後直ぐに殺されているのは皮肉なことである。この地まで帰って来た彼はどのような思いで自分の結んだ松の枝を眺めたのであろうか。

(光照寺)
この寺の門前左脇に上記の歌の歌碑と犬養万葉歌碑がある。
(犬養
万葉歌碑)
君が代も わが世も知るや 磐白の 岡の草根を いざ結びてな
(中皇命 巻1-10)
この歌の作者の中皇命については、斉明天皇、間人皇女、倭大后などの説があるが、間人皇女と見るのが自然だろう。
光照寺を後にしてJR線と国道42号線を目印としつつ、これとつかず離れずに旧道などを走って、南部(みなべ)を目指す。程なく登り道に入り、岩代峠を越えると一気に爽快な下りとなる。峠で一休みして、見上げると早くも山桜が咲いていた。目の前を南部方面から坂を登って来た自転車旅行と思しき青年が小生の来た道へと通り過ぎて行った。春の午後の日差しがやわらかい。

岩代峠から国道42号線の坂道を下り切り、南部 (みなべ) 川にかかる南部大橋を渡ると海辺の道となる。目の前にエメラルド・グリーンの南部湾 (みなべの浦) が開け、海面はキラキラと日に輝き、眩しい。少し冷たい風が火照った体に心地良い。

(南部川ーー 南部大橋から上流を望む。
)

(南部湾ーー 沖に見える小島は鹿島。
)
三名部の浦 潮な満ちそね 鹿島なる 釣する海人 (あま)
を 見て帰り来む
(巻9-1669)
(南部の海辺)
南部の海辺の道から鹿島を写真に撮っていたら、ウォーキングの女性と行き合った。枚方の香里園に住んでおられたが、ご主人が定年退職されたのを機に、7年前にご主人のご出身地であるこちらに移り住まれたとのこと。
「いい処ですね。」などと申し上げると、「何にも無い処で、移って来た当座は、うつ状態になりました。」などと明るい声で仰る。

(森の鼻から鹿島を望む。)
森の鼻から少し行った先の突堤で、今度はオートバイの男性と行き合う。話しかけると和歌山なまりの人懐っこい感じの方。白浜まで行くと言うと、あちらこちらの見どころを説明して下さって、気を付けてゆけと励まされる。

(白浜への道)
(白浜の道)
(白浜)
岬を廻って牟婁の湯に立ち寄ってという計画だったが、地図を見ると、JR白浜駅とは随分遠くなってしまうので、途中で引き返し、駅への道を取ることにする。

風莫 (かぜなし)
の 濱の白波 いたづらに ここに寄り来る 見る人無しに
(長意吉麻呂 巻9-1673)
さて、和歌山まで戻って、明日は和歌の浦にでも行ってみるか。夜は和歌山城を散策してみましたが、殆ど人影もなく、ライトアップされた天守閣が幻想的。

(和歌山城 夜景)
(夢かうつつか幻か)
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