西行歌碑のある広場から花山を周遊できる道が左右にあるが、右の方から登る。その登り口近くに安田章生氏の歌碑もあった。写真には撮らなかったが、帰宅して、書斎の書棚にあった「西行」という本の著者名を見てそれと気が付いた次第。
さすがに来るのが遅過ぎたと見えて、多くの桜はあらかた散ってしまっていて、踏む足元は花びらの敷き積もる道である。はらはらと花の舞い散る道を登って行く。
降りかかる 花な払ひそ 西行も 踏みにし道と 尋 ひ行くからは (偐家持)
白い桜や枝垂れ桜は未だ盛りと咲いてもあれば、散る桜、咲く桜楽しみつつの花山廻りである。
吉野のシロヤマザクラにクロヤマの人と掛けて小万知さん宛てに詠んだ戯れ歌があったように記憶するが思い出せない。
で、自由律俳句風に一句。
シロヤマザクラ 見るクロヤマの人 (筆蕪蕉)
桜を見上げつつ行く人の目線は上に。足元に散り敷く桜の花びらに交じってひっそりと咲いているすみれに気付く人は少ないようだ。
山桜 散れるもよしと 尋 ひ行ける 人は知らずも すみれ花咲く (偐家持)
そして、桜とツツジの競演。桜はサカエヲトメ、躑躅はニホヘヲトメでありますな。いづれアヤメかカキツバタよりもずっと古い(笑)。
物 思 はず 路 行くゆくも 青山を ふりさけ見れば つつじ花 香少女 桜花 盛少女 汝 をぞも 吾に寄すとふ 吾をぞも 汝 に寄すとふ 汝 はいかに 思 ふ 思へこそ 歳の 八年 を 切る髪の よちこを過ぐり たちばなの 末枝 を過ぐり この川の 下にも長く 汝 は心待て (柿本人麻呂歌集 万葉集巻13-3309)
花山の中程に似雲が庵を結んだ場所がある。須磨明石まで見えるかどうかは知らぬが、見晴らしはよい。青畝の句碑も建てられている。
いくたびの 春の思出 西行忌 (青畝)
花山の一番の高みまでやって来ました。この上は杉林、檜林となり、南北朝時代の弘川城の跡地の高みまで、延々の山道が続く。
途中まで登りましたが、道標に記された地図で見ると更に1時間以上かかりそうなので、また今度と断念し、引き返すことに。
杉林の道を行くと鶯の澄んだ声がしきりに。
杉の道 われのみ行くか 鴬の 木間 ゆ流れて 声のさびしき (偐家持)
再び本堂前に戻る。枝垂れ桜の老木が咲き匂っていました。写真を撮って居られた男性に、「風情のある桜ですね。」と話しかけると、「昔はもっと色鮮やかに咲いた。最近は弱って来たのか色に元気がない。」と仰っていました。
大河ドラマ「清盛」でも登場した百人一首の歌を文字って1首。
散りのこる 花も散る花 弘川に
枝垂れてけさは ものをこそおもへ (怠倦門院弘川)
(本歌) ながからむ 心もしらず 黒髪の
みだれてけさは ものをこそおもへ
(待賢門院堀河 小倉百人一首80、千載集恋3-801)
< 弘川寺銀輪散歩余録につづく >
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