< 承前 >
不破関資料館を出て、関守屋敷跡の辻に戻り、旧中山道の坂道を下る。下り切った処が藤古川である。下り切る手前に戸佐々神社というのがある。
この神社の辺りが不破関西城門のあった場所。古い石組みが僅かに残る。裏の竹藪の向こうは藤古川である。
戸佐々神社を出て、藤古川へ。
藤古川は伊吹山麓から流れ出し、不破関に沿って南西に流れ、名神高速の南側で黒血川が合流し大垣市上石津町牧田で牧田川に合流する木曽川水系の川である。
不破関の傍を流れることから「関の藤川」と呼ばれて古今集の歌などにも登場する。壬申の乱では、この川を挟んで両軍が戦った。この時、西岸の山中・藤下地区の住民は大友側につき、東岸の松尾地区の住民は大海人側についた。
ついでにと後ほど訪ねた笹尾山 (石田三成が陣を置いた山)
で出会った、隣の大垣市から来たという「歴女」の若い女性からお聞きしたお話でありますが、この両地区は今も仲が良くないらしく、祭も別々の日に行う、相手側地区に対しては、嫁にやらぬ、嫁はとらぬという関係だそうな。
古今集にある「関の藤川」の歌を掲載して置きます。
美濃の国 関の
藤河
たえずして
君につかへむ よろづ世までに (古今集巻20-1084)
左注に「これは、
元慶
の
御嘗
の、美濃の歌」とある。陽成天皇の大嘗祭に当り、美濃の国から捧げられた歌、ということである。
天皇即位の時に行う大嘗祭には、卜占によって、悠紀の国と主基の国が定められ、この二国が天皇を讃美する歌を捧げることになっていた。「藤河」には、文徳・清和・陽成と三代にわたって続く母方の藤原氏への賛美を潜ませているとみる見解もある。
またまた話が脱線。元に戻します。
両軍が衝突したという藤古川。飛鳥川、小生の地元で言えば恩智川程度の狭い川。対峙するには狭すぎる川だ。壬申の乱の頃にはもっと広い川であったのだろうか。
藤古川を渡ると直ぐに急な上り坂。坂の手前に左(南)に入る道があり、若宮八幡神社と刻された大きな石碑が建っている。これを行くと藤下の若宮八幡神社なのだが、先ずは坂道を上って直進である。苦しい坂道。紫式部なら「からき坂道」と言うのであろうが、偐は付いても家持、頑張るしかない(笑)。
幸いに坂を上り切る手前に遺跡があった。うまい口実が出来たとストップ。矢尻の池(井)である。壬申の乱の時に兵士が飲料水を求めて矢尻で掘った池だと伝えられる。その傍らにある地蔵堂が箭先地蔵堂。明治11年坂を開削した時に出土した地蔵と自害峯の傍らにあった地蔵堂の地蔵を此処に合祀したのだという。
上の写真で言えば地蔵堂の前でカーブして右へと上っているのが中山道。中山道の坂を上り切ると左手の丘が自害峯である。
最終決戦の瀬田川での戦いにも敗れた大友皇子は「山前」で自害した、というのであるが、山前については諸説ある。大津の長等とする説、大山崎の天王山麓とする説、河内の枚方や交野とする説などであるが、天王山辺りというのが有力説らしい。
で、大海人皇子配下の将、村国雄依が大友の首を刎ね、ここ関ヶ原の野上行宮の大海人の許に運んだという。首実検をして、大友が確実に死亡したということを確認した訳ですね。
用無しとなった首を大友側を支援したこの地の住民が貰い受け丘に葬った。しるしに3本の杉を植え、丘の名を自害峯と名付けたのだそうな。
三本杉の案内表示板の示す通りに行くと、道が工事中を示す柵で塞がれていて、上り口らしきものも見当たらない。引き返してみると反対側に山に入る通路らしきものがある。これかと上って行く。すると直ぐに道はなくなり杉の木立の下、一面のクマザサを踏みならしながらの探索となる。
程なく三本杉を発見するのだが、反対側から来てしまったらしく、正しいルートは先程の工事中を示す柵の向こう側にあったよう。またしても裏口から入って玄関から出て行くという空き巣的ルートになってしまった次第。
自害峯の南側に回ると川が流れている。黒血川である。元は山中川と呼ばれていたが、壬申の乱で流した兵士の夥しい血によって、水が黒ずんでしまった、それで黒血川と呼ばれるようになった、という川である。
花も紅葉もないこの季節の故か、その名による先入観の所為か、何やら陰鬱な雰囲気の川である。
中山道に戻り、更に西へと行く。
国道21号線に架かる横断橋の上で振り返ると自害峯の全景が見えた。
横断橋を渡ると山中地区に入る。石の道標にそう書いてある。
横断橋を渡り、上の写真の右下の階段を下って、角の民家の前から、またトレンクルで走り出す。ところが、階段を降り切った処で躓き、転倒しそうに。
倒れなかったが「あっ」と大きな声を出した。加えて、それがこの角の家のワンちゃんの小屋の直ぐ前であったからいけません。
ウトウトと昼寝していたワンちゃんをすっかり驚かせてしまった。激しく吠え立てられる。すると隣の家のワンちゃんも吠え立てる。すっかり「怪しい奴」になって、山中地区へと入って行きました(笑)。
ここで今日はおしまい、また明日です。( つづく
)
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