本日は本来なら、昨日の日記の続きで蝶麻呂君との銀輪散歩の道中記をアップしなくてはならないのですが、若草読書会の新年会がありましたので、そちらの方の記事を先にアップします。
午前11時半開始で智麻呂邸の若草ホールに集合。出席者は、智麻呂・恒郎女さんご夫妻、凡鬼・景郎女さんご夫妻、小万知さん、祥麻呂さん、和郎女さん、りち女さん、偐山頭火さんと小生偐家持の10名。謙麻呂さん、和麻呂さん、槇麻呂さん、香代女さんらの常連組は今回他用などの不都合があり欠席でありました。
新年はいつの頃よりか偐家持による万葉関連の講話ということが恒例となっていて、今年も1時間ばかり、万葉関連のお話。
今年は、山上憶良の志賀の白水郎の荒雄の歌を鑑賞することと致しました。山上憶良が筑前国守であった頃に家持の父大伴旅人が太宰府の帥(長官)として赴任して来ますので、物心ついたばかりの少年家持も山上憶良と面識を得た可能性が高いのではないかと思われます。家持は和歌の道を「山柿の門」と呼びました。柿は、柿本人麻呂。山は、山部赤人とも山上憶良とも言われますが、家持にとっては山部赤人よりも山上憶良の方が身近な存在、山上憶良説の方が自然なことで妥当かも知れません。
山上憶良さんのことは下記の参考をご参照戴くこととして、憶良さんが作ったとも、憶良さんが既に存在した民謡やその妻子が作った歌を採集したとも言われる、志賀荒雄の歌10首が今回のテーマでした。
小生の話は取るに足りないものであるので、此処では省略し、その歌だけご紹介して置きます。
<参考> 山上憶良
・Wikipedia
福岡県志賀島の漁師荒雄の許にやって来た宗像郡の津麻呂が、大宰府から対馬へ食糧などを運ぶ船の船頭をやれと命令されたのだが、自分はもう年老いて自信がない、代りに行って貰えないか、と言う。これを引き受けて出掛けて行った荒雄が遭難してしまう。それを嘆き悲しんだ妻子が詠んだ歌という形で10首は構成されている。
大君の
遣
荒雄
ら沖に袖振る (巻16-3860)
(大君が命じたわけでもないのに、自ら買って出て、出かけていった荒雄が、沖で袖をふっている。)
志賀
の山いたくな 伐 りそ荒雄らが 所縁 の山と見つつ偲はむ (同3862) 荒雄らが行きにし日より志賀の
海人
の
大浦
田沼
はさぶしくもあるか
(同3863)
(荒雄が行ってしまった日から、志賀の漁師(海人)の大浦田沼はさびしいことだよ。)
官
こそさしてもやらめさかしらに行きし荒雄ら波に袖振る (同3864)
(お役所の命令で行ったのならまだしも、自ら進んで行った荒雄が波間に袖を振っているよ。)
荒雄らは
妻子
の
産業
をば思はずろ年の
八歳
を待てど
来
まさず(同3865)
(荒雄は、妻子の暮らしのことを思わないのか。長い間待っているが帰っていらっしゃらない。)
沖つ鳥鴨とふ船の帰り
来
ば
也良
の
崎守
早く告げこそ (同3866)
(沖の鳥の鴨、その鴨という名の船が帰って来たなら、也良の崎の崎守はすぐに知らせておくれ。)
沖つ鳥鴨とふ船は
也良
の崎
廻
みて漕ぎ
来
と
聞
え
来
ぬかも (同3867)
(沖の鳥の鴨、その鴨という名の船が、也良の崎を廻って漕いで来る、という知らせが来ないものか。)
沖行くや赤ら
小船
に
裏
遣
らばけだし人見て解きあけ見むかも (同3868)
(沖を行く赤い小船に包みをことづけたら、もしやあの人が包みを開いて見はしないだろうか。)
大船に
小船
引き
副
へ
潜
くとも
志賀
の荒雄に
潜
きあはめやも (同3869)
(大船に小船を引き添えて、海に潜って捜しても、志賀の荒雄に海中で逢うことができようか、いやできはしない。)
新年会の恒例はこの他に、昼食後の歌会と和郎女さんがお持ち下さった干支の押し絵の抽選分配、というのがあるが、歌については「若草歌壇」として追って河内温泉大学図書館にて公開し、押し絵の方は、後日「和郎女作品展」として当ブログでご紹介申し上げますので、此処では省略です。
今回は、景郎女さんの折り紙による「馬」の制作の指導があり、女性陣は熱心に作って居られましたが男性陣は呑んで食ってだべるばかりで折り紙に挑戦する者はありませんでした。
勿論、ヤカモチもその内の一人にて、眺めているだけでありましたが、景郎女さんの作品を写真に撮らせて戴きましたので、ご紹介して置きます。
そして、小万知さんがご用意下さったようだが、ヤカモチの1296歳の誕生日祝いということで、皆さんから花を頂戴いたしました。
紫の花はハーデンベルギアという耳慣れぬ名前の花。白いのはクレマチス。この時期、新年会に接近して誕生日を迎えるヤカモチの利点・利得と言うべきか、有難く頂戴仕りました(笑)。心より感謝申し上げます。
小万知さんは「ヤカモチさんには『和の花』と思ったがこの時期そういうのが無くて」と仰っていましたが、きっと歌に詠みにくい名の花にしてヤカモチを困らせてやろうとの「やさしい思いやり」もあったのではないか、ということに気が付きました。1296歳のヤカモチも、この花の名を万葉調の歌に折り込むことは至難のワザにて、諦めました(笑)。
花の名に 困りにけりな いたづらか 歌も空振り ながめすぎたり
(小野のコマネチ)
(追記)
ネットで調べるとコマチフジという別名のあることが分かりました。小万知さんが選んで下さった花に相応しい名。これなら歌にもなりますかな。
こまちふじ みなもにうつす かげきよみ ふるやこのみの うちもすむなれ
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