白内障も病気と言えば病気なのだが、ヤカモチの「病気」の範疇には入っていないので、入院などという大袈裟なことになっているのが何とも奇妙な感覚にて、場違いのわれにしあるや・・など思いつつブログなどアップしてみむとて。さればとて、銀輪家持なれば銀輪なきは筆なきがごと、すべもなければ病棟の窓にし見ゆる生駒山などを・・。
通常は、入院にてあれば「病床に・・」となるのでしょうが、本人は病気とは思っていないのだから、病床というのはしっくり来ない。さりとて入院はしているのだから入院病棟にいることには違いない、ということで折り合いを付けたのが、上のタイトル「・・・病棟に」であります(笑)。
病棟に 見つつもをらむ 生駒山 何とてなすの こともなきわれ
(偐家持)
これは入院した2月5日に、病室から生駒山を撮影したもの。病室は東に面しているので常に生駒山とご対面である。
下は、翌6日の早朝の生駒山である。
生駒山の登場する万葉歌は6首ある。それぞれについてこれまでに何処かのページに掲載していると思うが、その全部をまとめての掲載はしていないかも知れないので、ここで掲載して置くこととします。
・・・露霜の 秋去り来れば 射駒 山 飛火 が 岳 に 萩の 枝 を しがらみ散らし さ雄鹿は 妻呼びとよむ 山見れば 山も見が欲し 里見れば 里も住みよし・・・(万葉集巻6-1047)
妹がりと 馬に鞍置きて
射駒
山 うち越え来れば もみち散りつつ
(同巻10-2201)
君があたり 見つつもをらむ 生駒山 雲なたなびき 雨はふるとも
(同巻12-3032)
夕されば ひぐらし来鳴く 生駒山
越えてぞ
吾
が来る 妹が目を欲り
(
秦間満
同巻15-3589)
妹にあはず あらば
術
なみ
石根
ふむ
生駒の山を 越えてぞ
吾
が来る (同巻15-3590)
難波津
を 漕ぎ
出
て見れば
神
さぶる
生駒高嶺
に 雲そたなびく
(
大田部三成
同巻20-4380)
万葉人にとって生駒山は、恋人を思う山であったり、越えてぞ妻や恋人に逢いに行く山であったり、遠く故郷を偲ぶ山であったりしたのだが、今の偐家持にとっては、朝夕に見つつもあらむ生駒山であり、見るほかに何とてもなき生駒山である(笑)。
春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎはの少しあかりてむらさきだちたる雲の細くたなびきたる・・でしたでしょうか。朝の生駒山の景も枕草子の景さながらに6日7日は明けて行ったのでありますが・・。
昨夜から雪が降り始め、翌朝には一面の銀世界と期待したのですが、起きての今朝の景色はご覧の通り、屋根にいささか白きもの降り積みたるのみにて、道路などは濡れているばかり。既に雨にと変わりたれば、更に積もることもこれなきかと・・。
な隠しそ 言ふに雪雲 烏滸なるや 今朝は隠しつ 生駒の山を
(隠家持)
など言っているうちに、山の稜線が次第にくっきりして来て、生駒山山頂部分のみが雲の中という状態にまでなっていますから、ようやく雲も反省し始めたと見える(笑)。
病院の庭にも出てみたれど、はだれの雪の消え残りたるが少しばかりあるのみ。白内障の手術も右目ばかりなれどひとまずは終りて、ものみなさやかに見えたれば、すももの花に見間違えることもなければ、白い山茶花が散ったのかなどと、とぼけたことを言ったりもしないのである。
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