< 承前 >
府道5号線を駆け下る。和束川沿いに走る快適な下り坂。やはり自転車は下りに限る。しかし、これは自らが汗して高みまで上った「貯金」を下ろしているに過ぎないのである。上った分しか下れない。
5号線は菜切橋の北西で国道163号にぶつかり、そこで終点。和束川はその菜切橋の200m位先で木津川に流れ込んでいる。
みかの原大橋で和束町とお別れ、木津川市(旧加茂町)に入る。
上の写真は途中の小さな橋の上から撮ったもの。再び走り出した時、右手の山側でバキバキと音がしてドスンと何かが飛び降りた感じ。通過して振り返ると真っ赤なお尻の猿が悠然と去って行き、写真を撮っていた橋を渡って対岸へ。多分彼は小生が橋を立ち去るのを待っていたのだろう。
菜切橋に到着。国道163号である。ここで右折して西に走るのが帰路コースであるが、菜切橋を撮って置こうと橋の方に回る。アングルとしては南側に回った方がいいかと、国道を渡って反対側に回ってみたが、いいアングルが見つからず、下のような写真で妥協。
菜切橋の先は直ぐに湾漂山トンネルである。その名が示すように、この山が湾漂山。26日の記事にて触れた万葉の「活道の岡」の候補地の一つがこの湾漂山である。王廟山とも呼ばれる。
で、見つけたのが「名水二ッ井」という古びた木製の案内標識。予定より早く走り下って来てしまったので、見て行くことに。
一つ目の井は菜切橋のたもと、国道下にある。入口に井の名を記載していたのであろう札木が朽ち果てて倒れている。書かれた文字は痕跡をとどめていないのでその名は不明である。奥の二つ目の井は札木には「柏ノ井」とあるから、「松柏」でこちらは「松ノ井」なのかも知れない。
二ッ井の西側 (上の写真の土塀の内側) に神社があった。石の鳥居には何とも書かれていないので神社の名も不明であるが、奥に設置された真新しい赤い祠には春日神社とあるから、春日神社であるのだろう。
しめ縄に吊り下げられているのは柏の葉と松の葉を束ねたもの。
いよいよ、先程の井の名も松・柏に違いないと勝手決めしているのでありました(笑)。
司馬遼太郎さんの著作か何かに書いてあったかと思うが、松柏の「柏」とは本来は「檜」のことである。
コノテガシワはヒノキ科の植物。万葉にも、
奈良山の児手柏の両面
(ふたおも)
に
左
(か)
にも右
(かく)
にも佞人
(ねじけびと)
の徒
(とも)
(消奈行文大夫 巻16-3836)
という歌で登場している。
ところで、「カシワ」は食器の意味である。ブナ科のカシワは、その葉を食器代わりに使ったことから、これを「カシワの木」と呼ぶようになった。ヒノキの葉も同様な使い方をしたから、コノテガシワというような名も付いたと思われる。で、檜も亦「カシワの木」であった。要するに「カシワの木」というのはその葉を食器代りに使う木の総称で木の品種名ではなかった。
そんな処へ「柏」の漢字が入って来た。柏は檜であるから当初は「檜」に対して使われた。「檜」は「カシワの木」であるから「柏」は「カシワ」と訓じた。その結果、ブナ科の「カシワの木」にも「柏」という漢字が使われるようになった。やがて、「柏」と言えばブナ科のそれを指すことが主流となり、檜を指すことは無くなり、ブナ科の植物カシワの品種名になった。これが「柏=カシワ」となった経緯ではないかと推量する。
結果的に意味の取り違えが生じた訳であるが、こういうのは「使い方に瑕疵は
(カシワ)
ない」と言うべきでしょうか(笑)。かくて柏餅が檜餅にならずに済んだと言う訳である。
鳥居脇の茅葺の小さな小屋がいい雰囲気である。方丈の庵とか芭蕉さんの幻住庵などが連想される。
さて、未だ時間が早い。海住山寺に立ち寄って行くこととする。
途中で畑焼きをされている方が居られた。立ち昇る煙がいい雰囲気なのでカメラを向ける。
海住山寺へは狭い坂道を上って行かねばならない。山域に入った処から勾配が急峻となり、とても漕いでは上れなくなる。前屈みに楼門前まで押して上がる。
海住山寺訪問も久しぶりである。10年以上も前に、恭仁京趾・加茂神社の方からの裏道伝いにやって来たのが最後で、それ以来の訪問である。
海住山寺については、下記<参考>をご参照下さい。
<参考> 海住山寺公式ホームページ
海住山寺
・Wikipedia
楼門前から再びトレンクルに乗って駐車場へ。駐車場前の紅葉が美しい。駐輪してお堂の方へ。入山料100円。仏像拝観は別途料金であるが、これはパス。紅葉を見に来たのであるから。
五重塔前の紅葉が特に素晴らしい。
お堂の裏の高みにかけても紅葉が美しいので行ってみたが、これは次回記事とさせて戴きます。( つづく )
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