本日は、銀輪散歩で見掛けた花たちです。
先ずはイタチハギ。
イタチハギというのを知ったのは一昨年のこと。小万知さんからその名を教えていただきました。その時は実の状態で、アブラムシがたかっているみたいで気味が悪いなどと評していましたが、この日は花の状態。何やら存在感を感じさせるイタチ、いえ、ハナたち、であります。
(参考) 銀輪花散歩
2014.7.3.
(同上)<参考> イタチハギ・Wikipedia
万葉集に最多で詠われている花は萩であるが、さすがにイタチハギは登場しない。それもその筈、北米原産の外来種で、1912年に韓国から初めて導入された植物とのこと。現在は各地に野生化し、地域によっては、在来種の生育を阻害したり、景観を損ねたりの問題も発生させているらしい。
万葉歌人、笠金村は志貴皇子の葬送に際して、
高円の 野辺の秋萩 いたづらに 咲きか散るらむ 見る人なしに
(万葉集巻2-231)
と詠いましたが、イタチハギではそうも参らず、
道の辺の 萩にもあらず 鼬萩 咲きかはびこる 詠む人なしに (偐家持)
といった感じでしょうか。
一方、ヨメナは万葉植物である。野菊の代表である。その名が示すように、女性が摘むものというイメージがあったのでしょうが、それは花を鑑賞するために「摘む」のではなく、食用として「摘む」のである。春先に若菜を摘んで食べるのである。嫁が摘む「菜」だから「嫁菜」という訳である。もっとも、万葉では「うはぎ」という名で呼ばれている。平安時代には「おはぎ」と呼ばれたらしいと書いている本もある。
春日野に
煙
立つ見ゆ
少女
らし 春野のうはぎ
採
みて煮らしも
(万葉集巻 10-1879
)
このウラジロチチコグサは、先般、友人偐山頭火氏から頼まれて、ブロ友のひろみちゃん氏にお届けするものがあり、同姉宅を訪問した際、同姉宅の前の公園に咲いていたもの。その名が示すように葉の裏側が白いのである。
(同上)<参考> ウラジロチチコグサ(裏白父子草
)
チチコグサという名は、ハハコグサという名に関連して後付けで生まれた名でしょう。母子関係は自ずからに生じるもので、生物的関係・自然的関係であるのに対して父子関係は後発的関係・社会的関係であるから、ハハコグサよりも前にチチコグサという名があっては理屈に合わないことになる(笑)。
ということで、ハハコグサも掲載して置かなくては平仄を欠くというものである。
(ハハコグサ)<参考> ハハコグサ・Wikipedia
(キュウリグサ)<参考> キュウリグサ
次はキュウリグサ。胡瓜のような匂いがするのがその名の由来らしいが、ヤカモチの鈍感な嗅覚では、胡瓜の匂いがしているという感じでもありませなんだ。
次のヤブコウジは万葉集にも登場する植物。山橘がそれ。
この雪の
消
残る時に いざ行かな 山橘の 実の照るも見む
(大伴家持 万葉集巻 19-4226
)
消残
りの 雪にあへ照る あしひきの 山橘を つとに摘み
来
な
(大伴家持 万葉集巻 20-4471
)
(注)つと=土産、みやげ。
大伴家持さんが詠った赤い実は、もう地に落ちてしまったようで見当たりませんでした。
実のなくて 山橘は いたづらに 葉のみぞ照りて 夏は来向かふ (偐家持)
(同上)<参考> ヤブコウジ・Wikipedia
最後は、セイヨウイワナンテン(西洋岩南天)。
花はよく見ると可愛いのであるが、葉の裏に隠れて余り目立たない。
(同上)<参考> セイヨウイワナンテン
それでも、このようにたわわに咲いているのもあって、小生の目にもとまったのでありました。何の花かと近付いて撮影したのでありますが、咲き過ぎというのもいささか見苦しい(笑)。花は二つ三つはかなげなるがよし、群れひしめき咲きたるは浅ましく異様のものなり、と兼好さんなら言いそうです。
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