偐万葉田舎家持歌集

偐万葉田舎家持歌集

2022.08.11
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カテゴリ: 銀輪万葉
承前 ​)
​​  真田庵こと善名称院の境内にまだ居ます。
 境内に真田昌幸の墓がある。
 元々が真田昌幸の屋敷跡であったのだから、昌幸の墓があっても不思議ではない。
 <参考>​ 真田昌幸 ​・Wikipedia
 上のWikipediaの記述によると、昌幸は慶長16年(1611年)6月4日にここ九度山で病死し、火葬されている。翌慶長17年(1612年)8月に分骨が上田に運ばれ、上田市の真田家廟所である真田山長谷寺に納骨されたという。また、長野市松代町松代の真田山長国寺に墓所があるという。長野市の松代なら、今年6月29日の長野銀輪散歩で松代大橋を渡っているから、比較的近くを走ったばかりということになる。そうと知っていれば足を延ばしたものを、と思ったりもしたのでありました。
 しかし、元の墓所は此処であるのだろう。真田庵こと善名称院は昌幸の死から130年後の創建であるから、善名称院の境内に昌幸の墓があるというのは間違いで、昌幸の墓所の周りが善名称院という寺になったと言うのが正しいのだろう。
​​
(真田昌幸公墓)

(真田昌幸墓地の説明碑)
​ 墓の隣は、彼を祀る祠になっている。

(真田地主大権現社)

(同上・説明碑)
 碑文は次の通り。
真田地主大権現
 幸運の神地主権現として敬い奉る社であります。
 是は真田家重大の宝物である比沙門天と真田家三代の御霊を合祀したものであります。昔から福徳を授け給う運の神として遠近を問はず多数の信者が訪れ何事によらず一心に祈願すると霊験あらたかであると伝えられております。
 真田昌幸を「真田地主大権現」として祀っているのかと思ったが、「真田家三代の御霊を合祀」とあるから、祀られているのは昌幸だけではないのだ。三代というのは、昌幸、幸村、そして幸村の嫡男・幸昌(通称:大助)なんだろう。
​​​​​ ​​​​​​ 隣には「真田家臣一族之墓」と刻された供養塔がある。

(真田家臣一族之墓)
 境内には蕪村の句碑が2基ありました。

(蕪村句碑その1)
かくれ住んで花に真田が謡かな (蕪村)
 句碑の隣には真田幸村(信繁)とその嫡男大助(幸昌)の父子四百回忌碑がある。

(蕪村句碑その2)
炬燵して語れ真田が冬の陣 (蕪村)
 ヤカモチの追和句。
汗ぬぐひ思へ真田が夏の陣(筆蕪蕉)

(西門)
 真田庵は、NHK大河ドラマ「真田丸」放映の頃は随分の人で賑わったようだが、この日は「我のほか
客は たれとても ​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​ なかりき」でありました。
 真田庵を出て、更に坂を上る。やがて下りに入り、丹生橋でもう一度丹生川を渡る。「←慈尊院」の看板に従い道を進む。
 実は、丹生橋を渡らず道なりに先へ進めば、当初予定していた九度山橋であったのだが、この時はそのことに気づいていませんでした。
 道の要所に慈尊院までの距離を示した表示板があるので、それに導かれての慈尊院参りであります。
 やがて小さな水路に架かる朱塗りの橋に出る。慈尊院橋とあるから、橋を渡ると慈尊院なんだろう。

(慈尊院山門<北門>)<参考>​ 慈尊院 ​・Wikipedia
 山門前の道路脇に自転車を駐輪して境内へ。
 山門を入ってすぐ右側にあるのが弘法大師堂。

(同上・弘法大師堂 左奥は西門)
 正面右寄りに多宝塔。

(同上・多宝塔 正面奥は丹生官省符神社への石段)

(同上・多宝塔説明碑)
 左に入ると弥勒堂(本堂)と拝堂

(同上・拝堂、本堂側から)

(弥勒堂と乳房型の絵馬群)
 拝堂と弥勒堂の間は接近していて狭い通路。
 そこに乳房型の絵馬が沢山吊り下げられている。
 弥勒堂を撮るアングルが見つからない。
 慈尊院は高野山の表玄関・政所(寺務所)として創建された寺院。
 母が亡くなったとき空海は弥勒仏の夢を見たので、その廟堂を建立し、自作の弥勒仏像と母の霊を祀ったのが、この弥勒堂である。
弥勒仏のことを慈氏、慈尊とも呼ぶことから慈尊院と呼ばれるようになった。
 空海の母は弥勒仏を熱心に信仰していたので彼女は死して本尊(弥勒仏)に化身したという信仰が広まり、女人の高野参りは慈尊院ということになり、女人高野ということになったらしいが、乳房型絵馬はいかにも女人高野のそれである。

(同上・乳房型絵馬)
 そこそこの参拝者があり、弥勒堂と拝堂の間の狭い通路は参拝者で混み合い、歩きにくい。これを通り抜けると、広い空間に出た。

(同上・ユネスコ世界遺産慈尊院の碑<平山郁夫書>)
 中央に噴水があって、奥片隅に弘法大師の像。

(同上・噴水)

(同上・弘法大師像)

(同上・拝堂)
 拝堂の正面に回って、丹生官省符神社へ。
 拝堂の前に人影はなし。
 本来はここから参拝するのが礼儀だと思うが、本堂(弥勒堂)と
拝堂の後ろとの通路が参拝の場所になっているのでは、こちらに回って来る人はいないのかも。

(丹生官省符神社・参道石段)
 何段あったか数えなかったが、この石段、結構疲れました。
 徒歩で高野山に参るなら、ここが登山口ということになる。

(同上・鳥居)

(同上・拝殿)
 こちらは、他に人影もなし、である。
 拝殿左側には、空海を高野山へと案内した、白犬、黒犬を描いた絵馬が設置されている。
 ヤカモチは女人ではないが、高野詣は此処、女人高野までとして置きます。

(同上・拝殿内と本殿 拝殿扉越しに撮影)

(同上・説明板)<参考>​ 丹生官省符神社 ​・Wikipedia
 慈尊院に戻り、山門前道路にとめて置いた自転車に乗る。
 山門を背に道路を直進すると川に出た。
 紀ノ川なんだろうが、紀ノ川のどの辺りに居るのかが分からない。
 上流に向かうと、道の駅があったので、そこで少し遅めの昼食。

(道の駅・柿の郷くどやま)
 昼食を済ませて銀輪散歩再開である。
 少し走ると、先ほど渡った丹生橋に出た。
 これを渡って左にに行けば紀ノ川に架かる九度山橋に出るのだが、丹生川に出たものだから、今まで紀ノ川だと思っていた川が丹生川だと思ってしまった。丹生川は丹生橋の左側で紀ノ川に注いでいるのだから、紀ノ川だと思ったのは正しかったのであるが、紀ノ川から随分離れてしまったのだと思い込んでしまった次第。
 ということで、来た道を帰れば迷うこともあるまいと、丹生橋を渡って右に道をとる。県道13号である。
 しばらく上りが続く。往路の下りは上りであり、上りは下りとなる。
 またしても上り下りの激しい道を走ることになった次第。
 県道13号で丹生川を二回渡ったことは先に述べたが、その橋が一つは永代橋という橋であり、九度山交差点近くの方の橋が真田橋という名前であることを復路にて知る。
 九度山交差点からは国道370号であり、これも急坂の上りと下り、結構ハードである。
 学文路交差点まで戻って来たところで、前方に橋が見える。
 岸上橋である。
 九度山橋の一つ上流側の橋である。

(岸上橋南詰)
 岸上橋を渡ったところで、何処か喫茶店があれば、入って休憩したい、身体を冷房で冷やしたい、という気分になり、紀ノ川右岸の道に入らず、直進するが、喫茶店は見当たらない。
 パチンコ店の看板が見える。パチンコ店の近くには喫茶店があるかもしれないと、右折して脇道をパチンコ店の方に入るが、やはり喫茶店はない。
 雨がパラつき始める。ゴロゴロと鳴っていた雷鳴が、突然ドカーンと大きな爆裂音を轟かせた。
 それで急遽、パチンコ店に避難することとする。
 パチンコをする気はないので、店内のベンチに坐って、店内の自販機で買った冷たい飲み物を飲みながら、遊戯を楽しんでいる人たちを離れた場所から眺めているだけ。
 雷鳴も収まったようなので、パチンコ店を出る。20分くらいは店に居ただろうか。パチンコをする訳でもないので、何となく落ち着かず、長居は出来ないのでありました。
 岸上橋北詰に戻り、紀ノ川沿いの堤防道を走る。
 ところが、走り出すと同時に大粒の雨。
 堤防道では雨宿りする場所がない。背中のザックには一応雨具を入れてはいるが、以前と違って最近は、雨具を着てまで雨の中を走るということはなるべくしたくない、という心境。
 すると、河川敷のパークゴルフ場にテントが張られている場所のあるのが目に入った。緊急避難。河川敷に走り下り、そのテントに駆け込む。
 テントに駆け込んですぐに凄い雨となる。雷も鳴り出す。
 テントは3張り連結となっていて結構広く、ベンチも設置されているので、雨宿りとしては申し分なしである。ただ、落雷があるといささか心もとないが、先ほどのドカーンというような鳴り方ではないから、落雷の心配はないだろうとタカを括ることとする。
 パークゴルフ場では、男性1人、女性2人の3人組が遠く離れた場所でプレーをして居られたが、さすがにこの雨ではプレーは無理。奥の方にあるもう一つの小さなテントに避難、雨宿りされている。
 40分くらい雨宿りを余儀なくされました。

(神野々緑地・パークゴルフ場のテントで雨宿り)
 上は、南東方向の山々。

(同上)
 上は南方向の山々。
 しばらくは、上の写真のように山も雨に煙っていましたが、やがて南から青空が戻り、山々に日が射し始めました。
 テントにも日が照り始めたが、雨はその後もしばらく続いたので、様子見はなおも続く。
 ようやく小降りになったので、テントを出て道路に戻る。出発。
 道路に上がった頃には、テントに避難していた3人組もプレーを開始していました。
 堤防道から眺めていると、最初に打った女性のボールはホールの30cmくらいの至近距離にピタッと止まりました。
 「ナイス・タッチ」と道路の上からヤカモチの声援。笑って居られました。次の男性は3mほどオーバー。3番目の女性は2m余ショート。
 これには、ノーコメント。第二打目は見ずに先へと走ります。
 最後の目的地は、橋本中央中学校です。
 ここにある、犬養万葉歌碑が目的。

(橋本中央中学校の犬養万葉歌碑)
山跡庭 聞往歟 大我野之 竹葉苅敷 廬為有跡者 孝書

​大和​ ( やまと ) には 聞こえも ( ) くか  大我野 ( おほがの ) の  竹葉 ( たかは ) 刈り ( ) き  ( いほり ) ​りせりとは
                               (万葉集巻 9-1677 )​

<大和には風の便りに聞こえて行ってくれないものか。大我野の竹の葉を刈り敷いて仮寝をしていると。>

​​
(同上・副碑) ​​​
 副碑の全文は下記の通り。
橋本市東家しんし会創立二十五周年の記念事業として万葉歌碑の揮毫を大阪大学名誉教授、甲南女子大学名誉教授、文化功労者、文学博士 犬養孝先生に委嘱し郷土のためにこれを建つ
平成四年三月十五日 しんし会
 まあ、先ほどの神野々緑地のテントでの雨宿りの気分もこの歌のそれに近いかもしれない。
河内には 聞こえも行くか 神野々の 緑地のテントに 雨宿りすと (偐家持)
 この後、途中の大森神社の木陰で小休止するなどして、橋本駅前到着。
 近くのコンビニから自転車を宅配便で自宅に送り返し、橋本銀輪散歩終了であります。(完)
<参考>銀輪万葉・和歌山県、三重県篇は​ コチラ ​。
​​​
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最終更新日  2022.08.12 11:00:16
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