“やおっち”的電脳広場

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第二部第14話



彼女たちとホテルでの食事の後、彼は放心したとも、頭が混乱したとも分からない状態のまま、まっすぐ家に帰り着きました。

バレンタインデー、しかも久々の再会、それに過去のパターンから言えば当然、二人で会うと思ってたのに、今日のはいったい何だったんだ、という心理が彼の中にありました。

それは想定外、というよりむしろ、あ然とさせられる出来事でした。

しかも、他人の目の前ではっきり「友達」「いい人」とまで言われてしまうとは・・・、しかも話題について行けない、考えれば考えるほど、彼の思考回路は深みに入っていきました。

そして、

「俺ってしょせん、その程度の男でしかないんだな。彼女から見れば」

と言う結論にたどり着きそうになりました。

だけど、彼は完全にその結論に達しようとしませんでした。
やっぱり彼女への思いがまだ残っていたからです。だから、それはむしろ達しようとしなかった、というより達したくなかったのかもしれません。

そうこう思い悩んでいるうちに、彼女からメールが。

彼女「今日は久しぶりに会えて嬉しかったよ。また会おうね」

彼は反射的にメールしました。なるべく彼女を気遣って。

彼「いえいえ、こちらこそ。でも人呼ぶなら事前にメールでもして欲しかったよ。心の準備ができてなかったからビックリしたよ。でも、どうして呼ぼうと思ったの?」

彼女からの返信は素早かったです。

彼女「そっか・・・あまり嬉しくなかったんだね(涙)あなたなら喜んでくれると思ったからなんだけど、イヤならもう止めるね。」

そのメールは彼を納得させるものではなかったので、もう一度、返信しました。

彼「イヤとかそういうんじゃなくて、どうしてまた?と思ったの。ホント、今日はビックリしたから・・・。」

しばらく時間をおいて、彼女からメールが来ました。

彼女「二人を呼んだ理由は、今までいつも二人で会ってたし、これからはもっと二人の共通の友達を作って大勢で遊びたいな~、って思ったの。私、二人で会うよりも大勢で遊ぶのが好きなんだ。だからもうあの人たちと次は4人でどこか遊びに行こう、って話しちゃった。それにあなたはいい人だから許してくれるかな~って思ったし、それに彼氏と彼女じゃないから。それよりもあの二人、どう思った?なかなかいい感じじゃない?あの二人が付き合えばいいカップルになるのにって私いつも思ってるんだけど、どう思う?」

このメールを見た瞬間、彼の中で何かが音を立てて崩れていくのを感じました。

「彼女にとって自分は結局、ただのいい友達であって、恋愛対象じゃない。彼女は、他人の恋愛には関心はある一方、自分の恋愛は関心を持ちたくないし、持たれたくない。だから、彼女は、自分(彼)にはある程度の範囲までは関わっていいけど、それより心の内側に入るような事にはカベを作り、彼女自身はその壁の向こうから他人の恋愛を見物し、自分に恋愛感情を持つような人間には入ってきて欲しくないんだ。」

彼は、そう思いました。そして

「これ以上彼女に関わるのは避けた方がいいのかもしれない。」

そうも思うようになりました。そして彼はそれを確かめるため、こんなメールを送りました。

彼「僕は、その二人の恋愛より、あなたの恋愛の方が大事だよ。」

彼女からの返信はありませんでした。

そしてその日を境に、彼女からのメールの来る頻度が極端に少なくなりました。

彼女からはメールが来なくなり、来るとしても彼がメールを送った返信だけ。それも確実に来るかは不明なほどです。彼女の方から積極的にメールが来ることはその日を境になくなってしまいました。

そしてそして、それからしばらくしたある日、ついに二人の間を決定的にする出来事が起こりました。

二人は恋愛のゴールにたどり着けるのでしょうか?(続く)

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