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2008.03.05
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テーマ: いい言葉(573)
カテゴリ: 文学・芸術
▼エドガー・ポーの墓2(マラルメ40)


第一節
ついに永遠が彼を「彼自身」に変えるかのように
その「詩人」は抜き身の剣をかざして呼び覚ます
あの奇妙な声の中では死が勝利していたことを
知らなかったことにおののく彼の世紀を!

「抜き身の剣」はマラルメの好きなフレーズのようで、「不運」にもでてきましたね。挫折した詩人たちの前に「立ちはだかる金剛力の天使」が(手に持つのが)「抜き身の剣」でした。金剛力の天使は詩の女神でもあるのでしょうから、今や詩聖となったポーが大衆の前に立ちはだかる姿が浮かびます。「彼の世紀」とは、ポーのことを評価しなかった時代のことを言っているのでしょう。ポーの作品は生前、それほど売れることもなく、生涯ポーは極貧の生活を送らざるをえなかったんですね。

「奇妙な声」は詩人の言葉のことでしょうが、ポーの作品をグロテスクで変な作品としか理解しなかった大衆に対する皮肉が込められていると思います。「死が勝利していた」の「死」とは、ポー自身のこと、あるいは死して認められるようになった彼の作品のことを指していますね。大衆と「世紀=時代」はポーの死後、ようやくその作品の価値に気づき、自分たちの無知さ加減に恥じ入るわけです。

第二節

部族の言葉にさらに純粋な意味を与えるのを聞いて
何か黒々とした混合酒の誉れなき波に酔った
呪いの戯言であると高らかに宣言した。

「彼ら」とは、第一節で示唆された無知な大衆のこと。天使とは、抜き身の剣をかざした金剛力であるポーのことですね。「部族の言葉」はアメリカ人の言葉、すなわち英語のことです。マラルメは、ポーの詩が英語に「純粋な意味」(詩の真実)を与えたのだと高く評価しています。しかし、無知な大衆はポーの言葉を理解しません。ヒドラ(ギリシャ神話に出てくる、ヘラクレスに殺された7つの頭を持つという蛇に似た怪物)が天使の言葉を理解せずにただ驚いて飛び上がるように、ポーの言葉に驚きます。そして、酒に溺れた詩人の「呪いの戯言」に過ぎないと断定しました。

実際、ポーは飲酒癖がひどく、特に妻のヴァージニアが結核で亡くなってからは乱酔、泥酔の日々が続きました。確かに傍から見れば、恥も外聞もなく飲んだくれる(「混合酒の誉れなき波に酔った」)ポーの惨めな姿を見れば、酔っ払いの戯言にしか聞こえなかったかもしれません。「何か黒々とした混合酒」は、ポーが貧乏のために、メチルアルコールを混ぜた得体の知れない安い酒しか飲めなかったことを言っているんでしょうね。

第三節
敵意をむき出しにする大地と雲の、おお、諍いよ!
もしも我らの想念が共に、まばゆいばかりの
ポーの墓を飾る浅浮彫を刻まないというのならば

一行目の形容詞「hostiles」(敵の)は複数形になっていますから、大地(sol)と雲(nue)のそれぞれを形容し、天と地が敵対していることがわかります。天はポーの詩の世界、地はポーの詩を理解しない大衆の世界でしょうか。その天と地の狭間で「我らの想念」がポーの墓を飾ろう(記念碑を造ろう)としているのだと、マラルメは意義付けているようです。

第四節

少なくともこの御影石が、未来に散乱する冒涜の
黒い飛翔の中に、彼の道標を永遠に示さんことを。

一行目は墓石のことを詩的に表現していますね。突然のポーの死によって登場した墓石は、まるで晴天の霹靂か、隕石であるかのように描かれています。天と地の摩擦の象徴のようでもあります。「未来に散乱する冒涜」とは、今後も続くであろう、作品の価値を理解できない無知な大衆によるポーに対する非難(詩人を冒涜する言葉)のことでしょうか。

「borne」には「道標」という意味のほかに「境界」「限界」という意味があります。豪華な彫刻は施せないにしても、このポーの記念碑がせめて、ポーに対する罵詈雑言に終止符を打ち(批判の声を黙らせ)、彼の業績を永遠に称える石碑であってほしいと、マラルメは主張しているようです。

そのポーの墓の写真は こちら
「黒猫(The Black Cat)」とポーの墓の写真は こちら 。いい雰囲気です。

能登半島で見つけた、天と地の間にそびえる道標。

道標
(続く)





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最終更新日  2008.03.05 12:42:21
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