HANNAのファンタジー気分

HANNAのファンタジー気分

April 13, 2006
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カテゴリ: 気になる絵本
「バムケロ」シリーズの中で私の一番のお気に入りです。他の3冊がバムとケロの家やその周辺のできごとなのに対し、『そらのたび』は組み立て飛行機に乗っておじいちゃんちを目ざす、冒険ファンタジーなのです。

  げつようびのあさ…パンケーキを たべていたら
  やまのような こづつみが とどいた
  おくってくれたのは おじいちゃん
               ――島田ゆか 『バムとケロのそらのたび』

 大小さまざまな形の小包みは、飛行機の組み立て部品でした。二人は、土曜日までかかって組み立てます。
 絵がとても凝っていて、初めの方のページと、組み立てる場面のページを比べると、どの形の小包みに何が入っていたかわかります。たとえば、三つでっぱりのある箱に入っていたのはプロペラ。三角柱の形の箱に入っていたのは、飛行機のタイヤのストッパー。最後尾の配達人が人差し指の先っちょにのせていた小さな箱は、ただのビックリ箱でした。
 組み立てて、ペンキを塗って、こんなふうに飛行機が作れるなんてうそみたーい、と思っていましたが、CRALAさんみたいな模型の達人だったら、きっとできちゃうんでしょうね! 自分で作った飛行機に乗って、おじいちゃんの手紙を手がかりに、いざ冒険旅行へ出発。

  すべりだいも すなばも しばらく バイバイ     ――『バムとケロのそらのたび』



 それからは、一つ一つ難所を越えていきます。涙の出るたまねぎさんみゃく、むしだらけのりんごやまのほらあな、ふんかするかぼちゃかざん、そして、二人の飛行機は海に至ります。
 冒険旅行も後半のヤマ場になって、旅人たちは海を見る…そんな一つのパターンがあるような気がします。ぱあっと開ける海を前に、ついにここまでやって来たか…と感慨を深めるのでしょう。

 うみではおおうみへびが出て、いよいよ最後の難所、きゅうけつこうもりのトンネル。ケチャップをまいて切り抜ける! なんてすてきな方法でしょう。
 そして、海辺のすてきなおじいちゃんちへ到着。お祝いとご馳走のあと、『ふしぎなひこうきじいさん』の本を読んでもらおうとしたところで…またもや眠ってしまう二人。最後のシーンは『にちようび』とだぶっていて、すごくおさまりがつく感じ。

 こんな冒険旅行の本筋を追うほかにも、島田ゆかの絵には注目すべきところがいっぱい。たとえば…
・表紙絵の二人の荷物。どれに何が入っているか、わかりますか? かぼちゃ火山でケロちゃんがさしていた傘もあります。おじいちゃんへのプレゼントは青いチェックの包み紙。お弁当のホットドッグが入っているランチボックスもあります。
・飛行機の組み立て中をのぞきに来て、ケロちゃんに背中に何やら描いてもらったモグラ。彼が自分で組み立てた赤い飛行機でバムたちの後からおじいちゃんちにやって来たのを知っていますか?
・りんごやまのトンネル内の虫に、数字の1から9までの形のものをさがそう!
…などなど。
 こんな楽しみは、以前ご紹介した 『ミッケ!』 シリーズ とも共通する、1ぺージ1ページをすみずみまで眺めるという、たっぷり時間をかけたぜいたくな絵本の楽しみだと思います。






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Last updated  January 27, 2013 09:47:50 PM
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