文春新書『英語学習の極意』著者サイト

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美術館・画廊メモ 5

平成22年9月14日~11月11日の美術日誌。美との出会いを日付の新しい順に記録してあります。 (画廊展は2~3件に1件の割合で、これはというもののみ記録しました。)
各項冒頭の6桁の数字は日付です
(例: 220108 = 平成22年1月8日) 。 展覧会名にリンクが張ってあるものは、ぼくのブログ本篇の関連記事へ飛びます。
このひとつ前の 平成22年7月9日~9月13日の美術日誌 は、 美術館・画廊メモ 4 にあります。 平成22年11月11日からの美術日誌 は、、 美術館・画廊メモ 6 にあります。


221111  江口舞悠 (まゆ) 展 @ 銀座フォレスト  (銀座一丁目)
(透明水彩で黄昏色に黄緑を配した背景に、謄写版のような味の蝋画でヴィーナスやキューピッドを描く。背景は絶品だが…。)

221111  本田真見 (まみ) 展 @ 銀座フォレスト・ミニ  (銀座一丁目)
(Johnny Shitamatsuge というかわいいキャラをひっさげての個展。キャラが育つといいね。2枚の絵の真ん中に蝶番をつけて閉じ、鍵がかかるようにした作品も、企画力がおもしろい。)

221110  しばたまどか個展 『色 ハニ マド科 散 ルヲ 』 @ Oギャラリー  (銀座一丁目)
(気に入ったのは「赤いグラス」。鏡の反射や遠近の強調が盛り込まれたカラフルな饗宴。街中に木漏れ日の美を再現したような「花が並ぶ」も面白い。昭和49年神奈川県生まれ、武蔵野美大油画。)

221110  長谷川友美個展 The West Wing 西棟のリリア @ スパンアートギャラリー  (銀座二丁目)
(アリスのキャラクターたちがミニドールのようにたたずむ DM葉書の絵を見て、期待の高かった個展。キャラクターたちの可憐な手がチャームポイントだ。ケーキにして食べたくなる長谷川友美さんが、The West Wing という魅惑の絵本について語ってくれた。手に入れてみよう。美大は出ておらず、作品は独学の成果だそうだ。すごい!)

221109  害虫益虫図譜 今井庸介展 @ ギャラリーなつか b.p  (銀座五丁目)
(植物に昆虫や蛙、蜥蜴などをややごてごて配したエッチング。背景を赤っぽく変色した和紙のような色で塗ったので、ふしぎにオリエンタル。ぱっと見、朝鮮の古画を連想した。昭和40年愛媛県生まれ、現在 武蔵野美大非常勤講師。)

221109  おひるね 足立 Golgi 嘉之作品 @ ギャラリーなつか  (銀座五丁目)
(ファイルを見ると、作家はもともと人物塑像を手がけていた人だ。ごつごつした下塗りや散らした絵具の効果で、ふと洞窟の壁に描かれたような気がする子供の昼寝姿。いとおしさがつのる。)

221108  山本健司版画展 @ 銀座 柳画廊  (銀座五丁目)
(多色木版画でヨーロッパの街並みや人を描く。彫りの力がパステル画のような色感を生みつつ、木版のおぼろにはっとさせられる。昭和10年広島県生まれ、多摩美。画廊オーナーの野呂好彦さんが、山本健司さんは日展で版画部門で初めて特選となった稀有な版画家なのだそうだ。
野呂好彦さんは、画廊応接室に飾られた岡野 博さんの絵のことも熱く語ってくださった。飄々とした筆さばきや色彩感覚に猪熊弦一郎さんを感じたが、昨年4月の岡野博還暦記念展の図録を拝見するうち、桜の絵のかずかずの楽しい野原のような快活な色彩の饗宴に引き込まれてしまった。岡野博さんの絵は、空色や水色のかくし味に秘密があると思った。
野呂洋子夫人の出しておられる配信誌も読んでいるので、野呂さんご夫妻にはお会いしてみたいものだと思っていた。図らずも野呂好彦さんとこうしてお話ができて、とても楽しかった。)


221108  大勝純一個展 夜光蟲 @ KEY GALLERY  (京橋三丁目)
(写真展。夜の公園や街角などを、鮮烈な純色の光と闇で描きなおす。すごく、ぼく好みだ。)

221108  歌田眞介展 @ アートスペース羅針盤  (京橋三丁目)
(DM葉書の 「常滑の思い出」 シリーズの民家が味わい深い。「秋山泰計さんの思い出」 シリーズは漆藝家・秋山さんの紙細工 (帯からくり) を題材にした諧謔みがいい。もともと美術がご専門の歌田さんが、年金生活入りして本格的に画業に。楽しそうに解説してくださった。)

221108  山本麻友香 (まゆか) 展 @ ギャラリー椿  (京橋三丁目)
(DM葉書の絵 「ソシテフネハイク」 は静謐なファンタジーで、とても楽しみだった。まるで3Dアニメのような遠近感がある。藍色のジャングルの河の小舟の上で、しゃがんだ犀に向き合って坐る着ぐるみの少年。山本さんの作品の子供たちは、動物への半変態ではなく、なぜかあえて動物の着ぐるみを着せてある。なぜ?  昭和39年岡山県生まれ、武蔵野美大 院・版画修了。)

221106  手銭吾郎展 @ SAN-AI GALLERY  (日本橋蛎殻町一丁目)
(銀製の写実的な頭部と、くりくりしたパーツを組み上げたメカニカルな曲体からなるボディ。リアルな手のひら。これらが生むミスマッチで、人体オブジェは異星の存在となる。昭和42年横浜生まれ、東京藝大修士 (鍛金) 。)

221106 福島かほり展 Boundary layer @ Art Lab TOKYO  (日本橋兜町)
(肥満胎や笑う人体模型、人面犬の陶製オブジェ。高橋龍太郎コレクション入りしてほしいよ。画廊オーナーが気さくで飄々。今後この画廊は、はずせませんね。)

221106  鈴木亘彦 (のぶひこ) 展 Detritus ―沼の断片化― @ 日本橋高島屋6階美術画廊 X
(あぶないことになった。Swamp of Mirror シリーズの趣向に魅せられてしまったから。売価8万4千円というのも、ぎりぎりの線。横8列、縦12列の小区画に、小田原あたりの植物の種や葉、あるいは小さな貝殻をヴァラエティよく綺麗に配して樹脂で固め、ハンダで金属枠を仕上げてある。それだけでなく、裏返すと鏡になっていて、カメレオンやサーカスの透かしから植物の種や貝殻が霞んでのぞく仕掛けだ。昭和44年神奈川県生まれ、東京造形大彫刻卒。)

221106  松山賢個展 「からっぽの偽物」 @ GALERIE SHO  (日本橋三丁目)
(Gallery MoMo Roppongi で手にいれた DM葉書。ふらふら~っと寄って行きたい誘惑の女性画、それも、きらびやかな。女性の黒ストッキングと背景に花模様の線彫りを加えた作品もおもしろい。昭和43年岩手県生まれ、京都市立藝大 院修了。平成10年の 「おっぱい大好き」、平成21年の 「花戦車」 など。)

221105  ウフィツィ美術館自画像コレクション ― 巨匠たちの「秘めた素顔」 1664 - 2010 @ 損保ジャパン東郷青児美術館
(大学時代から行きそびれ、はじめて東郷青児美術館に来た。この企画展の名は 「ヴァザーリの回廊展」 が原案だったようだ。何という人出。北原照久コレクション展のほうが、数段見るべきものがあるのだが。展覧会ビラにも印刷された Elisabeth Vigee-Lebrun の自画像は可憐にして華麗、質素にして絢爛。相反する二元を併せ持つところがこの作の強さ。一渉り巡り、戻ってみると、Rembrandt van Rijn の50歳ごろの暗然たる自画像が良かったりするのだ。あっさりした Giorgio de Chirico の自画像に意外感。横尾忠則さんはバキュンと、アートを総合して撃ち込んでみせた。
東郷青児さんといえば、彫りの深い目をした動く彫塑のような女の絵しか知らなかった。収蔵品コーナーで、作風の変遷を知って驚く。
ゴッホの「ひまわり」等の3点の常設展示ブースは、電球色と白色の2種の蛍光灯で薄暗く照明してあるが、作品の魅力が伝わらない。背景の壁紙が暗いみどり青なのもいかがか。
絵葉書購入: 自画像 (Rembrandt van Rijn, Elisabeth Vigee-Lebrun, 横尾忠則、杉本博司)、東郷青児 (青い眼、脱衣、つまくれ、ナザレの女)。)


221105  Miniature Garden 赤坂有芽 (ゆめ) 個展 @ art space kimura ASK?  (京橋三丁目)
(ASK? に新たに地下1階の部屋が加わった。やりますねぇ! 映像作品は、ガラス絵の幻灯のような風格で、具象なのにまるで万華鏡を見ているよう。もっと時間があればゆっくり見たのだけど…。ちょっとはかなげなのが、気にいりました。)

221104  北原照久の超驚愕現代アートコレクション 驚く・あきれる・楽しめる! @ 森アーツセンターギャラリー

(予想を幾層倍にも上回る、ぜったい見逃せない展覧会だった。山下信一さんのフィギュア。逆柱 (さかばしら) いみりさんのひなびた都会のファンタジー画。緻密を極めて作りこんだ山本高樹 (たかき) さんの昭和ジオラマ。鴨沢祐仁 (ゆうじ) さんのディズニー宇宙のように豊饒なイラストワールド。荒木博志さんの鉄腕アトムとオーディオの温かき結婚。毛利フジオさんの完璧な、あまりに完璧な、絵本のような昭和30年代。山下信夫さんの手製ブリキ玩具のワクワク。
それぞれの作家のコーナーに小パネルがあって、北原さんが作家への思い入れを語っており、これがまたいいのであります。
図録があまりに小冊子で残念。山下信一さんのフィギュアの絵葉書7枚と、毛利フジオさんの絵葉書24枚を買った。都合、4千円あまり出費した。つまり、4千円の図録でも買っていただろうということだね。)


221104  桝本久水 (ますもと・くみ) 「隣室のソリスト」 @ GALLERY b. TOKYO  (京橋三丁目)
(単色および彩色のペン画ならびにエッチングで、ヨーロッパ中世・近世ふうのアンニュイと諧謔を人物で表現する。DM葉書に使われた、蓑虫のように存在する青年のペン画 「揺りかごの中」 は、5万円足らずの価格で、ちょっと考えてしまった。もしもこの作にエロスと赤いアクセントがあれば、ぼくは殺されて、買ってしまったと思う。昭和51年東京生まれ、多摩美版画・院修了。)

221104  梁取文吾 (やなとり・ぶんご) 展 @ アートスペース羅針盤  (京橋三丁目)
(何を間違ったか、どう見ても凡庸な風景画をDM葉書に使ってしまい、客足が悪いと画廊オーナーも嘆く。ぼくも、DM葉書を見たときは、あれ? の境地だったが、来てみたら、日本画のいい作品ぞろいだ。モノクロームのヌード画 「ねむる」 の女性の肌はひたすら白いが、近づいて見ると丹念な塗り重ね; 地は金に藍色を塗って黒色を生む凝りようだ。「タカ」 の枯淡の一方で、現代的ビル街を日本画の陰影術を遣って描いてみせる。昭和55年東京生まれ、東京藝大日本画卒、文化財保存学修士。技と丹念さを併せ持つ、期待の作家である。)

221104  田中真吾展 ―踪跡― @ INAXギャラリー2  (京橋三丁目)
(画用紙を厚く重ねて、そして、文字通り、バーナーで焼く。ちりちりと、黒い花びらのような焼け紙の華。昭和58年大阪府生まれ、京都精華大学院修了。)

221104  The Life Spectrum 韓國現代表現主義作家 李聖洙 Soungsoo Lee @ ギャラリー椿2  (京橋三丁目)
(ニューヨークに3年いたという李聖洙さん。一体ごとに色ちがいの、すねた裸者たちが街を歩く。主張がはっきりした絵だったので、これが目下の typical な絵かと聞いたら、「じつはそれは3年前の作品で、最近は色の配置と輪郭を切り離した表現を試みているんだ」と。気持ちのいい青年だ。)

221103 ジャラパゴス展 TDW ART Jalapagos @ Tokyo Designers Week 2010 くらしと環境のデザイン展  (明治神宮外苑絵画館前特設会場)
(neoteny japan から Jalapagos へ。高橋コレクション、ミヅマアートギャラリーの世界だ。行ってよかった! 会場の屋外軽食コーナーで、ふたつ向こうのテーブルに会田誠さん (だったと思う) がおられた。女子学生らしき人と話をしておられたので、声をお掛けするのはやめた。あの場でご挨拶してもいいくらい、こちらも有名になりたいものです。)

221102  Self Portrait 私という他人 @ 高橋コレクション日比谷  (有楽町一丁目)
(森村泰昌さん、奈良美智さんの作品が多数あるなか、注目したのが坂本夏子さんの "BATH,R" だ。トルコ風のタイル張りの巨大なシャワールームだが、床が鏡面で、空間はちぢれた異次元となり、8人の女性たちはそれぞれに時空の波動に堪えながら、いつしか反射像のほうへ吸い込まれはじめる。筆致は無造作だが、構成はじつに緻密に計画されていて、絵画でしか味わえない脳激をもらった。坂本夏子さんは昭和58年熊本県生まれ、愛知県立藝大博士後期過程在学中。
横尾忠則さんの平成13年の作品にも吸い込まれた。三島由紀夫の 『豊饒の海・暁の寺』 が触発した、バンコク・東京に同時並在する白昼夢的感覚。バンコクの女性と輪タクに乗る自分。背後の仏塔群。しかし道路は確実に東京だ。……ふと、東京の歩道の目立たぬところに、亡霊のような僧形のあることに気付く。メッセージ発見のゾクゾク感も絵画の楽しみ。)


221102  松尾洋子油彩展 @ ギャラリー日比谷  (有楽町一丁目)
(楽器や音楽記号をユーモラスにバラし、遊ばせる。軽妙なメロディが聞こえる油画。作家は福岡市在住。)

221102  横田歩 (あゆみ) 展 @ OギャラリーUP・S  (銀座二丁目)
(Gallery Q が似合う個展。硬質なシュール。DM葉書を見ててっきり作家は男と思っていたが、昭和47年岡山県生まれの女性だ。「うずまきどり」 という前時代的鋼鉄製ニワトリたち。群れて黄色いアパートに棲んで、浜で眠って、やがて廃墟と化するアパートとともに朽ちる。その物語が、油画やコラージュや版画で紡ぎ出される。)

221102  マギダ・デ・ジョゼ (Magda de Jose) 展 @ Oギャラリー  (銀座一丁目)
(Born in Sao Paulo in 1967 and now based in New York, Magda has come back to her home in Japan to offer a multi-layered exhibition: Imaginary shellfish and flowers of Amazon made by clay covered by subtle layers of Japanese paper and wax; their oil-painted representations; and their augmented parts painted on multiple layers of paper and wax, which create deep transparency. Ms. H. Ohno, the owner of the gallery, has invited her to hold exhibitions more than several times at her "O Gallery" since 1994, when Magda was finishing her six-month term of an artist in residence in Tokyo on a fellowship grant from the Japan Foundation. Hope this fascinating relationship will last for coming decades.)

221102  さやか個展 気付いたらここにいる @ スパンアートギャラリー  (銀座二丁目)
(今回と5年前のDM葉書にサインしてくださいと言ったら、さやか さんは sarasara と物憂い美少女イラストまで描いてくれた。お礼に絵葉書を2枚買いました。「大正未来ポップ」 とでも呼びたい道具立てで、あぶなくお茶目な女の子たちを描きます。このスタイルの絵は一派をなすほどですが、さやかさんは線描きの腕があざやかで、しっとり丁寧な仕事をします。)

221101  新井コー児展 @ なびす画廊  (銀座一丁目)
(高校生になって、ちょっぴりおじさんの真似などしちゃう 「じゃりン子チエ」 の日常記録の数々……というところかな。ノスタルジック。一見、マンガっぽいけど、丹念な描きこみ方がまぎれもなくアートなんだなぁ。下北沢の小劇場で、コー児の絵をいくつか舞台背景に並べれば、もうそれで劇団の面々がストーリーを紡いでしまうんじゃないかと、まぁそんなパワーがあるね。多摩美油画出身なのも、納得。昭和48年高崎市生まれ。平成16~18年の 「作品集II」 を1,000円で購入。なかに 「夕焼け女子高生」 という見返り美人の図があって、これがけっこういいんだな。コー児ワールドに、ちゃんとしたゾクゾク美人も描きこんだら、世間の需要にフィットするのでは?)

221101  内倉ひとみ・坂東里佳展 @ 柴田悦子画廊  (銀座一丁目)
(画廊が光の珠の饗宴となった。壁面に垂らした内倉さんの大きな泡の連続のような紙細工に、上から燭光、下から白色蛍光灯が当てられると、水と空の大自然だ。夕方になったら鏡細工の光のショーを行いますというので、仕事帰りにまた行って、繊細な木漏れ日のような光の躍りを楽しんだ。坂東さんの石版画は白と黒の珠の諧調。よく調和した2人展だ。さすが柴田悦子さん!)

221101  建部弥希 (たけべ・みき) 展 city K をめぐるいくつかの物語 @ K's Gallery  (銀座一丁目)
(K市にあるという築50年の給水塔をモチーフに、絵やオブジェを展開。木の小箱に収めた糸巻きに巻きつけたミニ絵巻が、宝物めいて気になるアイディア。もともとカラフルな色遊びをしてきた作家だ。)

221027  坂口竜太作品展 @ NICHE GALLERY  (銀座三丁目)
(小ぶりの作品はいまひとつだが、大作はいい。映画を何作かいっぺんに見たように多重展開する情景がある。作家ご本人に聞くと、なるほど物心つかぬ頃から映画に浸っていたのだそうだ。
画廊オーナーの西村冨彌 (とみや) さん、アシスタントの川瀬裕子さんともお話しできて楽しかった。)


221026  ににユイチ展 @ ギャラリー La Mer  (銀座一丁目)
(門倉直子さんの世界にやや似ているが、ににユイチさん曰く 「門倉さんは女の子を描いておられるのですが、わたしは、女の子のように可愛い男の子、男の子のように凛々しい女の子、あるいは誰でもない子を描いているんです」。ににユイチさんは女子美卒。彼女じしんがとてもかわいいのです。大きな眼でしっかり相手を見ながら話す、好感度の高い作家さんです。Kawaii 賞に入賞した 「僕の世界」 の絵葉書を購入。緑色の瞳で微笑む可憐なキャットボーイが坐る椅子はマリー・アントワネットが使っていたものを参考にしたのだとか。)

221025  日吉恵理子個展 @ OギャラリーUP・S  (銀座一丁目)
(紫色が渋く、かつ荒々しい。静かだが、ただの沈黙ではない女性像は作家の自画像めく。)

221025  味戸ケイコ個展 「少女の庭」 @ スパンアートギャラリー  (銀座二丁目)
(砂糖菓子のような鉛筆画で少女を描く。書籍装丁者にもポピュラーな作家のようだ。)

221025  ロック遺産 小出正義 (こいで・まさよし) 展 @ ギャラリー椿2  (京橋三丁目)
(昭和25年生まれの小出さんのハードロックへの熱い思いを結晶させたオブジェ。シンガーが使ったギターのミニチュアに、曲の世界を表現したジオラマを配した。)

221022 星山耕太郎展 「顔の中へ」 @ Gallery Q  (銀座一丁目)
(「誘惑」 という作品を 18,900円で買ってしまった。詳しくはブログ本篇をお読みください。昭和54年生まれ、多摩美日本画卒のさわやかな作家である。)

221020  山田道弘個展 @ ドゥ <doux> 画廊  (京橋ニ丁目)
(物語を語りだしそうな存在感のある沈黙の人物たち。マンハッタンかパリの盛り場や場末を切り取った。こういう絵、心が濡れてくるほど好きだ。ブロードウェイミュージカルをかける劇場に飾れば、幕が開くまえに観劇者の心を浮かしてくれるに違いない。)

221020  菅野静香展 @ ギャラリー坂巻  (京橋ニ丁目)
(シュールの道具をいっぱい詰め込んだ絵を描いていた時期もあった菅野さん。ファイルを見ると、年ごとに作風が変わっている。昭和60年東京都生まれ、女子美洋画・院終了。今回はシンプルな写実に回帰して少女の顔を描く。くすんだ茶色・褐色を主調に。あや取りの赤い糸も今年のテーマらしい。)

221020  向山 裕 (むこやま・ゆたか) 展 「石室・現像」 @ ギャルリー東京ユマニテ  (京橋ニ丁目)
(向山さんの作品を見るのは2度目だ。ぷっくりした烏賊飯2つを皿に載せ畳に置き写実する。あるいは走馬灯を。写実の確かな腕があると、こんな遊びもできるのだ。)

221019  門倉直子展 @ ギャラリー椿  (京橋三丁目)
(門倉さんのドローイングが森美術館の下のショップに売られていて、女の子のつぶらな瞳とすてきな唇、長い髪に見とれたものです。その門倉さんの個展ということで、これはもう夢のような、現代美人浮世絵の波状攻撃ですね。なかでも、 「いろんな音が聴こえる」 にひかれました。12万6千円でした。飾る場所がないですね。個展の奥に飾った 「10年後はママになる」 は、女の子のちょっとやんちゃぶりなところを描いた逸品。以前アートスペース羅針盤に展示したものに描き足して、納得の作品にしたのだそうで。今回の大作 「あなたに出会い、ワタシは私になるのでしょうか」 も、まさに男ごころを悩殺する瞳がすてきです。)

221019  三木陽子展  “PET SHOP” installation of ceramics 現実と地続きのファンタジー @ INAXガレリアセラミカ  (京橋三丁目)
(犬をつかむリアルな両手が壁に生える。鳥籠の鸚鵡の足も、よく見ると人間のこぶしだ。リアルでありながら黒と白だけのモノトーン。手のいたずらっぽさをうまく切り取ってみせた。)

221019  石塚沙矢香 (さやか) 展 ―かけらはただよひ― @ INAXギャラリー  (京橋三丁目)
(部屋中にガラス製の平皿が、ちょうど腰のあたりの高さに統一して糸で吊るされ、まるで睡蓮の葉のようだ。ひとつひとつに陶器の破片が載せられ、観覧者は幻視の池をじゃぶじゃぶと歩きながらガラスの睡蓮の間をめぐる。なんとも粋な空間体験をさせてくれるものだ。)

221015  大森美恵子展 @ OギャラリーUP・S  (銀座一丁目)
(リズミカル。埴輪の赤を思わせる、くすんだ臙脂をうまく混色した銅版画が気にいった。)

221015  堂免 修 展 @ Oギャラリー  (銀座一丁目)
(中空に浮かぶ小惑星にような 「gravity」 を前にして、スターウォーズのノリで鑑賞すればよいのではないかと思ったら、堂免さんにとっての gravity とは心の内面への求心力のことなのだと言う。昭和26年鹿児島県生まれ。)

221015  和泉賢太郎展 ―inside of you― @ art space kimura ASK?  (銀座一丁目)
(果実の断面を拡大してポップに意匠化すると、動物の断面のように思えてくる。昭和55年広島県生まれ、武蔵美日本画卒。)

221015  神山 玄 展 ―フクイクタルモノヨ II― @ アートスペース羅針盤  (京橋三丁目)
(DM葉書をもらって、楽しみにしていた個展。時を経た自動車や瓶・缶などに猫や烏、蝶などを配する。洋画のタッチだけど、色は日本画。作品には部分的に段ボール紙をうすく剥いだものを貼り付けてから彩色するなど、工夫を積み重ねる。昭和50年神奈川県生まれ、多摩美日本画卒。)

221015  堀口 徹 (とおる) 展 @ 和田画廊  (八重洲二丁目)
(超絶の技術を駆使したモダンな江戸切子作品群。今回は、赤の美しい王冠のような器が気にいった。)

221015  小林伸一郎 写真展 「神様 OH MY GOD!」 @ NICHE GALLERY  (銀座三丁目)
(画廊に置かれた、小林伸一郎さんの廃墟写真集が、ぼくの心のど真ん中に速球で穴をあけた。東京ディズニーシーを飾る膨大な意匠を時の色で染めた写真群も素敵だ。画廊オーナーの西村冨彌 (とみや) さんとお近づきになれたのが、とてもうれしかった。)

221015  西田洋一郎展・大橋由美子展 @ 枝香庵  (銀座三丁目)
(音符と五線が DNA螺旋を描いて渦巻く 「Shape of Life」 など、西田さんの作品は、数式プログラムで形をつくり空間に舞わせた、CGの究極形だ。プログラムを作るのはたいへんな手間だが、一度つくれば変奏曲は容易にできるので、膨大な作品群の量産もできる…らしい。大橋さんのは削った彩色木片をちりばめたケーキのようなオブジェ。おふたりはご夫婦だという。)

221014 開館5周年記念特別展  円山応挙 ― 空間の創造 @ 三井記念美術館  (日本橋室町二丁目)
(あまり期待せずに行ったら、ぞくぞくさせる展覧会だった。屏風絵に展開される空間の魔術に酔った。若い時分に応挙は 「眼鏡絵」 の制作により空間表現の技巧を習得し、長じては屏風絵で 「迫央 (はくおう) 構図」 と呼ばれる手法を駆使し、龍の体や松の枝が大きく渦を描くように配することで、一双の屏風のなかほどに無限空間を創造する。重文 「雲龍図屏風」、重文 「松に孔雀図襖」 (大乗寺) は魂を吸わんばかり。圧巻の国宝 「雪松図屏風」 は三井記念美術館の所蔵で、なるほどこの名品へのオマージュとしての特別展であったかと納得した。)

221013  麻生弥希 (あそう・みき) 展 @ 巷房・1  (銀座一丁目)
(「Dancer」 は、宮沢りえさん似の女性に、羽飾りと金環で美しきインディアンの装束をさせた。欲しいが、周囲の絵の価格から推測して100万円か。無理ですね。彼岸花、蓮と、いい素材でいい料理。東京藝大院卒。昨年 院展奨励賞受賞、40代半ばの日本画家。)

221013  わたなべ ゆう展 @ 江原画廊  (銀座一丁目)
(奥野ビルの常連でありながら、この画廊ははじめて。パリかミラノの場末の裏路地の壁に残されたアートを切り取ってきたような趣。昭和25年生まれで、20代のころ5年ほど日本各地を放浪した。美大との縁はなく、上野の森美術館絵画大賞展などで受賞しながら世に出たひと。味わい深い小品がお手ごろ値段だったので、かなり迷ったが、最近買いすぎなので今回はパス。)

221013  菅原多佳子展 @ ギャラリー銀座フォレスト  (銀座一丁目)
(宮崎あおいさんのような“天然”な喋りかた。「篤姫」 放映中には、姿も似ていると言われたそうだが、多佳子さんは あおいさんよりかわいい。呉出身、多摩美油画卒のひと。全ての作品が、ベージュ色のカラーフィルターをかけたような色調。高校時代から色づかいはずっとこうです と微笑む。ご活躍を!)

221013  関根哲男展  Primordial Life - 原生 - 2010 @ Gallery Q  (銀座一丁目)
(こげ茶に満たされた30枚の絵。ボール紙でできた100の位牌がぎっしり重ね貼りされ、さらに植物状の鱗が群生し、削られ、バーナーで焦がされ。 Primordial (=地球が生まれたときから存在する) と名づけるには、人工物の象徴である位牌はあまりに矛盾する。単純に絵を見ると 「人工の象徴である位牌群がゆっくりと自然に取り込まれるプロセスの再現」 と読めるのだが。昭和17年新潟県生まれ、多摩美油画卒。)

221012  岡崎真澄展 @ ぎゃらりぃ朋  (銀座一丁目)
(ペン画。作家がおられたので、DM葉書の 「炎」 に描かれた悩ましい女性に 「佛画めいたものを感じる」 と伝えたら、これは不動明王に着想を得たものだ、と言われた。展示作には、SF 幻想画も多い。)

221012  黒田さかえ個展 甘美なやすらぎ @ 柴田悦子画廊  (銀座一丁目)
(女性と花の水彩12連作は、その色彩と工夫をいつまでも楽しめる感じだ。京都に生まれ育った嵯峨美術短大洋画卒のひと。わたしと同年代。)

221012  甲 (こう) 秀樹 o-shibe [雄蕊] @ スパンアートギャラリー  (銀座二丁目)
(少年ものの 「あぶな絵」 + フィギュア。屹立する雄蕊らも、うつくしい色かたち。)

221011 藝術 兄弟 Chusei + Toshijiro  稲垣仲静・稔次郎 兄弟 展  仲静 は夭折の日本画家、弟 稔次郎 は型絵染の人間国宝 @ 練馬区立美術館
(仲静さんの 「猫」 は必見。行くべしの展覧会だった。実物と対面してみると、存外 飄々とした猫だった。「軍鶏」 の眼光に圧倒された。まとわりついた境遇まで描かれきった軍鶏。
型絵染がまた、滝平次郎さんの切れに通ずる、いい味だ。)


221011  ShinPA!!!! 東京展  東京藝術大学デザイン科描画系 @ 佐藤美術館  (新宿区大京町)
(柴田悦子画廊の個展でお会いした押元一敏さんの 「美徳」 4連作は佛画の趣のあるシンボリックなヌード画で、陰影の加減も、金泥の描線が描く女性の表情も納得の佳作だが、如何せん、枠いっぱいに描かれすぎて窮屈感あり。
金丸悠児さんの Tide of Mind は、家に飾ったら気分で末永く楽しめそう。黒い背景に、72枚の葉書大の油画が貼ってある。タツノオトシゴや自転車や、のっぽビルや。カルタの札を並べたような楽しさ。こういう楽しさも一定の需要があることを、画家の皆さんに知っておいてもらいたい。)


221010 新しい神話がはじまる。  古賀春江の全貌 @ 神奈川県立近代美術館 葉山
(かねて古賀春江のファンである。その変転を追うスリル。詩文を書き続け、パウル・クレーに心酔したひとだと知って、近しい存在に感じた。図録は、宝物にしよう。
美術館から見おろす太平洋のさざ波に、ダイアモンドをまきちらし続けるかのように陽光が反射するさまは、一生でいちばんうつくしい海だった。波打ち際の水の動きは、精巧なブロンズの造形が融解して動いているかのようだ。レストランのブイヤベース・セット (3,500円) も大満足。)


221008  陰影礼讃  国立美術館コレクションによる @ 国立新美術館  企画展示室2E
(粋な企画展だ。この展覧会で、ものの陰影への視覚センスに火がついた。ものの見方そのものを変えてくれて、人生がまたひとつ豊かになった。)

221006  Lorenzo Fernandez 展 @ ギャルリーためなが  (銀座七丁目)
(超絶リアリズムの油画。写真とばかり思って見ていた。昭和45年マドリッド生まれの作家の日本初個展。Love という作品で、現実ではそっぽを向いた2羽の折鶴が、鏡面の像では寄り添う。写実度は写真そのものでありながら写真ではない絵の瞬間にしびれる。)

221006  滝平 (たきだいら) 二郎の版画と きりえ展 @ ノエビア銀座本社ビルギャラリー  (銀座七丁目)
(昭和45年からの朝日新聞日曜版で親しんだ切り絵が、オリジナルは存外にコンパクトなのに驚いた。切り絵にいつも登場する姉と弟は、まるで親戚のように近しい気がする。受付で住所・名前を記帳したら、なんと16枚セットの美しい滝平作品絵葉書セットをくださった。ノエビア化粧品さん、ありがとうございます。)

221006  増田沙織展 @ ギャラリーなつか cross  (銀座五丁目)
(岩絵具の藍と緑、茶色に白い点で銀河を描く。いかにもありそうな日本画だが、ここまで鉱物感をそのまま生かして宇宙を描いたものは少ない。「星を読む人でありたいと思います」 という作家は昭和61年埼玉県生まれ、武蔵美日本画卒。)

221005  川崎広平展 光の配置 @ art space kimura ASK?  (京橋三丁目)
(暗闇に、未来から闖入してきたような光の紋様のオブジェたち。)

221005  保田 (やすだ) 春彦展 @ 南天子画廊  (京橋三丁目)
(80歳の彫刻家の、白く手塗りされた木製オブジェと、裸体の切り絵コンポジション。)

221005  青木 惠 展 @ ギャラリー椿2  (京橋三丁目)
(日本画だが、親しみやすいポップな彩色。「物語は続く」 巨大な花と浮遊する女性の青白い肌にある紋様は、天界の刺青とも言うべきか。昭和58年東京生まれ、多摩美日本画院修了。)

220930  菅田幸子展 @ OギャラリーUP・S  (銀座一丁目)
(それぞれに生きている、いい顔なのです、作品が。DM葉書に使われた絵は、まるで錆びた霧の向こうから来るエイトマンのシルエットのようで、若いセンス。でも、作家はにこやかなベテランです。)

220930  山田久美子展 ~融合への切望~ vol. 1 @ Oギャラリー  (銀座一丁目)
(顔を描かず、身体がからみあう。銀と黒。象徴的戦争画のように見えた。作家にきくと、戦争をテーマとして意識したことはないという。昭和44年兵庫県生まれ、武蔵美日本画卒。)

220930  山崎克己 紙刻繪 (しこくえ) 展 @ スパンアートギャラリー  (銀座二丁目)
(谷内六郎さんの ほのぼの絵をややデフォルメしたような筆致のデッサンをした紙を彫刻刀で彫り、岩絵具の色調のアクリル絵具で彩色した。)

220930  金子奈央展 @ 三越銀座店
(中原淳一美人をさらに様式化した佳作の数々。半分ほどが売約済だった。
現代アート小品のショップを併設してあるのも好感。松枝悠希 (まつえだ・ゆうき) さん (昭和55年茨城県生まれ、東京藝大院修了) の とびだすアートのあそび心。トランプのハートや王様がカードを跳び出す Royal Straight Flush など。丸山祐介さん (昭和50年福井県生まれ、広島市立大デザイン工藝卒) の、掌に乗る緑青 (ろくしょう) 色の香炉にはミニチュアの工場建屋があしらわれている。)


220930  田中欣一×金井清顕 (きよあき) 2人展 #2 @ ヴァニラ画廊  (銀座六丁目)
(緊縛写真は30年前ふうの作に新感覚の作もちらほら。いっぽう、金井さんの絵のほうは、緊縛の図もさることながら、むごい解体の図、涙の少女の図などが印象に。)

220925  隅田川  江戸が愛した風景 @ 東京都江戸東京博物館
(屏風や浮世絵など、江戸の人々の生活のようすを同時代人が生き生きと描いた作品群。ぼく好みの展覧会だ。
なかでも 3点の 「影からくり絵」 が興味深い。燈火や花火の部分を切り抜き、裏から白や茶の薄紙を貼っておき、暗くして後ろから照らすと紙上に夜景が美しく立ち現れる。)


220922 My favorite works @ Gallery 156  (銀座一丁目)
(ポーランド女性写真家 Marta Sklodowska さんの作品 "Waiting for Sol Invictus (無敵の太陽を待ちつつ)" を9万円で購入した。詳しくはブログ本篇に。
小規模だがみごとな企画展。ほかに、儀保克幸 (ぎぼ・かつゆき) さんの木彫、ドイツ人写真家 Wolfgang Ganter さんの合成写真作品、そして企画者である中村亮一さん自身の油画。)


220922  秘密展  20人のアーティストが描く 「秘密」 @ 銀座西欧ギャラリー  (銀座二丁目)
(東京デザイナー学院の学生さんたちの作品展。うち、畠山愛さんのクレヨン+オイルパステルの 「後悔」 というヌード画が気にいったが、頭部と胸部のサイズのアンバランスがあり購入は控えた。作家本人がおられたので、今後の活躍への期待を伝えた。)

220921  22冊の絵本の世界 @ OギャラリーUP・S  (銀座一丁目)
(本多厚二さんの 「バクズライフ」 が抜きん出てすばらしかった。E. H. Shepard による 『くまのプーさん』 の挿絵のようなタッチで、バクとヒトの息づきを素描して、ワイルドに製本した。本多さんのイラストの絵葉書を5枚買った。
さかいふみこさんの 「キミへ」 は、アクリルで丁寧に描いた風景画のオリジナルを綴じた。いくつもの絵に登場する赤いポストが、心をとかす。
武田眞由美 (ギョーマンちめこ) さんの 「この椅子でいーっスか」 は遊び心たっぷり。オムラ椅子からアドバ椅子、ア椅子パラダ椅子まで。
まつしたたえこさんの 「高級呉服洋品こやなぎ」 は、まちの小さな老舗の家族生活を生き生きと描き込んでいて、好感。)


220921  今村綾 (あや) 展 @ Oギャラリー  (銀座一丁目)
(夜の向こうに色とりどりの燈火 (ともしび) がにじむ。遊園地の記憶にもつながるあたたかさ。昭和55年福岡県生まれ、女子美(洋画)院修了。)

220921  架菜梨案 (かなりあ) 個展 @ Gallery 銀座フォレスト  (銀座一丁目)
(昭和62年大阪生まれ、多摩美油画4年生。絵具厚塗り派だが、混色が上手。セクシュアリティに取材した作品より、ベリーケーキの絵がぼくは好き。)

220921  高橋由季個展 檸檬 @ Gallery 銀座フォレスト・ミニ  (銀座一丁目)
(色あざやかなのに、どことなくノスタルジックなイラスト。すごくうまいわけではないけど、好感。昭和59年広島県生まれ、比治山短大 (日本画) 卒。)

220919  上村松園展 @ 東京国立近代美術館
(楽しみにしていた展覧会。肉筆画の浮世絵の伝統を存分に取り込み、近代の装いを創り出した。「焔」 (大正7) は期間前期のみ、「序の舞」 (昭11) は後期のみの展示。妖しい 「焔」 は見逃せない。乳房、乳首もあらわでありながら気品ある 「楊貴妃」 は、まさに傾城の姿。)

220915  三菱が夢見た美術館  岩崎家と三菱ゆかりのコレクション @ 三菱一号館美術館
(多彩なる文化財の饗宴。日本古典の貴重な写本や、東アジアの古地図も興味深いが、とりわけ惹かれたのが昭和13年の ROSY CHEEK BEER の妖艶な女性の図柄のポスター。Rosy Cheek Beer は、昭和11~15年にかけてラングーン、ボンベイ、シンガポールなどに輸出されたキリンビールのブランドだという。ぼくが日本史の記教科書を出すなら、このポスターをぜひ載せたいな。)

220915  安藤陽子展 ―ポートレイト 静かな光― @ INAXギャラリー  (京橋三丁目)
(薄明の向こうにうかぶピュアな写実的肖像。とりわけ portrait-15 は、ぼくが30年前に恋したワルシャワの永遠の少女エヴァにそっくりだ。大きすぎて家に飾れないが、強烈に欲しいと思った絵。いつかこの絵に再会したい。それとも作家に小さなサイズで描いてもらえないか聞いてみようか。20万円までなら、出してもいい。昭和54年安曇野生まれ、愛知県藝術大院卒。)

220915  國方善博 (くにかた・よしひろ) 展 ―黒い陶 Moon Trip― @ INAX ガレリアセラミカ  (京橋三丁目)
(巨大化した浮き草のようなオブジェが、植物界と動物界の境を浮遊する。見飽きない。生き物以上に生きている無機物。昭和44年香川県生まれ、京都市立藝術大院陶磁器専攻修了。)

220914 キャラバン隊・美術部 第3回展覧会  JIROX かなもり ゆうこ 二人展 @ art space kimura ASK?  (京橋三丁目)
(大学祭の映像+オブジェ空間が森美術館あたりの一室を借りたら、こんなふうになるよね。JIROX さんは昭和27年東京生まれ、今井次郎の本名で音楽活動をしていた人。京橋の会場でも、かなもりゆうこさんの映像に合わせた音響パフォーマンスを。オブジェも遊び心あり。
かなもりさんは、昭和43年兵庫県生まれ、京都藝術短大立体コース卒。映像作品のエッセンスを書籍化したクロス装の本も出版した。)


220914  足立正平展 @ アートスペース羅針盤  (京橋三丁目)
(昭和51年生まれ、多摩美日本画卒後、平12~15に中国中央美術学院の国画 (=中国画) 系で学んだ人。どんな絵か興味津々で見にいった。墨絵に自在の彩色が入るさまは、中国画を学んで得た自由の反映かなと思った。)

220914  四谷明子展 ―DIRECTION― @ ギャラリー椿2  (京橋三丁目)
(重厚な壁を 「とび出しアート」 のような立体感で描く。DM葉書に使われた作品は、ハムレットの父の亡霊が出てきそう。立体感に吸い込まれそうになる。神奈川県生まれ、女子美短大卒のベテラン。)

220914  小林裕児展 @ ギャラリー椿  (京橋三丁目)
(ぼく好みの幻想画。2.7米×3.5米の大作「浸水の森」は、ノアの方舟の洪水のイメージか、登場する人物や動物からモノに至るまで、つがいを意識する。湖のように広がる水に舟をうかべ、唐突に丸の内線の赤い車両もあったりして。ちなみに500万円です。)


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